子どもが「愛着障害」?共働き夫婦が気を付けるポイントを解説

子どもが肩車をしてもらっている写真

共働き家庭では、夫婦ともに忙しく、家庭と仕事のバランスを保つことはなかなか大変ですよね。

しかし、その中で見落とされがちなのが、子供の「愛着形成」に関する側面です。仕事や家事に追われる中、子供とのコミュニケーションが犠牲になってしまったり、子どもの心の健康問題を見逃してしてしまっていないでしょうか。

この記事では、共働き家庭が直面する愛着障害のリスクと、それに対処するための実践的なアプローチに焦点を当てます。

愛着障害とは?

赤ちゃんが膝の上に座っている写真

愛着障害(あいちゃくしょうがい)は、乳幼児期の虐待やネグレクトにより、保護者との安定した愛着が絶たれたことで引き起こされる障害をいう。「甘える」や「誰かを信頼する」などの経験値が極端に低いため、自分に向けられる愛情や好意に対しての応答が、怒りや無関心となってしまう。

出典:ウィキペディア

要するに、幼少期の愛情不足などの理由のために、不安定な気持ちや不安、孤独感を感じやすい状態ということです。

愛着障害は子どもが対象とされており、5歳以前に発症すると報告されています。

愛着障害は「反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)」「脱抑制型対人交流愛着障害」の2つに分類されています。

簡単にまとめると、前者は他人に対して必要以上に警戒をしてしまい、後者は他人に対して過度に馴れ馴れしい態度をとってしまうというものです。

症状の特徴が発達障害や自閉症スペクトラムともよく似ているため、慎重に診断されます。

愛着障害が子どもに与える影響

愛着障害が子どもに与える影響や症状として、下記のようなものが挙げられます。

  • 自傷行為(髪を抜く、爪を噛むなど)
  • 体調不良になりやすい
  • 他人に危害を加える他害行為
  • 不眠症になる
  • 食事をしっかり食べない
  • すぐに嘘を吐く
  • 大人を試すような行動をとる
  • 喜びや悲しみを表現しない
  • 自己評価が低い
  • 他の子供と交流をしない
  • 落ち着きがない
  • わがままな言動をとる
  • 誰にでもべたべたする
  • 傷つきやすい・落ち込みやすい
  • 人を避ける など

子どもの愛着障害の特徴

反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)は、子どもが他者を警戒しすぎ、頼ることが難しくなる特徴があります。
表情が乏しく、笑顔が見られないなどの症状があり、抱きしめられていても無関心な態度を示す、離れる際や再会の際に視線をそらし近寄らない、知らない場所でも頼りにする素振りが見られないといった特徴が挙げられます。

これは自閉症スペクトラム障害との類似性が指摘されることがあります。

一方で、脱抑制型対人交流愛着障害の子どもは、反応性アタッチメント障害とは対照的に、初対面の人に対して過剰な親しさや誰にでも抱っこを求めるなどの特徴があります。この特徴から、ADHDとの鑑別が難しいとされています。

保護者が心の拠り所となり、子どもの中に安心感や信頼感が育まれます。
これを心理学では「安全基地」と呼び、安全基地が存在することで子どもは新しい環境に挑戦し、自立心や自尊心を培っていきます。

育まれないまま放置されると、大人になっても対人関係に問題を抱えたり、パートナーや自分の子どもをどのように愛せばいいのかわからないという問題が出てくる人もいます。

愛着障害の原因となる4つの親の態度

家族で子どもをあやしている写真

愛着を育むことができない、愛着障害の原因となる子どもに対する親の態度を大きく4つに分けてご説明します。

愛着障害の原因となるような態度をとる親は、子どもにどのような態度で接したらよいかわからず、子どものころに親からとられていた態度をとっているということが考えられます。
愛着障害の連鎖を繋げないためにも親自身が自分の態度を振り返るのはとても重要です。

子どもに対して冷たい

愛着を確立するためには、保護者からのスキンシップや優しい声かけが不可欠です。

こどもと距離を置く、泣いている子どもを放置する、スマホに夢中になって子どもの話を聞かないなどは、愛着障害の原因になる態度です。

保護者自身が愛着障害を抱えている可能性があり、子どもを可愛いと思ったり、愛情もわかず、そのような態度をとっている可能性もあります。

虐待する・暴言を吐く

子どもに安心や安全を与える立場の保護者が、こどもに暴力をふるったり、「あなたなんかいらない!」「生むんじゃなかった」などの暴言で傷つけたり、無視やネグレクトといった態度も愛着障害の問題となります。

このような保護者は、自分が子供を虐待している自覚がなく、「しつけのために仕方なく」「子どもの態度が悪いから必要なこと」など開き直っていることもあります。

過保護

一見、子どもに関心があり子どもを大切にしているようですが、過保護というのは「子どもが自ら考え行動する権利を奪っている」ともいえます。

子どもが失敗しないように先回りして何でもしてしまうことで、子どもは自立できないまま成長してしまいます。

親が大人になりきれていない

親が精神的に大人になりきれていない場合、感情の起伏が激しく子どもに当たったり、公共の場で切れたり怒鳴り散らすなど、子どもが安心して一緒にいることができません。

また、大人になれない人は、自分のことしか考えられない傾向にあります。例えば、子どもに小さい兄弟の面倒や家事を押し付けたりといったこともあります。

共働きで子育てをする時のポイント

家族で花見の写真を撮っている写真

共働きしながら子育てするのはタスクも多く大変ですよね。
仕事と子育てを上手く両立する方法を知りたいと感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。
以下に共働きで子育てをする際のポイントを解説します。

共働き家庭は是非取り入れてみてくださいね。

母親に全てを負担させないこと

令和4年度の「男女共同参画に関する市民意識調査」では、平日・共働き世帯の「家事・育児・介護」に費やす時間は、妻が5時間41分、夫が1時間57分で3時間44分の差があるという結果があります。

共働き主婦の最大の悩みは、夫が家事や育児に参加してくれないことです。
「家事や育児は女性の役割」という考えが定着している日本では、どうしても女性に負担が偏ります。

そのため、共働きの主婦は夫に対してストレスを感じてしまうのです。

母親は、子どもが生まれたら、夜中でも2、3時間ごとに泣き声で目を覚まし、慢性的な睡眠不足のなかで授乳や家事をこなす日々が待っています。子育ては初めての経験が多く、どうすればいいのか不安がつきものです。

このような状況で朝の準備に追われ、昼間は仕事、夫が仕事から帰ったら子供を見ながら夕食の準備、食後はゆっくりしている旦那の横目に片付けをしてから寝かしつけをする。
こんな生活をしていると、ストレスが溜まってしまい、母親が余裕を持つことは難しいです。

家事や育児の分担をするなど夫をはじめ祖父母など周囲の協力があれば、母親も限界に達することなく子育てや仕事に取り組むことができます。

食洗器や全自動洗濯機の活用

こどもがいると洗い物や洗濯の量など家事が増えます。家事の負担を軽減するために「時短家電」が活躍してくれます。

少し値の張る買い物かもしれませんが、食洗器や、全自動洗濯機、お掃除ロボットなどを使えば、大幅に家事の時間を短縮することができます。

家事代行を依頼

家事代行を使うことは決して「甘え」や「逃げ」ではありません。

家事のアウトソーシングは現代では当たり前になりつつあります。

料理や掃除、買い物、子守など様々な依頼ができるのが家事代行サービスの特徴です。

地方自治体の子育てクーポンや子育てパスポート、会社によっては福利厚生などで、割引価格で利用できることもあるようです。

自分に合ったサービスを利用して、家族と過ごす時間や自分の時間を確保できるといいですね。

適度に手を抜く

子どもや家族のために努力をすることは大切ですが、常に全力だといつか限界が来てしまいます。

前述した時短家電の利用や、お弁当を作らない日を作るなど

手を抜けるところは適度に手を抜きましょう。

愛着障害と共働きの関係性

二人の女の子がフルーツを食べている写真

愛着障害は前述したとおり、親からの愛情不足が原因で起こるものです。

子育てにおいて、親が愛情を十分に注ぎ込むことは、子どもたちの安心感や健全な発達において重要な要素です。

幼児期から学童期には親の愛情が十分に必要

近年は、7割近くの夫婦が共働きしているという調査結果もあることから共働き家庭は珍しくありませんが、フルタイムだと9時間前後は会社に拘束されるため、共働きをするうえでのデメリットの一つに子供にかける時間がとれないことが挙げられるかと思います。

共働き家庭で育った20代からは親の愛情を受け取れなかった経験から、親が家にいて欲しいという考えが増加しているようです。
祖父母に頼る子供たちも、できるだけ実の親が家にいてほしいと感じているようです。

共働き夫婦は仕事と家庭のバランスを見直すことが必要です。

共働き家庭での愛着障害予防策

女の子がカメラで写真を撮っている写真

共働きで忙しい中、一生懸命に子供と向き合っている保護者の方がほとんどかと思いますが、ついついきつく怒ってしまっている、子どもに話しかけられても聞き流してしまっているなど思い当たることはないでしょうか?

日常生活の中で子どもを放置しすぎていないか、関わりすぎて過干渉になっていないか、など客観的に自身とこどもとの関わりを振り返ってみることも大切です。

下記には、愛着形成に大切な子どもへの接し方を紹介します。

子どもと視線を合わせて話す

子どもが困って混乱しているときに、急かされたり怒られてしまっては委縮してしまって本音を言えなくなってしまったり、更に困ってしまうかもしれません。

大人は無意識に、子どもに自分の考えや価値観を押し付けていたり、勝手に決めつけてしまっていることもあります。子どもの視点になって、「どうしたのかな?何が言いたいのかな?」と何に困っているのか一緒に考えてあげたり、「〇〇だと思ったんだよね?」と気持ちを代弁してあげるのが良いでしょう。

そうすることで、子どもはわかってもらえたと安心し、気持ちを伝える練習をすることもできるようになっていきます。

出来たことをほめてあげる

愛着障害の子どもには、子どもと1対1で向き合い、その子の「安全基地」になる必要があります。

そのため、できないことを叱るのではなく、できたことを褒めて認めてあげるようにしましょう。例えば、学校で先生に叱られてしょんぼりしているということは、自分の失敗を理解し反省できていると変換してあげるなどです。

褒めるときは、できたその場ですぐに褒めて「できるだけ近くで」「視線を合わせ笑顔で」褒めるようにしましょう。

スキンシップをとる

スキンシップは愛着形成においてとても重要です。

親が子どもに優しく触れることで、子どもとの信頼関係を育むことができます。

また、スキンシップをとると、脳から「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。こどもを抱きしめたり頭をなでたりを5〜10分程度するだけで効果が1時間ほど続くという研究結果もあるようです。

寝る前などタイミングを決めて、意識的に大好きと言葉でつたえて、ギュッとハグをしたり、くすぐりや高い高いなど、生活の中にスキンシップを習慣的に取り入れることがおすすめです。

まとめ

親子が顔を合わせている写真

現代社会は共働きが当たり前の状況となり、親が仕事と子育ての両立に奮闘する中で、本記事では、子どもの愛着障害が懸念される事実に焦点を当てました。

記事では、共働き夫婦が子育てにおいて柔軟で効果的なサポート体制を築く重要性や、仕事と家庭のバランスを見直すことが子供の安心感に繋がることを解説しました。
また、共働きに伴う親の時間やストレスの制約にも焦点を当て、それが子供との愛着関係に及ぼす潜在的な影響に触れました。

共働きが進む現代社会において、子供たちにとって安心できる愛着関係を築くためには、家族や社会全体が協力し合い、理解し合うことが不可欠です。
本記事の共働き家庭が健康で円満な子育てを実現するための手段を参考に、より良い親子関係を築けることを願っています。

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この記事を書いた人

ウィズ・ユー編集部

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