ADHDの子どもは字が汚い?特徴や汚い理由と綺麗に書くコツを紹介

作文を書いている女の子

ADHDの子どもは、字が汚くなりやすい傾向がありますが、書字障害が原因である可能性もあります。字が汚いと、子どもの将来に様々な悪影響を及ぼしてしまうため、正しいサポートをすることが大切です。

今回の記事では、以下の5つについて解説します。

ADHDの子どもは字が汚くなる理由

書字障害について

ADHDの子どもの字が汚いとどのような影響があるのか

ADHDの子どもが綺麗な字を書くために保護者がどうサポートすればよいか

字が綺麗だとどんなメリットがあるか

ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

ADHDの子どもの特徴と字が汚くなる理由

疑問に思っている女の子

ADHDとは

ADHD(注意欠如多動症)とは発達障害の一つであり、主に「不注意」、「多動性」、「衝動性」という特性があります。話を集中して聞けない、作業のミスが多い、なくしものが多いという「不注意」の症状や、体を絶えず動かしたり、順番を待てないといった「多動性」や「衝動性」の症状が見られます。

12歳になる前にこれらの症状が出始めることが一般的ですが、小さな子どもにはこれらの特性を区別することが難しいため、診断は就学期以降にされることが多いです。年齢が上がるにつれて、多動性の症状が弱まることもありますが、個人差があります。ADHDの子どもは集中しにくかったり、忘れ物が多いと注意を受けることが多く、それらが自信を失ってしまう可能性もあるので、ADHDの特性を理解して適切なサポートをすることが重要です。

ADHDの子どもは字が汚くなる理由

ADHDの子どもの字が汚くなる理由は以下の3つが考えられます。

・覚えたり練習したりすることが面倒

・字を書く練習をしている途中に癇癪を起こしてしまう

・集中力が長く続かない

まず、ADHDの子どもはドーパミンの分泌が少なく、やる気が出にくいため、興味を持たない活動、特に繰り返しの練習が必要な書字に対して熱意を持ちにくくなります。

さらに、感情のコントロールが難しいため、無理やり書字の練習をさせると、イライラが募りやすく、癇癪を起こすことがあります。この状態で字を書くと、乱雑になることがあります。また、ADHDの子どもは注意散漫になりやすく、他のことへすぐ気が向いてしまうため、一つの活動に長時間集中することが困難です。この集中力の欠如によって、書字の練習が難しくなります。

「字が汚い」のは書字障害の可能性も

ADHDの子どもは、字が汚いという問題が出やすいですが、書字障害が原因で字が汚い可能性もあります。

ここでは書字障害について詳しく解説していきます。

 書字障害とは

書字障害とはディスグラフィアとも呼ばれ、文字や文章などを書くことに困難が生じる状態を指します。

書字障害は医学用語ではないため統一された定義もなく、原因もはっきりとは分かっていませんが、脳機能の偏りであると考えられています。

よって、知的発達に遅れがない場合でも発症することもあるため、聞くことや理解すること、答えることなど、書くことに直接関わらない部分では問題が生じないこともあります。

そのため、書字障害のある子どもは、「頑張っているのに、結果が出にくい」という状態になりがちです。子ども自身も困惑し、自分を責めてしまう恐れもあるので、書字障害の問題に早く気づき、適切なサポートを行うことが重要です。

 書字障害の原因

  認知処理機能

書字障害を含むSLD(限局性学習症)の原因は、認知処理機能の偏りによる場合があります。その理由は、SLDには脳機能の偏りがあるからです。

具体的には、視覚認知力の弱さが主な要因の一つとされており、視覚認知とは、目から入ってくる情報を脳が解釈し、処理する能力を指します。この能力が低いと、文字の形や位置を正確に認識することが困難になります。

  発達性運動協調障害(DCD)

書字障害の原因が発達性運動強調障害(DCD)である可能性も考えられます。

発達性運動強調障害とは、運動や動作にぎこちなさを与えてしまうことにより、日常生活に影響を与える発達障害を指します。

特定の身体活動、特に手先を用いた細かい作業をする際に影響を受けるため、筆圧の調整、文字の形の正確な描画などを必要とする文字を書く行為は発達性運動強調障害をもつ子どもには困難です。そして結果として、文字が不規則で読みにくくなったり、文字の大きさが一定でなかったりすることがあります。

   音韻処理

書字障害の原因が音韻処理の問題にあると考えられる理由は、言葉を構成する音(音韻)を脳がどのように処理するかに関連していると考えられます。音韻処理は、目で見た文字とそれに対応する音を関連付ける能力、またその逆の能力、つまり聞こえた音から対応する文字を想起する能力を指します。

この音韻処理の能力が弱い場合、文字から音に変換する読み書きプロセスに支障をきたしてしまいます。具体的には、文字を書く際に正しい音を思い出すことができないため、その文字の正確な形の記憶や再現が困難になることが挙げられます。

また、音から文字への変換がスムーズに行われないため、書く際に誤った文字を選んでしまうこともあります。

  継次処理能力

 書字障害がある子どもは継次処理能力が低い可能性もあります。

継次処理能力とは、情報を順番に処理して一つずつ順序立ててこなす能力を指し、野子能力が低いと手書きの文字が汚くなってしまうことがあります。これには、文字の形を記憶し、正確に再現する手順を順序立てて行う能力が影響しています。手順の記憶と実行が不十分であると、文字形が不正確になり、文字サイズや間隔が不均一になる可能性があります。また、書く過程で注意力の維持が困難になり、文字の乱れや行の歪みが生じやすくなります。

ADHDの子どもの字が汚いと影響してしまうこと

文字を教えている親と子供

ADHDの子どもの字が汚いと、他にも様々な面で子どもに悪影響を及ぼしてしまいます。ここではどのような影響を及ぼしてしまう可能性があるかを解説していきます。

ノートが読みにくくなる

子どもの字が汚いとノートが読みにくくなってしまいます。ノートが読みにくいと、復習時に自分の書いた内容を理解するのが困難になり、学習内容の定着がうまくいかない場合があります。また、教師や同級生がそのノートを読む際にも、情報の伝達がスムーズに行われないため、誤解を招く原因にもなり得ます。このような状況は、子どもの自信低下にも繋がりかねません。そのため、ADHDの子どもには、文字を書く技術を向上させるための適切なサポートが必要です。

字が汚いとマイナスな印象を持たれやすくなる

子どもが字を汚いと、周囲からマイナスな印象を持たれやすくなってしまいます。

これは、一般的に「きれいな字=丁寧な性格」や「整理整頓ができる」などといった肯定的な特性と結びつけられることが多いためです。そのため、字が汚いと「不注意である」「怠慢である」といったマイナスのイメージを持たれやすくなってしまいます。

特に学校のような教育の場では、先生が生徒のノートや答案を見て評価することが一般的です。字が汚いと、内容が正しくても伝わりにくく、評価が低くなる可能性があります。さらに、クラスメート間でも「字が汚い=だらしない」といった偏見に繋がることがあります。これらの偏見は、子どもの自信や社会的な交流にも影響を与え、心理的なストレスを増大させてしまう可能性があります。

字が汚いと言葉で伝えないといけなくなる

子どもは字が汚いと、周囲からマイナスな印象を持たれやすくなってしまいます。

これは、一般的に「きれいな字=丁寧な性格」や「整理整頓ができる」などといった肯定的な特性と結びつけられることが多いためです。そのため、字が汚いと「不注意である」「怠慢である」といったマイナスのイメージを持たれやすくなります。

特に学校のような教育の場では、先生が生徒のノートや答案を見て評価することが一般的です。字が汚いと、内容が正しくても伝わりにくく、評価が低くなる可能性があります。さらに、クラスメート間でも「字が汚い=だらしない」といった偏見に繋がることがあります。これらの偏見は、子ども自身の自信や社会的な交流にも影響を与え、心理的なストレスを増大させてしまう可能性があります。

ADHDの子どもが綺麗な字を書くための方法

やる気が出ない男の子

ADHDの子どもが字を綺麗に書けるようになるには、ADHDの特性を理解した適切な保護者のサポートが必要です。

ここでは保護者にはどのようなサポートができるのかを紹介していきます。

親子で楽しい練習方法を見つける

ADHDを持つ子どもが綺麗な字を書くには、親子で楽しむことができる練習方法を見つけることが効果的です。なぜなら、ADHDの子どもは集中力が短いため、長時間の反復練習が苦手で、すぐに飽きてしまうことがあるからです。

子どもが飽きないよう、書くこと自体を楽しむ要素を取り入れることが重要になります。

 例えば、親子で一緒に書く時間を設けることも効果的です。親が手本を示すことで、子どもは正しい筆順や文字の形を自然と学びます。この時、親が子どもの努力を認めて積極的に褒めてあげることにより、子どもの自信とモチベーションが向上します。

 さらに、どれだけ綺麗に文字が書けるか、どれだけ多くの単語を書けるかをゲーム感覚で競うことも効果的です。

大きな目標ではなく小さな目標を立てる

ADHDの子どもに綺麗な字を書く練習をさせるには、大きな目標ではなく小さな目標を立てることが効果的です。なぜなら、ADHDの子どもは注意力が散漫な特性を持つからです。

注意力が散漫だと長時間の練習に集中することが難しいため、短時間で達成できる容易で小さな目標を一つ一つクリアして段階的にスキルアップを目指しましょう。また、小さな目標は達成しやすく目標を達成できる回数も多くなるため、子どもも自分の成長を具体的に感じられるようになります。そうすると、自信を持つことができ、モチベーションの維持につながります。

子ども自身が書くことの楽しさを見出すことができれば、自然と書く技術が向上できるでしょう。

成長する過程をしっかり褒めて応援してあげる

ADHDの子どもが綺麗な字を書くためには、子どもの成長過程を積極的に褒めて応援することが効果的です。ADHDの子どもは一つのタスクに長く集中することが難しいため、自己評価が低くなりがちです。そのため、しっかり褒めて応援してあげることが子どもの自信になり、モチベーションの維持にもつながります。

例えば、文字を一つでも上手に書けた際に、その努力と成果を明確に褒めることなどが挙げられます。子どもは自分の努力が認められたと感じ、次も頑張ろうという意欲につながるでしょう。このようなサポートは、ADHDの子どもが直面する自己肯定感の低さを補い、書くスキルの向上だけでなく、他の学習面や社会的なスキルの向上にも良い影響を与えます。

子どもが集中できる環境を整える

ADHDの子どもが綺麗な字を書くためには、集中できる環境を整えることが非常に重要です。これはADHDの特性の注意散漫、衝動性、多動性は、学習や書く作業において障害となりえるからです。特に、注意散漫な特性は他の刺激に惹かれるため、静かで刺激の少ない環境を作ることが効果的です。

 具体的には、学習スペースを整理整頓し、余計なものは机の上から取り除くことで集中力を高めます。また、視覚的な刺激を減らすために、壁のデコレーションを控えめにすると良いでしょう。書く活動に集中できるよう、必要な文房具のみを用意し、その配置も子どもが使いやすいよう工夫します。

このように、ADHDの子ども特有の集中力の問題に対応した環境を整えることにより、書く技術の向上を助け、学習の質を高めることができます。

焦らずコツコツと練習を見守る

ADHDの子どもが綺麗な字を書くためには、焦らずにコツコツと練習を見守ることが重要です。なぜなら、ADHDの子どもは注意力の維持や集中することが難しく、一度に多くの情報を処理することが苦手だからです。そのため、練習の過程で焦りを感じさせず、一歩一歩確実に文字を書くことを身につけるためのサポートが必要です。

具体的には、短い期間で大きな成果を期待するのではなく、小さな成功を積み重ねるように心がけることが挙げられます。一文字ずつ丁寧に練習させ、その一文字が上手く書けたら積極的に褒めてあげることが効果的です。

子どものペースに合わせ、ストレスを感じさせないように書く練習をさせましょう。

字が綺麗になることでもたらす良いこと

文字を書きながら考え事をしている女の子

真面目やきちんとした印象を与えやすい

字が綺麗に書けることは多くの面で利点をもたらします。特に、人に与える印象において、綺麗な字は真面目できちんとしたイメージを強く伝える効果があります。これは、手書きの文字がその人の性格や態度を反映すると広く考えられているためです。

 例えば、手紙やメモを受け取った際、文字が整っていて読みやすい場合、書いた人が時間をかけて丁寧に書いたと感じられます。これは受け手に対する敬意とも取られ、ポジティブな印象を与える要因となります。

 また、字が綺麗になると、ビジネスの場面でも仕事に対する真剣さや、細部にわたる注意深さが評価されることがあります。これにより、信頼性や責任感のある人物として評価が高まるでしょう。

周囲から注目されやすい

子どもが綺麗な字を書けることは、さまざまなメリットをもたらし、周囲からの注目を集める効果があります。

 まず、学校の環境で考えると、綺麗な字を書く子どもは、先生からの評価が高くなりがちです。さらに、授業の内容の理解度が高く見えるため、教師にも綺麗な字を書く子どもは学業成績が良いと評価されることが多く、一目置かれる存在になることがあります。

 また、学校外の活動やコンテストにおいても、綺麗な字を書く子どもは評価が高まります。例えば、手紙やエッセイのコンテストでは、見た目の美しさが評価の一部になることが多いです。こうした場面で成功を収めることが、子どもの自信に繋がり、さらに多くのチャレンジに積極的に取り組むきっかけを作ります。

 このように、子どもが綺麗な字を書けることは、教育的な利点だけではなく、社会的な注目を集め、人間関係の発展や個人の自己成長を促す大きなメリットを持っています。

大事な書類を書くときに困らない

子どもの字が綺麗だと、将来的に大事な書類を書く際に困らないという大きなメリットがあります。綺麗な字を書くスキルは、学校生活を通じてだけでなく、大人になってからも非常に重要な役割を果たします。

 例えば、就職活動時の履歴書やエントリーシート、ビジネスの提案書や報告書など、多くの場面で手書きの文書が求められることがあります。このとき、内容の正確さと共に、書かれた字の美しさが相手に与える印象を左右し、信頼感や誠実さを伝える手助けとなります。

 さらに、綺麗な字は、契約書や法的文書など、誤解を招かない明確なコミュニケーションが求められる書類においても重要です。読みやすい字は情報の誤伝達を防ぎ、すべての関係者が文書の内容を正確に理解することを助けます。

 また、個人的な場面での手紙やお礼状も含め、綺麗な字は相手に敬意を示すとともに、自分の思いや感謝を適切に伝える手段となります。綺麗な字を身につけることで、コミュニケーションの質が向上し、社会人としての基本的なスキルを備えることができます。

まとめ

楽しそうに描いている女の子

ADHDの子どもは特性により字が汚くなりやすいですが、書字障害の可能性もあります。

書字障害は発達障害でなくても発症することもあるため、勉強はできるのに字が汚いという場合は書字障害を疑ってもいいかもしれません。

ADHDの子どもが綺麗な文字を書けるようになるためには、保護者がADHDの特性を理解して正しいサポートをすることが大切です。

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この記事を書いた人

ウィズ・ユー編集部

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