発達障害の子どもが幼稚園に通うための心得:選び方や手続き方法を解説

親子で公園で遊んでいる写真

発達障害のある子どもを幼稚園に入園させたいとき、どのように幼稚園を選んだらいいのか、受け入れ先はあるのか不安に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

子どもの笑顔が溢れる幼稚園生活は、親としての一番の願いですよね。

この記事では、発達障害を持つ子の幼稚園選びについてポイントや手続き方法を解説します。
子どもたちが、幸せな幼稚園生活を送るために、また保護者の方が安心して子どもを預けられる場所を見つける参考になれば幸いです。

幼稚園選びの重要性とは

赤ちゃんの誕生日会

幼稚園は、子どもが最初に集団生活に足を踏み入れる最初のステップとも言えます。

集団生活で生活習慣を身につけ、コミュニケーションのスキルを学び、友達を作ることは非常に大切で、将来の進学や就職においても重要な役割を担います。

また、親も育児で悩んでいることを園の先生に相談できたり、子どもと離れる時間ができることでメリハリができることなどがメリットとして挙げられます。

発達障害の子どもの幼稚園選びのポイント

お母さんが子どもへ注意している写真

では重要な幼稚園を選ぶ際は、どんなところをチェックしたらよいのか、チェックしてほしいポイントを3つ解説します。

発達障害の子どもの受け入れの経験があるか

発達障害を抱える子どもをお持ちの保護者は、障害を幼稚園に伝えることに悩むことも多いかと思います。

残念ながら、子どもの発達障害を伝えることで、発達障害を理由に入園が拒否されるケースも多く見られます。
しかし、障害を隠して園に入園できたとしても、後々苦労する可能性が高いです。

発達が気になる要因がある場合は、入園前に幼稚園に遠慮せずに伝えるべきです。診断名があれば共有し、子どもが苦手とすることやサポートが必要な点も率直に伝えるようにしましょう。
抵抗があることも理解できますが、入園後に円滑な連携を築く上で必要不可欠です。

加配をお願いできるか

1つのクラスには何人の生徒が在籍し、先生たちはどのように配置されているのか、そして加配制度について園の方針を確認しましょう。

「加配制度」とは、幼稚園の生活を定型発達の子と同じように送ることが難しい子に先生が付き添い、サポートしてくれる制度のことです。
集団行動が出来ないときなど、担任の先生とは別の加配の先生が居ることによって、フォローしてもらうことができます。

園によっては、保護者からの申請に基づいて加配を行う場合もありますが、中には独自に加配を行っているケースもあります。

私立の園では、自治体の補助金などにより加配を実施することが一般的ですが、補助金の分配方法は園によって異なり、公立・私立を問わず、加配の先生がつくかどうか、補助の先生が頻繁にサポートを行っているかは園次第です。
補助金の額では専任の加配の先生を雇うことは難しいことも。

園の状況を確認するためには、加配の前例があるかや補助の先生の存在について直接園に問い合わせることが良いでしょう。

見学時の子どもへの対応

幼稚園の見学に子どもを連れて行くべきかどうか悩むかと思いますが、子どもを連れて行くことで以下のメリットがあると指摘しています。

  • 幼稚園側の受け入れ・歓迎度がわかる
  • 先生の力量がわかる
  • 入園後のミスマッチが起きにくい

一方で、デメリットとして、親がゆっくり見学できない可能性がある点も。
ただ、園によっては、親がゆっくり見学できるように子どもを遊ばせてくれる園や、子どもが退屈しないように配慮してくれる園もあるようです。

幼稚園見学を通じて得られる実際の雰囲気や先生方の様子は、入園を考える上で貴重な情報となります。

幼稚園選びの困りごと

女の子が草むらで遊んでいる写真

発達障害の子どもの幼稚園選びでよくある困りごとを3つご紹介します。

入園を拒否されることもある

前述しましたが、発達障害の子どもを受け入れてもらうことを依頼した際、断られてしまう場面に直面することもあります。
入園拒否や不適切な言葉に傷つくこともあるかもしれません。しかし、入園が断られた場合は、その園とのご縁がなかったと受け入れ、諦めることも大切です。

その代わり、子どもを心から受け入れてくれる別の素晴らしい幼稚園を見つけることが重要です。
柔軟な選択肢を探し、子どもの個性やニーズに合った環境を見つけることで、より良い未来が待っているでしょう。

選び方が難しい

発達障害の特性は非常に個人差があり、定型発達の子どもとの違いを見極めるのは難しいことがあります。

自分の子どもの得意なことや苦手なことをよく理解し、子どもに合った幼稚園を見つけるのはなかなか難しいです。
ひとりで悩まず、まずは発達支援センターや地域の窓口などに相談しましょう。

子どもが行きたがらない

園の運営方針や受け入れの体制に納得しても、子どもが実際に「通いたい」と感じるかは別の問題です。
言葉の遅れやこだわりが強い場合、幼稚園に対する興味が薄いこともあります。園や専門家と協力して解決策を見つけることが重要です。

幼稚園入園までの手続き

子どもが土で遊んでいる写真

ここまでは幼稚園選びのポイントや困りごとをご紹介しましたが、実際に幼稚園に入園しようと思ったらどのような手続きをするのか、解説します。

幼稚園一覧リストを入手

まず、最初に行うべきことは、地域の幼稚園を把握するために一覧リストを手に入れることです。
自治体のホームページや子育て支援課、保育課などで、幼稚園一覧リストを入手できます。

そのリストから基本情報を確認しましょう。チェックすべき基本情報は下記が挙げられます。

  • 金銭面のこと(入園料・保育料・一時保育利用料・入学金など)
  • 通園のしやすさ(場所・送迎バスの有無)
  • プレ保育の有無(一部園では兄弟やプレに通っていた子が優先されることも)
  • 保育時間
  • 延長保育の有無(利用料・時間帯・長期休暇も考慮)
  • 給食の有無

これらの基本情報をもとに、優先順位をつけて気になる園をリストアップします。ただし、発達障害を抱える子どもにとって、条件が良い園が必ずしも合うとは限りません。

子どもに合うかどうかの視点が極めて重要なので、柔軟に妥協できる点を見つけることが大切です。

療育先に相談

園の基本情報を手に入れたら、次に子どもに適しているかどうかを調べていきます。療育に通っている場合、その施設で相談することがおすすめです。

以下は相談先の一例です。

  • 発達支援センター
  • 児童発達支援
  • 保健センター
  • 医療機関(児童精神科など)

療育機関に繋がっている場合、その園での発達障害児の受け入れ状況を知ることもできます。
ただし、発達支援センターなどの公的機関は「どの幼稚園が良いか」について直接答えることは難しいことがあります。その際は質問の仕方を工夫して情報を引き出すことが重要です。以下はその例です。

  • 「発達障害の子を受け入れていた園をご存じですか?」
  • 「○○園は、発達障害のお子さんを受け入れていると聞きました。どのような園ですか?」
  • 「先生が担当した園で、○○園に通っていたお子さんはいらっしゃいますか?」

このような質問の仕方をすることで、情報が得られることがあります。
直接的な園のおすすめは難しいかもしれませんが、どういう視点で選ぶべきかについては教えてもらえるでしょう。

見学

自治体による差はあるかもしれませんが、書面や人伝で得られる情報には限りがあるので、実際に自分の目で確かめることが重要です。

幼稚園のホームページをチェックし、情報が足りない場合は直接園に問い合わせることをおすすめします。

問い合わせの具体的な方法には

  • 園に直接電話
  • 入園説明会
  • 園庭開放
  • 見学会
  • プレスクール

などが挙げられます。

見学は必須ではありませんが、実際の先生や園児の様子を見たり、施設の設備を確認したりなど、目で見ないとわからないことも多いので、見学に行くことをオススメします。

発達障害の子に合った園は、大規模な幼稚園よりも小規模の園が合っていることがありますが、小規模の園はホームページが整備されていないことも多いため、その場合は手間はかかりますが直接電話をしたり、見学に行きましょう。

また、年中個別の園見学を受け入れる園もあります。
電話での問い合わせも歓迎されていることが多いので、些細なことでも気軽に質問してみてください。

発達障害の子どもが幼稚園でトラブルを起こさないための工夫

赤ちゃんと遊んでいる写真

子どもが保育園や幼稚園に通い始めると、保護者はさまざまな悩みや心配が生まれることでしょう。

特に、幼稚園では多くの子どもが一緒に過ごすため、「ほかの子どもと上手に遊べているか」「けんかはしていないか」といった、子どもの集団行動や対人関係が気になることかと思います。
小学校に進学するとより集団行動が求められますので、幼稚園の段階でトラブルを回避できるような工夫を身につけられることはとても重要です。

この章では発達障害を抱える保護者や周りの人ができる発達障害の子どものトラブルを未然に防ぐ工夫について詳しく解説します。

子どもの気持ちを理解する

子どもの気持ちを理解することは、将来的なトラブルを未然に防ぐ助けともなります。子どもの話を聞くことは、子供が抱える悩みや困難を把握し解決する第一歩です。

発達障害の子どもたちは、自分の感情や思いを表現するのが難しいことがあります。言葉や表現方法が限られているため、保護者がじっくりと耳を傾け、子どもの言葉の裏にある本当の気持ちを理解することが大切です。

保護者が子どもの話に真摯に向き合い、目を合わせながらコミュニケーションをとることで、子どもは安心感を得て自分の気持ちをよりオープンに表現しやすくなります。

まずは子どもの声に耳を傾け、真摯に向き合うことが必要です。

幼稚園でのルールを教える

発達障害を持つ子どもたちは、一般的にルールを理解することが苦手とされています。そのため、保護者が幼稚園に入園する前に、家庭でルールを教えておくことをおすすめします。
これにより、子供たちは幼稚園での生活においてスムーズかつ円滑に適応し、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

家庭でルールを教える際には、わかりやすい言葉を使い、具体的な例を挙げ、図やイラストを交えながらルールを説明することで、子供たちが理解しやすくなります。

また、家庭でのルールを教える際はルールを守ることの楽しさを伝えてあげましょう。そしてルールを守れた時には褒めることで、子供たちは自己肯定感を高め、ルールを守ることを継続できるようになります。

視覚から分かりやすく伝える

発達障害を抱える子供に、情報を伝える手段として視覚から伝えることが効果的です。
なぜなら、発達障害の子供たちは、言葉よりも視覚的な情報を理解しやすい傾向にあると言われているからです。

色や形、図やイラストを活用することで、子供たちが直感的に理解しやすくなります。

下記に具体的な例をいくつかあげます。

視覚からわかりやすく伝える具体例

  • 注意して欲しい点をメモにリストアップして渡す
  • 説明をイラストにして見せる
  • スケジュールや日課などを全て書き出して壁に貼っておく

ご家庭で是非取り入れてみてください。

発達障害について園と連携をとる

発達障害を持つ子供が幼稚園で円滑に過ごすためには、園との密なコミュニケーションが不可欠です。
保護者が積極的に幼稚園の先生に子供の日常の様子を共有することが大切です。

また、先生に子どもの発達障害の特性について伝えることも重要です。発達障害と一言でいっても、症状は子ども一人一人により大きく異なります。
保護者からの情報があれば、先生が子供の特性や個性を把握し、それに基づいた配慮を行うことができるでしょう。

まとめ

赤ちゃんが指を咥えている写真

最後までご覧いただきありがとうございました。

発達障害を抱える子供の幼稚園選びにおいては、子供の特性を十分に理解し、それに合った支援が受けられる園を選ぶことが重要です。

現代では、インターネットから簡単に情報や口コミを入手することができますが、直接足を運び、園の雰囲気や教育プログラム、支援体制について細かく確認することも、お子さんの特性に合う最適な環境を見つけるのに不可欠です。

幼稚園選びは何もわからないところからスタートするので、不安も多く、何から始めたらよいか難しいかもしれませんが、最初の一歩を踏み出してしまえば、あとは自然と物事が進んでいきます。

本記事が素敵な幼稚園を見つけるきっかけになれば幸いです。

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この記事を書いた人

ウィズ・ユー編集部

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