発達障害のお子さんが勉強中にイライラしてしまう…
勉強に集中できず、理解するのも難しい…
このようなお悩みはありませんか?
発達障害のあるお子さんの勉強時のイライラには、さまざまな原因があります。適切な対応や環境づくりで、イライラを軽減し、学習効果を高めることができます。
この記事では、発達障害のお子さんの勉強でのイライラに悩む方へ向けて、原因や対処法、効果的なサポート方法を解説します。また、親御さん自身のストレス軽減法;についても紹介します。お子さんとの良好な学習環境づくりの参考として、ぜひ参考にしてください。
発達障害の子どもが勉強でイライラする原因
勉強に集中できない
発達障害のある子どもは、周囲の刺激に敏感で注意が逸れやすい特性があります。そのため、勉強中に集中力が続かず、イライラしてしまうことがあります。部屋の音や光、机の上の物など、視界に入る動くものに反応してしまい、気が散りやすいのです。
さらに、興味がない科目や内容に対しては、特に集中力を維持するのが難しいと感じることが多いのも特徴です。発達障害の子どもは興味があることには深く没頭できる一方で、興味がないことには全く関心を示さないことがあります。このため、勉強の内容が本人の興味に合っていない場合、集中力が続かずにイライラを感じることが増えます。
また、長時間同じ作業を続けることが苦手な場合もあり、勉強が長引くこともストレスを感じる要因です。集中できないことで学習効率が下がり、その結果イライラが募る悪循環に陥ることもあるでしょう。
勉強が理解できない
発達障害の子どもにとって、勉強が理解できないことも大きなストレス源となります。情報を処理する方法や速度が一般の子どもとは異なるため、抽象的な概念や複雑な指示を理解することが難しい場合があります。教科書の文章や問題文の意味がすぐに把握できず、何をすればいいのかわからないことでイライラしてしまうのです。
また、聴覚情報の処理が苦手な子どもは、先生の説明を聞いても内容が頭に入りにくく、授業についていけない状況に陥りがちです。視覚情報の処理が苦手な子どもは、板書や教科書の文字を読むのに時間がかかり、内容理解が追いつかないこともあります。こうした理解の困難さが積み重なると、勉強全体に対する苦手意識が強くなり、イライラの原因となります。
勉強をやりたくない
発達障害のある子どもは、過去の経験からくるネガティブなイメージから、勉強に対して強い抵抗感を持っている場合があります。そのため勉強そのものが楽しくないと感じ、やる気がなくなることも要因です。「どうせできない」という思い込みや苦手意識が先行し、勉強を始める前からイライラしてしまうのです。
また、興味関心の偏りが強い場合、勉強以外のことに夢中になりやすく、勉強時間を確保することが難しくなります。親や教師から勉強しなさいと言われると、やりたくないという気持ちが高まり、イライラにつながります。
【種類別】発達障害の子どもが勉強で困っていること
ASD(自閉スペクトラム症)
ASD(自閉スペクトラム症)の子どもたちは、ルーチンや決まりごとに強く依存する傾向があり、予期しない変更や新しい課題に対する適応が難しいです。このため、突然のスケジュール変更や予想外の出来事は、彼らのストレスを増大させ、学習意欲を低下させることがあります。
また、社交的なスキルの欠如やコミュニケーションの困難さから、教師やクラスメートとの交流がうまくいかず、グループ学習や発表などの協働作業に苦手意識を持ちやすいです。抽象的な概念や曖昧な指示に対する理解が難しいため、文章問題や読解力を必要とする課題に戸惑うこともあります。
さらに、感覚過敏がある場合は、教室の騒音や蛍光灯のちらつきなどに影響を受け、集中力が低下することもあります。
ADHD(注意欠如多動症)
ADHD(注意欠如多動症)の子どもたちは、注意力の持続が難しく、授業中に集中を保つことに苦労します。そのため話を最後まで聞けなかったり、課題の指示を聞き逃したりすることがあります。また、ADHDの子どもは、思ったことをすぐに行動に移してしまう傾向があります。このため、計画的に物事を進めるのが難しいところが特徴です。例えば、宿題をやろうと思っても、他の興味のあることに気を取られてしまい、気がつけば宿題が手つかずのままになってしまうことがあります。
忘れ物が多く、宿題の提出を忘れたり、必要な教材を持ってこなかったりすることも珍しくありません。時間管理が苦手なため、テストの時間配分がうまくいかず、最後まで解答できないこともあります。
多動性が強い子どもの場合、長時間じっと座っていることが難しく、授業中に立ち歩いたり、机をガタガタさせたりすることで、周囲の注目を集めてしまうこともあるでしょう。
LD(学習障害)
LD(学習障害)は、一般的に読み書きや計算といった学習の基本的なスキルに困難を抱える子どもたちに見られる症状です。例えば、ディスレクシア(読字障害)がある場合、文字の読み取りや音読に時間がかかり、内容理解が遅れがちになります。ディスグラフィア(書字障害)では、文字を書くことに困難を感じ、ノートをとる・作文の課題などに苦戦します。
ディスカリキュリア(算数障害)の場合は、数の概念理解や計算が苦手です。そのため数学の授業についていけなくなることがあります。これらの特性により、特定の教科や課題に対して強い苦手意識を持ち、学習意欲の低下につながる場合があります。
子どものイライラを減らす方法
勉強以外に気が移らない環境をつくる
発達障害のある子どもは、周囲の刺激に敏感なため、集中しやすい環境を整えることが重要です。まず、勉強する場所を選ぶ際には、静かで落ち着いた場所を選びましょう。リビングルームのように人の出入りが多い場所や、テレビやスマホ、ゲーム機などの誘惑が多い場所は避けたほうがよいでしょう。また、勉強する際には机の上を整頓し、必要な教材や文房具だけを置くようにします。余計な物が視界に入ると、それだけで気が散ってしまうことがあります。
さらに、視覚的な刺激を減らすために、壁に貼るポスターやカレンダーなども控えるのもおすすめです。音が気になる場合は、ノイズキャンセリングヘッドホンの使用も検討するのもよいでしょう。照明は目に優しい明るさに調整し、長時間の勉強でも疲れにくい環境を整えます。
スマートフォンやタブレットなどの電子機器は、勉強中は手の届かない場所に置くなど、誘惑を減らす工夫も効果的です。
子どもの得意な勉強方法を取り入れる
発達障害の子どもがイライラせずに勉強に取り組むためには、彼らが得意とする勉強方法を見つけ、それを積極的に取り入れることが重要です。発達障害の子どもたちは、それぞれ異なる強みや学び方のスタイルを持っており、その特性に合った方法を見つけることで、勉強のストレスを軽減できます。
視覚的な情報処理が得意な子どもには、図や絵、カラフルな付箋を使った学習法が効果的です。聴覚的な情報処理が得意な場合は、音声教材や読み上げアプリを活用しましょう。
体を動かしながら学ぶことで集中力が高まる子どもには、フラッシュカードを使ったゲーム感覚の学習や、立って黒板に書きながら覚える方法などを取り入れます。また、ICTツールを活用し、タブレットやパソコンを使った学習も効果的な場合もあります。
子どもの興味関心を学習に結びつけることも大切です。好きな題材やキャラクターを取り入れた問題を作るなど、楽しみながら学べる工夫をすることで、イライラを軽減できる可能性があります。
勉強後のごほうびを用意する
ごほうびは子どものモチベーションを高め、勉強に対する前向きな態度を促進する重要な要素です。特に発達障害の子どもにとっては、具体的で分かりやすい目標を設定することで、勉強に取り組む意欲が増します。
ごほうびの選び方は子どもの興味や好みに合わせることが大切です。お気に入りのアニメの時間を設けたり、特別なおやつを用意したりするなど、子どもが楽しみにできる活動を計画するのもよいでしょう。また、長期的な目標として、ポイント制を導入し、一定のポイントがたまると大きなごほうび(例えば、欲しかったおもちゃや家族での特別な外出)を得られる仕組みを作るのもおすすめです。このようにすることで、子どもは勉強を継続する持続的なモチベーションを持ちやすくなります。
ただし、ごほうびの設定は適度に行い、勉強自体への興味や達成感を育むことも忘れないようにしましょう。過度なごほうびは、かえって学習意欲を低下させる可能性があります。
わかりやすいゴールを設定する
発達障害のある子どもは、見通しを立てることが苦手な場合が多いため、明確なゴールを設定することが重要です。長期的な目標だけでなく、日々の勉強においても具体的な到達点を示すことで、イライラを軽減できます。
例えば、「30分間集中して勉強する」「ドリル5ページ分を終わらせる」など、具体的で達成可能な目標を設定します。タイマーを使って時間を可視化したり、終了予定時刻を伝えたりすれば、子どもは安心して取り組むことができます。
また、ゴールを設定する際には、子ども自身が参加することも大切です。親や教師が一方的に目標を設定するのではなく、子ども自身の意見や希望を取り入れることで、子どもが自分自身の目標に対して主体的に取り組む姿勢を育てることができます。
親がイライラしないための気持ちの持ち方
無理に勉強させるのは逆効果
親が子どもに勉強を無理強いすることは、逆効果になることが多いです。特に発達障害を持つ子どもにとって、無理な勉強はストレスを増加させ、結果としてさらに学習への意欲を低下させます。親のイライラは子どもにも伝わり、さらなる負の連鎖を生みかねません。まず子どもの気持ちや状態を理解し、無理のない範囲でサポートすることが重要です。
子どもの興味や得意分野を見つけ出し、それを利用して勉強に取り組む方法を考えるとよいでしょう。また、勉強の時間を短く区切り、休憩を挟むことで集中力を保つことも効果的です。短い時間でも集中して取り組めたことをほめ、小さな成功体験を積み重ねていきましょう。子どもの興味関心を活かした学習方法を探ることで、自発的に勉強に向かう姿勢を育むことができます。
親自身も、長期的な視点で子どもの成長を見守る心の余裕を持つことが重要です。一時的な成績よりも、学ぶ楽しさや達成感を味わえる環境づくりに注力しましょう。
親子でイライラする場合は一度中断してみる
勉強中に親子でイライラが高まってしまった場合、その場で解決しようとせず、一度中断することが賢明です。感情が高ぶっている状態では、お互いの言動を冷静に受け止めることが難しく、状況を悪化させてしまう恐れがあります。
親が冷静でいることは、子どもの安心感を高めるためにも欠かせません。中断することで、親も自分の感情を整理する時間を持てるようになるでしょう。
休憩を取ることで、親子ともにリフレッシュし、気持ちを落ち着かせることができます。例えば、軽い体操やストレッチ、深呼吸などは心身をリラックスさせることができるのでおすすめです。また、好きな音楽を聴いたり、短時間の読書をしたりするのも効果的です。
中断の時間は、必ずしも長く取る必要はありません。短い時間でも十分に効果があります。重要なのは、親子共にリフレッシュできることです。勉強は長期戦なので無理に続けることよりも、中断をうまく取り入れながら持続的に取り組むことが、最終的には成果につながります。
自分に合ったストレス発散方法を探す
自分に合った発散方法を見つけるためには、まず自分がどのような状況でストレスを感じやすいかを理解することが大切です。例えば、運動をすることで気持ちがリフレッシュする場合もあれば、静かな場所で読書をすることで心が落ち着くこともあります。また、音楽を聴く、趣味に没頭する、日記を書くなど、さまざまな方法があります。
一度自分に合った発散方法を見つけたら、それを積極的に取り入れる習慣をつけましょう。特に、日常的に取り入れやすい方法を選ぶと、ストレスが溜まる前にリセットできます。また、家族や友人と話すことも効果的です。自分の気持ちを共有することで、心の負担が軽くなり、冷静に子どもの勉強をサポートすることができるようになるでしょう。
さらに、同じ悩みを持つ親同士で交流する機会を持つのもおすすめです。経験や情報を共有できるため、精神的なサポートを得ることができます。
どうしても収まらないときは誰かに相談する
どんなに頑張ってもイライラが収まらない場合、無理に自分一人で解決しようとするのはやめましょう。
親自身がストレスを抱えてしまうと、子どもに対する接し方にも影響が出てしまいがちです。このような状況では、信頼できる友人や家族に相談することで、気持ちが軽くなることがあります。話を聞いてもらうだけでも、心の負担が大きく減ることがあります。
まずは、配偶者や家族、信頼できる友人に気持ちを打ち明けてみましょう。話すことで気持ちが整理され、客観的な視点を得られることがあります。自分自身を責めすぎないことが大切です。完璧な親である必要はありません。イライラしてしまうことは誰にでもあります。それをどう対処するかが大切です。誰かに相談することで、新たな視点や対策が見つかり、親子ともに前向きに進むことができるでしょう。
専門家や外部施設に相談するのもおすすめ
スクールカウンセラー
スクールカウンセラーは、学校内で子どもの心理的サポートを行う専門家です。発達障害のある子どもの学習面での困難やイライラの原因を、心理学的な観点から分析し、適切なサポート方法を提案できます。
スクールカウンセラーは、子どもが学校生活をスムーズに送れるよう、教師や他の教育スタッフとも連携を取ります。例えば、子どもが特定の教科に対してイライラしやすい場合、どのようにその教科を教えるか、どのような教材を用いるかなど、具体的な学習方法についてもアドバイスを提供可能です。また、子どもが抱える感情的な問題を理解し、適切なカウンセリングを通じてその問題を軽減する手助けを行います。
また、子どもだけでなく、親のカウンセリングも行っているケースが多いです。親のストレスや不安を軽減し、子どもへの適切な関わり方についてアドバイスを受けることができます。定期的に相談することで、子どもの成長に合わせた継続的なサポートを受けられる点も大きなメリットです。
学習塾や支援機関
発達障害に特化した学習塾や支援機関を利用することで、子どもの特性に合わせた効果的な学習支援を受けられます。これらの施設には、発達障害に対する専門的な知識と経験を持つスタッフが在籍しており、個々の子どもの特性に合わせた教育プランを提供します。
例えば、視覚的な情報処理が得意な子どもには図や絵を多用した教材を、聴覚的な情報処理が得意な子どもには音声教材を活用するなど、子どもの強みを活かした学習アプローチを実践しています。また、集中力の持続が難しい子どものために、短時間の学習と休憩を組み合わせた時間割を組むなど、細やかな配慮をすることが可能です。
さらに、これらの施設では、学習スキルだけでなく、社会性やコミュニケーション能力の向上を目指したプログラムも提供されていることが多いです。子どもの総合的な成長をサポートすることで、学習へのモチベーションを高め、イライラの軽減にもつながる可能性があります。
まとめ
本記事では、発達障害の子どもが勉強でイライラする原因や、その対処法について詳しく解説しました。勉強に集中できない、理解が難しいといった特性を理解し、子どもに合った環境やサポートを整えることで、イライラを軽減し、より効果的に学習に取り組むことができます。
また、親自身が気持ちに余裕を持ち、解決できないときは専門家の力を借りることも重要です。完璧を求めすぎず、小さな進歩を喜び合うことが、親子関係の改善と学習意欲の向上につながります。お子さんの可能性を信じて寄り添いながら、共に成長していく姿勢を大切にしてください。