発達障害の子育てに疲れ切ってしまったあなたへ|限界を感じた時の対処法

頭を抱え込む母

「子育ての悩みを誰にも相談できない…」

「このままずっと頑張り続けないといけないの?」

そんな思いを抱えていませんか?

発達障害のお子さんの子育ては、想像以上に心身ともに大きなエネルギーが必要です。一人で抱え込まず、適切なサポートを受けることで、あなたと子どもの関係がより良い方向に変わっていきます

そこで、この記事では疲れを感じているお母さん、お父さんに向けて、具体的な対処法や利用できる支援サービスについて解説します。より楽に、穏やかに過ごすためのヒントとして、ぜひ最後までお読みください。

発達障害の子育てで疲れる原因

発達障害の子どもの特性と育児の難しさの関係

発達障害と一口にいっても、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、ASD(自閉スペクトラム症)、LD(学習障害)など、さまざまなタイプがあります。子どもによっては、「落ち着きがない」「感覚過敏が強い」「コミュニケーションが苦手」「感情コントロールが難しい」といった特徴が見られることもあるでしょう。

こうした特性に対応するためには、通常の育児よりもエネルギーを費やす場面が多くなりがちです。その結果、親御さんは体力面でも精神面でも大きな負担を抱えやすく、気づかないうちに「疲れ」を溜め込んでしまいます。

予測不能な行動とパニックへの対処で疲弊しまう

発達障害の特性を持つ子どもは、突然予測できない行動に走ったり、強いストレス下でパニックを起こしたりすることがあります。公共の場で大声を出し始めたり、突拍子もないタイミングでダッシュしたり……。周囲に迷惑がかかっているのではないかと気にするあまり、親は常に神経を張り詰めた状態で外出しなければならないのです。

さらに、パニックを起こした子どもに対して言葉でなだめようとしても、本人が落ち着いて聞ける状態でないことも多く、対処に苦慮することもしばしばあります。いくつもの対処法を試してみても上手くいかず、「これまでの努力が無駄なのではないか」と自分を責める親御さんも少なくありません。

こうした「突然起こる予期せぬトラブル」に頻繁に直面することで、親は肉体的な疲労はもちろん、精神的にも強いストレスを抱えがちです。それが長引くと、「もうどうしていいか分からない」「自分には対応できない」と限界を感じてしまいやすくなります。

周囲に理解されずに孤独を感じてしまう

発達障害の特徴は、外見からは分かりにくいケースが多いものです。そのため、パニックや困った行動が表面化したとき、周囲の人たちが正しい理解を持って対応してくれるとは限りません。「しつけの問題」「親のわがまま」と誤解され、厳しい視線を向けられることもあります。

特に、公共の場所や学校行事などで子どもがパニックを起こしたり、トラブルを引き起こしたりしたとき、親は「自分の育て方が悪いと思われているのでは」と感じてしまうかもしれません。頼れる家族や友人が近くにいない場合には、相談できる相手も少なく、悩みを抱え込んでしまいやすくなります。

さらに、同じ悩みを共有する仲間の存在がないと、「自分だけが苦労している」という気持ちが強くなってしまい、孤立感が増すこともあります。こうした社会的・心理的なプレッシャーが積み重なり、育児の疲れを加速させる要因となるのです。

発達障害の子育てで現れる限界サイン

悩む女性

身体的な限界サイン

まず見逃せないのが、肉体からのSOSです。発達障害の子どもを育てている親は夜泣きやパニック対応で寝不足になることも多く、疲れを十分に回復させる暇がありません。

以下のような状態が続いている方は、要注意です。 

  • 慢性的な疲労感(起きた瞬間から疲れが取れない)
  • 肩こりや腰痛、頭痛などの痛みが増える
  • 食欲不振や過食による体重の急激な増減
  • 免疫力の低下で風邪をひきやすくなる
  • 寝不足のため昼間も強い眠気に襲われる

こうしたサインは放置していると、さらに重い不調を招く可能性があります。「少しくらい大丈夫」と我慢しているうちに、育児だけでなく職場や日常生活にも悪影響が出る危険性が高まります。身体の限界を感じたら、意識的に休息を取り、周囲の協力を求めることを考えましょう

精神的な限界を示すサイン

心の疲れは、気づきにくい反面、見過ごすと深刻な状態に陥りやすい厄介なものです。ちょっとしたイライラや落ち込みが続くようなら、精神的な限界が近づいているかもしれません。

代表的なサインは以下のとおりです。

  • 小さなことでもイライラ・怒りっぽくなる
  • 慌ただしさやストレスから頭が回らず、判断力や記憶力が低下する
  • 「また問題が起きるのでは」と漠然とした不安が常につきまとう
  • 「自分はダメな親だ」「子どもをちゃんと育てられない」と思い込む
  • 好きだった趣味や娯楽に手が伸びなくなり、やる気や喜びを感じにくくなる

さらに「他人に理解されない」「自分だけが苦しい」と感じてしまうと、このような精神的な不調は深刻化しやすくなります

長期的に続くようなら、一人で抱え込まずにカウンセリングや専門家への相談を検討しましょう。

発達障害育児の限界を乗り越えるための対処法

笑顔の女性

子どもがパニックを起こしたときの対処法

パニックや癇癪が起こったときは、親としても心の余裕を失いやすい場面です。しかし、そんなときこそ「いったん深呼吸して、落ち着ける環境を作る」のが最優先になります。

  • 深呼吸や抱っこなど、安心感を与える方法を試す
  • 部屋の明かりや音の刺激を減らし、気持ちを落ち着ける環境を用意する
  • 子どもの言葉が出ない場合でも、「怖いんだね」「びっくりしたね」と感情を代弁してあげる

子どもがパニックになっているときに叱ったり、無理に話し合おうとしても逆効果になりがちです。子どもが自分のペースでクールダウンできるよう、刺激を少なくした場所で見守ってあげるのがポイントです。

ABA(応用行動分析)療育を取り入れてみる

ABA(Applied Behavior Analysis:応用行動分析)は、望ましい行動を増やすために有効な療育法として注目されています。具体的には、子どもが「こうしたらほめられたり、ごほうびをもらえたりする」と理解できるよう、段階的にトレーニングをする方法です。

具体的な方法は次のとおりです。

  • 望ましい行動をしたら、ほめたりごほうびをあげたりして強化する
  • 問題行動はなるべく見守り、反応を最小限に抑える(消去)
  • 「いきなり完璧」は難しいので、少しずつ段階的に目標に近づける(シェイピング)

この方法を続けると、子どもは「この行動をすると良いことがある」と理解しやすくなります。実践のコツは、親がイライラせず、一貫性を持って対応することです。継続的に専門家からアドバイスを受ければ、よりスムーズに成果を実感できるでしょう。

ペアレントトレーニングを活用する

ペアレントトレーニングは、発達障害の子育てに関わる親を対象としたプログラムです。ここでは、子どもの問題行動を予防したり、ポジティブにほめるコツを学んだり、親自身のストレスコントロールを学んだりと、実践的な内容を身につけられます。

ペアレントトレーニングで学ぶことの一例を紹介します。

  • 親が先に落ち着く方法を知る(深呼吸やタイムアウトなど)
  • 子どもの行動を観察し、何がトリガーなのかを把握する
  • 肯定的な声かけを習慣づけ、子どもの自尊心を損なわないよう注意する

ペアレントトレーニングの良いところは、同じ悩みを持つ親同士が情報を共有できることにもあります。「うちだけじゃないんだ」と思えると、心の負担がかなり軽くなるはずです。

発達障害の子育て支援サービスを活用する

地域や専門機関には、発達障害の子育てをサポートしてくれるサービスが数多く存在します。子どもの療育だけでなく、親のメンタルケアを行う場もあるので、困っているときには遠慮せずアクセスしてみましょう。

  • 相談支援センター:専門家が子どもの特性に合わせたサポートを提案
  • 療育機関:個別指導やグループ学習など、子どもの発達を促すプログラム
  • 発達障害者支援センター:情報提供や研修、保護者向けセミナーなどを実施

「どこに聞けばいいかわからない」というときも、まずは地元の行政や支援センターに問い合わせてみましょう。必要な手続きや、お子さんに合ったサービスを丁寧に案内してもらえます。

レスパイトサービスを利用する

疲れがたまる前に、親自身が休息をとることもとても大切です。レスパイトサービス(一時預かり)を利用すれば、数時間〜数日間、子どものケアを専門家にお願いできます。

レスパイトサービスのおもなメリットは次のとおりです。

  • 「少しの間だけ1人の時間がほしい」ときに便利
  • 子どもにとっても新しい環境で過ごす経験となり、社会性を広げるきっかけになる場合もある
  • 利用先は自治体やNPOなどが提供しており、必要に応じて短期での利用が可能

「子どもを預けるなんて申し訳ない」と感じる人もいますが、親のリフレッシュは子どもにとってもプラスです。無理しすぎず頼れるサービスは積極的に活用し、一緒に成長していく道を探っていきましょう。

発達障害の子育てで疲れた心を癒す方法

母親を励ます母親

同じ悩みを持つ親との交流で孤独を解消する

一人で抱え込んでいると、何もかもが大きな壁に見えてしまうものです。そのようなときには、同じ悩みを持つ親と話す機会をつくると、驚くほど心が軽くなることがあります

たとえば「全国LD親の会」や地域の親の会で、講演やフォーラムに参加すると、多くの仲間と出会えます。

中にはオンラインのチャットセッションを開いている団体もあり、気軽に情報交換ができます。メッセージのやり取りやライブ配信への参加をすれば、実生活では得られにくい励ましやヒントをもらえるでしょう。

こうしたコミュニティで、子育ての工夫や気持ちの持ち方を知るだけでも、孤立感はかなり和らぐはずです。

「みんなも苦労しているんだ」と実感できることが、親の心を大いに支えてくれます。

カウンセリングや専門家への相談で心の負担を軽減する

疲れが蓄積し、「もうどうしようもない」と感じるときには、一度専門家の力を借りてみるのも選択肢の一つです。

発達障害に理解のあるカウンセラーや医療機関を利用すれば、悩みを客観的に整理し、「自分はどうすれば楽になるのか」を見つめ直すきっかけが得られるでしょう。

育児ストレスや将来の不安を人に話すだけでも、気持ちが楽になるものです。発達障害の子育てに詳しいカウンセラーなら、具体的なアドバイスも期待できます。

「どこに相談したらよいかわからない」という人は、まず最寄りの機関に問い合わせてみましょう。専門家とのやり取りを通じて、「一人でがんばらなくてもいい」という安心感を得ることができます。それが子どもへの向き合い方にも、プラスの影響を及ぼすはずです。

自分のための時間を作り、心身をリフレッシュする

発達障害の子育ては、時間も労力も想像以上にかかります。しかし、だからこそ親自身が適切に休むことが重要です。自分が元気でなければ、子どもに充分なサポートを提供し続けるのは難しくなってしまいます。

例えば、以下のようなリフレッシュを行ってみるのはいかがでしょうか。

  • 趣味や好きなことに意識的に時間を割く
  • 可能な範囲で寝られるときに寝て睡眠時間を確保する
  • 家族や友人・知人に一時的に子どもを預ける

無理をしてでも子どもに寄り添うことが“正解”だと思い込みがちですが、親が休息を取らないままでいると、いずれ大きなトラブルや体調不良につながる可能性があります。

少しだけ勇気を出して周囲に助けを求めることは、親子関係を健全に保つために必要な選択といえます。

発達障害の子供と離れたいと感じた時の向き合い方

女性

子供と離れたいと感じる原因を自己分析する

どんなに愛情を注いでいても、「もう子どもと離れたい」と思う瞬間は訪れることがあります。これは決して親として失格なのではなく、それだけ切実に疲れているサインかもしれません。

大切なのは、こうした自分の気持ちを否定せず、「どうしてそう感じるのか」を見つめることです。

「子どもと少し距離を置きたい」と思う理由を明確にするため、ノートや日記に気持ちを書き出すのがおすすめです。どんな場面で強くそう感じるのか、何がきっかけなのか、具体的に振り返ると、単なる「自分はダメな親」ではなく、疲れやストレスが原因であることが見えてくるでしょう。

原因を知ることで、必要な対策を検討しやすくなります。自分を責めるのではなく、「私には今、サポートや休息が必要なんだ」と受け止めるのが大切です。

一時的に子供と離れる時間を作る

親子双方にとって良好な関係を保つためには、親が自分の状態を立て直す時間を確保することも重要です。

一時保育やファミリーサポートを利用するのは、決して甘えや怠けではありません。リフレッシュしたうえで子どもと再び向き合えば、以前より穏やかに接することができるはずです。

また、家族や友人に頼み、ほんの数時間でも子どもを預かってもらうだけで、大きく気分が変わります。

その間に趣味を楽しんだり、ゆっくり眠ったりすることで、心の負担が軽くなるでしょう。

「子どものそばにいなきゃいけない」と思い込まず、必要に応じて周囲に協力を仰ぐことも、より健全な親子関係を築くためには欠かせないポイントです。

発達障害の相談窓口

相談窓口

発達障害者支援センター

「疲れが限界に近い」「どうしていいか分からない」というときこそ、専門の相談窓口を活用しましょう。早めに頼ることで状況の悪化を防ぎ、安心して暮らせる環境を整えやすくなります。

発達障害者支援センターは、各都道府県や指定都市に設置されている公的機関です。相談や情報提供、必要に応じた福祉サービスへのつなぎなど、専門家による総合的な支援を受けられます。

「子どもの特性が分からない」「どう対応すればいいのか悩んでいる」など、具体的な困りごとがある方にとって、頼りになる窓口です。

また、保護者向けの講演会や研修が開かれることもあるため、積極的に情報収集してみると、新たな解決策が見つかるかもしれません。

児童発達支援センター

児童発達支援センターは、発達に課題を持つ子どもが通いながら療育や学習支援を受けられる施設です。

「言葉の遅れがある」「集団での関わりがうまくいかない」など、身近な悩みをプロの視点で見てもらえるため、早期からサポートを受けやすい点が魅力です。

専門スタッフが子どもの個性に合わせたアプローチを実施しつつ、保護者にも丁寧なアドバイスを行うので、安心して相談しやすいでしょう。見学や説明会を実施している施設もあるので、気になる方は一度問い合わせてみることをおすすめします。

児童相談所

児童相談所は、子どもに関するさまざまな相談を受け付けている行政機関です。発達障害に関しても相談先の一つとして利用が可能です。

「子どもの行動が理解できず、どう対応していいか分からない」といったケースでも、児童相談所の専門員が必要に応じて支援機関を紹介してくれます。

敷居が高いと感じるかもしれませんが、困ったときの第一歩として気軽に利用してみてください。話すだけでも問題整理のきっかけになり、不安が軽くなることがあります。

市町村の子育て支援課

市区町村の役所には、子育てを支援する専用の課や担当部署があり、発達障害に関する情報も多数取り扱っています。経済的支援や保育サービスの利用方法など、地域に根ざしたサポートを案内してもらえるので、まずは窓口に問い合わせてみましょう。

発達障害に関する療育機関や、保育・教育に関するサービスだけでなく、経済面・福祉面での支援制度など、幅広い情報が得られます。

住民票がある自治体を中心に相談を進めると、利用しやすい支援策にスムーズにたどり着けるでしょう。また、窓口だけでなく、ホームページにも支援内容が掲載されていることが多いので、まずは情報をチェックしてみてください。

まとめ

チューする親子

発達障害の子育ては、予測しづらい行動や周囲の無理解が重なり、心や体に大きな負担を感じやすいです。

しかし、ABAやペアレントトレーニング、レスパイトサービスなどを取り入れることで、無理しすぎずに過ごす工夫ができます。

「子どもと離れたい」と思うときは、頑張りすぎのサインかもしれません。そんなときこそ、専門機関や市町村に相談して、一人で抱え込まないでください。まずは身近な相談窓口に連絡するだけでも、不安が少し軽くなるはずです。

周りに味方がいると分かれば、気持ちの余裕を取り戻しやすくなります。あなたのペースを大事にすることが家族みんなの笑顔につながります。

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この記事を書いた人

ウィズ・ユー編集部

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