発達障害の子どもの体幹が弱いのはなぜ?理由と対処方法について解説

転けて泣いている男の子

発達障害の子どもが体幹が弱い理由やその影響についてお悩みではありませんか。体幹が弱いことで、姿勢が悪くなったり、運動がぎこちなくなることがあります。これは、発達性協調運動障害や筋肉の低緊張、固有受容覚の未発達などが関係しています。

この記事では、発達障害の子どもが体幹が弱い理由やその特徴、改善方法について詳しく解説します。お子さんの成長や運動能力の向上に役立つ情報をお届けしますので、ぜひ最後までお読みください。

発達障害の子どもはなぜ体幹が弱いのか

バランスをとる男の子

発達性協調運動障害

発達性協調運動障害は、運動の調整や協調に困難を抱える発達障害の一種です。子どもは身体のバランスを取ることや、複数の筋肉を同時に動かすことが難しくなるため、結果として体幹が弱くなりがちです。

例えば、鉛筆を正確に持つことが難しかったり、ボールを投げたりキャッチする動作がうまくできない場合があります。そのため、発達性協調運動障害の子どもは、体育の授業で体操やバランスを必要とする運動をする際に、他の子どもと比べて動作がぎこちなく見えることがあります。

筋肉の低緊張

筋肉の低緊張とは、筋肉が適切な緊張状態を保てない状態のことです。発達障害の子どもに見られることが多く、筋肉が弛緩しやすいため、動作が遅くなったり持久力が低下したりする原因となります。日常生活での動作が不安定になりやすく、長時間座っているときに姿勢を維持するのが難しかったり、バランスを崩しやすかったりします。

筋肉の低緊張は、神経系統の問題が原因であることが多く、脳や脊髄から筋肉への信号がうまく伝わらない場合に発生します。このため、日常の動作や遊びの中で、他の子どもよりも早く疲れてしまうことが多いです。また、筋肉の低緊張があると、体幹を支える筋肉が十分に機能しないため、結果として体幹が弱くなります。

固有受容覚が未発達

固有受容覚とは、自分の身体の位置や動きを正確に感じ取る感覚です。この感覚が未発達な発達障害の子どもは、自分の体の動きや位置を把握しにくく、バランスを取るのが難しくなります。

その結果、体幹を支える筋肉が効果的に働かず、姿勢が不安定になることがあります。固有受容覚の発達については、具体的なトレーニング方法や遊びを取り入れることで、徐々に改善していくことが可能です。バランスボールやトランポリンを使った遊びは、体幹を鍛えると同時に固有受容覚の発達を促進する効果があります。また、親子で一緒に行う運動やゲームを取り入れることで、楽しく体幹を鍛えることができ、子ども自身のモチベーションも維持しやすくなります。

低緊張とは

机に横になる男の子

乳児期の低緊張の特徴

低緊張とは、筋肉が通常の状態よりも力を発揮しにくい、つまり筋肉が弛緩している状態を指します。発達障害の子どもはこの低緊張が原因で運動能力が低下し、日常生活においても様々な困難を伴うことがあります。

乳児期の低緊張は、赤ちゃんの発達に影響を与える可能性があります。低緊張のある乳児は、首のすわりや寝返り、はいはいなどの運動発達が遅れることがあります。また、抱っこした際に体がだらんとしていたり、寝かせた時に手足を広げた「カエル足」の姿勢になりやすいのが特徴です。哺乳の際にも力が入りにくく、長時間の授乳が難しいこともあります。

幼児期以降の低緊張の特徴

幼児期以降の低緊張は、日常生活や学校生活にも影響を及ぼします。姿勢が崩れやすく、椅子に座っている時にもたれかかったり、床に座る時に体を丸めたりする傾向があります。

また、疲れやすく、長時間の活動が苦手な場合もあります。運動面では、バランスを取ることが難しく、走る・跳ぶ・投げるなどの基本的な動作がぎこちなくなることがあります。書字や食事などの細かい動作にも影響が出ることがあります。

発達障害で体幹が弱い子どもの特徴

芝生の上で泣いている女の子

姿勢が悪くなる

発達障害で体幹が弱い子どもは、姿勢が悪くなる傾向があります。体幹の筋力が十分に発達していないため、長時間座っていると猫背になったり、椅子にもたれかかったりすることがよく見られます。

また、立っている時にも姿勢が崩れやすく、肩が下がったり、背中が丸まったりすることがあります。このような姿勢の悪さは、体のバランスを取りにくくするだけでなく、筋肉や関節にも負担をかけることがあります。

集中力が低下して落ち着きがない

発達障害を持つ子どもたちは、しばしば集中力が低下し、落ち着きがないと感じられることがあります。これは体幹の弱さと深い関係があります。体幹の筋力が不足していると、座っている姿勢を維持するために余分なエネルギーを使わなければならず、学習や作業に集中する余裕が少なくなるのです。

そのため、授業中に椅子で絶えず体を動かしたり、姿勢を頻繁に変えたりする様子が見られます。また、じっとしていることが苦手で、常に体を動かしていることも多いです。これは、体幹の弱さによる不快感や疲労を軽減しようとする無意識の行動とも言えるでしょう。

運動の動作がぎこちない

体幹が弱い子どもは、運動の動作がぎこちなくなる傾向があります。走る、跳ぶ、投げるなどの基本的な動作において、スムーズさや正確さに欠ける様子が見られます。これは、体幹が体全体の動きをコントロールする中心的な役割を果たしているためです。

さらに、運動のぎこちなさは日常生活にも影響を及ぼします。階段の上り下りや自転車の乗り降り、椅子に座るといった基本的な動作もスムーズに行えないことがあります。このような動作のぎこちなさは、体育の授業や遊びの中で困難を感じる原因となり、子どもが自信を失う要因にもなりかねません。

体幹が弱いことが子どもに与える影響

ランドセルの上に顔を伏せる男の子

身体の発達に影響する

体幹が弱いことは、子どもの身体発達に多くの影響を与えます。まず、体幹は姿勢を保つための重要な役割を果たしており、体幹が弱いと正しい姿勢を維持することが難しくなります。これにより、歩行や座る動作が不安定になりやすいです。また、姿勢が悪いと筋肉や関節に余計な負担がかかり、成長期の子どもにとっては姿勢の歪みや痛みを引き起こすリスクが高まります。

さらに、体幹の弱さは運動能力にも直接的な影響を与えます。例えば、バランス感覚が低下し、転びやすくなるため、運動を避けることが多くなりがちです。その結果運動不足が進行し、体力や筋力が一層低下するといった悪循環に陥る可能性があります。特に体育の授業やスポーツ活動において、他の子どもと差が生じることが多く、これが自信喪失や社会性の発達に負の影響を与えることもあります。

学校に行くのが辛くなる

一見すると直接の関係がないように思えるかもしれませんが、体幹の弱さは様々な形で学業生活に影響を及ぼします。まず、体幹が弱いと姿勢を保つのが困難になり、長時間座っていることが辛く感じられることがあります。そのため授業中に集中力が欠け、学習の効率が低下する可能性があります。

また、体育の授業や休み時間における運動が苦手になることもあるでしょう。運動がうまくできないことで自己評価が下がり、友達との交流が減ることがあります。その結果、学校生活全体に対するモチベーションが低下し、登校が辛く感じられるようになることも珍しくありません。

さらに、体幹が弱い子どもは疲れやすく、学校から帰宅後に宿題や復習に取り組むエネルギーが残っていないこともあります。これにより、学力の向上が妨げられるだけでなく、翌日の学校に対する不安感が増すことがあります。

体幹を鍛えるための具体的なトレーニング方法

トランポリンをする男の子

トランポリン

トランポリンは、体幹を鍛えるための非常に効果的なツールです。跳ねることで全身の筋肉をバランスよく使い、特に体幹の筋肉を活性化させることができます。発達障害の子どもにとっても、楽しく取り組める運動の一つとなります。

まず、トランポリンを使用する際には、安全に配慮した環境を整えることが大切です。適切なマットを敷いたり、周囲に障害物がないことを確認したりして、安全に運動できるスペースを確保してください。次に、子どもの年齢や体力に合わせてトランポリンのサイズと強度を選ぶことがポイントです。

トランポリンを使用したトレーニングの基本としては、まず簡単なジャンプから始めるとよいでしょう。軽く跳ねるだけでも、バランスを取るために体幹の筋肉が自然と使われます。さらに、両足で跳ねるだけでなく、片足ずつ交互に跳ねる、膝を高く上げて跳ねるなどバリエーションを加えることで、異なる筋肉を効果的に鍛えることができます。

ブランコ

ブランコは、公園などで手軽に利用できる遊具であり、体幹トレーニングにも効果的です。子どもたちは自然にブランコを楽しむことで、体幹の筋肉を効率よく鍛えることができるでしょう。

ブランコをこぐ動作には、体幹の筋肉を使ってバランスを取る必要があります。特に、立ってこぐタイプのブランコは、より強い体幹の力が必要となります。また、ブランコに乗ることで前庭感覚(平衡感覚)も刺激されるため、総合的な体の発達にも役立ちます。

さらに、ブランコの楽しさを活かして、子どもたちに様々なゲームやチャレンジを提案することも有効です。「片足でバランスを取ってみる」「目をつぶってブランコに乗る」などの工夫を加えることで、体幹の筋肉をより効果的に鍛えることができます。また、親子で一緒にブランコを使って遊ぶことで、親子の絆を深めるとともに、子どもたちのモチベーションを高めることができます。

ツイスターゲーム

ツイスターゲームは、色とりどりのマットの上で手足を指定された場所に置くことで、バランス感覚や柔軟性を養う楽しい遊びです。特に、発達障害の子どもたちにとっては、楽しみながら体幹を鍛える絶好の機会となります。

ゲームを通じて、自然に体幹を意識する動作が増え、バランスを取るために必要な筋肉を効果的に動員できます。ツイスターゲームでは、体勢を維持するために体幹の筋肉が絶えず使われるため、筋力だけでなく持久力も強化されます。

また、このゲームは他の子どもたちと一緒に遊ぶため、社会性や協調性も同時に育むことも可能です。例えば、順番を待つことや、他のプレイヤーの動きを観察することで、注意力や集中力も高まります。ツイスターゲームは、シンプルながらも多角的な効果を持つため、継続的に取り組むことで、子どもたちの体幹強化に大きな助けとなるでしょう。

ツイスターゲームは、家庭でも簡単に取り入れることができるため、日常の中で自然と体幹を鍛える習慣をつけることができます。家族や友達と一緒に遊ぶことで、コミュニケーション能力の育成にもつながります。

体幹トレーニング

体幹トレーニングは、特に発達障害を持つ子どもにとって重要な要素です。体幹を鍛えることは、姿勢の改善やバランス能力の向上、身体の安定性を高めるために必要不可欠です。ここではおすすめの体幹トレーニングをいくつかご紹介します。

まず、プランクは非常に効果的なトレーニング方法です。子どもには、腹ばいになり、前腕とつま先で身体を支えるよう指導しましょう。初めは10秒から始め、徐々に時間を延ばしていくことがポイントです。これにより、腹筋や背筋、肩の筋力が強化されます。

バランスボードを使ったトレーニングも有効です。バランスボードの上に立ち、バランスを保つことで、体幹の筋肉を自然と使うことになります。ゲーム感覚で取り組むことで、楽しく続けられます。

また、ブリッジエクササイズもおすすめです。仰向けに寝て、膝を曲げた状態で腰を持ち上げる動作を繰り返します。このトレーニングは、背筋や腹筋だけでなく、下半身の筋肉も同時に鍛えることができます。

ヨガのポーズも体幹強化には効果的です。例えば、「キャットカウポーズ」は背骨を柔らかくし、体幹の筋肉を鍛えるのに役立ちます。また、「ツリーポーズ」はバランス感覚を養いながら、体幹を強化するのに最適です。

体幹トレーニングは、一度に完璧に行う必要はありません。少しずつ、無理なく続けることが大切です。親子で一緒に楽しく取り組むことで、子どもも自然とトレーニングに参加しやすくなります。継続することで、子どもの体幹は徐々に強化され、日常生活の中で感じるさまざまな困難も軽減されるでしょう。

楽しくトレーニングできる工夫も忘れずに

体操をしている男の子

体幹を強化するトレーニングを続けるためには、楽しさを取り入れることが非常に重要です。特に子どもにとって、トレーニングが楽しいものでなければ、継続するのが難しくなります。ここからは楽しさを取り入れるための具体的な工夫をご紹介します。

まず、ゲーム要素を取り入れることが有効です。例えば、バランスボールを使ったトレーニングでは、ボールの上に立って何秒間バランスを保てるか競争するゲームを取り入れることができます。また、縄跳びやフープジャンプなど、体幹を使う遊びを取り入れることで、自然にトレーニングが行えます。

音楽を活用する方法もおすすめです。子どもが好きな音楽を流しながらトレーニングを行うことで、リズムに乗って体を動かすことが楽しくなります。音楽のビートに合わせて動くことで、トレーニングの効果も高まります。

さらに、トレーニングを一緒に行う仲間を作ることも効果的です。友達や家族と一緒にトレーニングをすることで、競争心が芽生えたり、励まし合ったりすることができます。グループでのトレーニングは、子どものモチベーションを保つのに大いに役立ちます。

トレーニングの内容をバリエーション豊かにすることも重要です。同じ運動を繰り返すだけでは飽きてしまいますので、様々な動きを取り入れたプログラムを組むようにしましょう。例えば、週ごとに異なるトレーニングを設定することで、常に新鮮な気持ちで取り組むことができます。

これらの工夫を取り入れることで、体幹トレーニングが楽しい経験になり、子どもたちが自発的に取り組むようになるでしょう。楽しさを忘れずに、継続的なトレーニングを目指しましょう。

まとめ

お母さんとストレッチをする男の子

発達障害のある子どもの体幹の弱さは、様々な要因が複合的に作用して生じる特徴です。発達性協調運動障害、筋肉の低緊張、固有受容覚の未発達などが主な原因となっています。この体幹の弱さは、姿勢の悪化、集中力の低下、運動動作のぎこちなさといった形で現れ、子どもの身体発達や学校生活にも大きな影響を与えます。

しかし、適切なトレーニングや支援によって、体幹の強化は可能です。トランポリンやブランコ、ツイスターゲームなど、遊びの要素を取り入れたトレーニング方法は、子どもが楽しみながら継続的に取り組むことが可能です。また、直接的な体幹トレーニングも、工夫次第で楽しく行うことができます。

専門家のアドバイスを受けながら、家庭や学校で継続的に取り組むことで、発達障害のある子どもの体幹の弱さを改善し、より豊かな生活を送るサポートができるでしょう。子どもの成長を長期的な視点で見守り、適切な支援を続けていくことが大切です。

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ウィズ・ユー編集部

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