発達障害(グレーゾーン)がある高校生のよくある困り事や改善する方法

学校の廊下で外を見ている女子高生

高校生になると、発達障害の子どもは周りと比べて極端に勉強が苦手だったり、コミュニケーションをとるのが苦手などの困り事が目立ってくるため、発達障害ではないかと気づく人もいます。

発達障害の子どもには様々な特性があり、個人差があるため、それぞれに合った対処が必要です。

今回の記事では、以下の4つについて解説します。

発達障害がある高校生の特徴

発達障害がある高校生が困りやすいこと

発達障害がある高校生への対応方法

発達障害がある高校生が学習塾に通うメリット

ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

発達障害(グレーゾーン)がある高校生の特徴

授業を受けている学生

ASD(自閉スペクトラム症)

ASD(自閉スペクトラム症)とは、「社会的コミュニケーションや対人関係の困難さ」「限定された興味・関心、反復行動」といった特性がみられる発達障害のことです。

ASDの高校生の特徴には、以下のようなものが挙げられます。

・友達を作るのが難しい

・自分の興味があることを一方的に話し続ける

・社会的マナーやTPOに合わせた行動が難しい

・友達同士の冗談など抽象的なものの理解が難しい

・感情がコントロールできず極端な行動を取ることがある

・得意教科と不得意教科の差が大きく、不得意教科に対しては強い苦手意識を持つ

・衣類に対して過敏に反応しやすい。

教師や同級生がASDの高校生とコミュニケーションを取り、サポートするためにこれらの特性を理解することが重要です。

ADHD(注意欠如多動症)

ADHD(注意欠如多動症)とは、発達障害の一種であり、「不注意、衝動性、多動性」が特性として挙げられ、これらは学校生活上の様々な困難に直面することがあります。

よって、ADHDを持つ高校生の特徴には、以下のようなものが挙げられます。

不注意

・忘れ物や遅刻が多い

・先生の話を集中して聞き続けることが難しい

・テスト中に解答欄を間違えたり、問題文の読み間違いをしたりする

衝動性

・頭に浮かんだことを即座に言葉や行動に表すため、クラスで突発的な発言や行動が目立つことがある

・何かに取り組んでいる途中で、突然別の活動を始める

・予定していた計画通りに物事を進めることが難しい

多動性

・じっとしているのが苦手で、教室内の座席で落ち着きがない

・書類や持ち物の整理が苦手

ASD同様に、教師や保護者、同級生が適切なサポートをするために理解しておくべき重要な点です。

SLD(限局性学習症)

SLD(限局性学習症)とは、全般的な知的発達の遅れはないものの、特定の学習領域に困難を感じる発達障害です。高校生の場合、識字障害、書字障害、算数障害が主な類型であり、それぞれ異なる特徴を持っています。

よって、SLDを持つ高校生の特徴には、以下のようなものが挙げられます。

識字障害

・文字が重なって見えるなどの理由で読むことが難しい

・文章を読む速度が遅い

・読んでも内容を理解することが難しい

書字障害

・漢字や平仮名の書き間違いが多い

・鏡文字のように部首とつくりが逆になることがある

・板書をノートに書き写す際に困難を感じる

算数障害

・数の概念を理解することが難しい

・特定の計算が苦手

・数学的な概念の理解が難しい

これらの特徴は、特に学習内容が中学校から難易度が増す高校生活の中で、カバーすることが難しくなります。よって、SLDの生徒はさらに苦手意識を強く感じ、周りについていくことが難しくなってしまうため、教育現場では個別のサポートや配慮が重要です。

発達障害がある高校生が日常で困りやすいこと

頭を抱えている女子高生

学校での人間関係で悩みを抱えやすい

発達障害を持つ高校生は、学校での人間関係において悩みを抱えやすいです。

その理由として、以下が挙げられます。

・会話のニュアンスを捉えるのが難しく、冗談と悪口の区別がつかない

・相手が関心を持っていなくても一方的に話し続けてしまう

よって、他の生徒とのコミュニケーションがスムーズにいかず、人間関係での誤解や孤立を経験しやすくなってしまいます。学校では発達障害がある生徒に対して、適切なコミュニケーション技術のサポートと理解を深める取り組みが重要です。

忘れ物をしたり物を無くすことが多々ある

発達障害がある高校生は、日常生活で忘れ物や無くし物が多くなる傾向にあります。なぜなら、高校生活では持ち物が増えたり、朝早く起きる必要があるため、自己管理が難しくなるからです。

学校の準備が複雑になると、物の管理が難しくなってしまうため、具体的なサポートや工夫が必要です。チェックリストの使用や特定の場所に物を置く習慣をつけるなどが効果的な例として挙げられます。

文化祭などの集団行動が苦手

発達障害がある高校生は、文化祭などの集団行動が苦手な傾向があります。

この理由として考えられるのは、ADHDの特性に、注意力の散漫さ、集中力の維持の難しさ、衝動的な行動などが含まれ、これらは集団行動を複雑にする要因になるからです。

文化祭では、多くの人と協力しながら何かを作り上げることが求められますが、ADHDのある高校生にとって、騒がしい環境や多くの人がいる状況は、注意が分散しやすく、集中できない要素となります。また、スケジュール通りに行動したり、細かい指示に従うことが難しいため、集団の中で役割を果たすことに苦労することもあります。 

さらに、衝動的な行動をとりがちであるため、集団での協調性を保つことが難しい場合があります。

遅刻をしてしまう

高校生になると通学距離が長くあり、電車やバスなど公共交通機関を利用することが増えるので、時間管理が難しくなります。

発達障害がある生徒は時間感覚やスケジューリングに苦手意識を持っていることが多いため、結果として遅刻が増えてしまいます。遅刻を防ぐためには、親や教師からのアラーム設定のサポート、時間管理アプリの使用、交通機関の時刻表を事前に確認する習慣をつけるなどが有効です。

宿題や書類の提出物の期限が守れない

発達障害がある高校生は日常で宿題や書類の提出物の期限を守れないことがあります。

なぜなら、高校生になると教科が増え、それに伴って提出物も多くなるからです。

発達障害を持つ生徒にとっては時間管理が困難なことが多く、特に複数の科目にわたる優先順位付けや期限を守ることが困難です。これは、計画を立てることや期限内にタスクを完了させるためのスキルが発達していないためだと考えられます。

計画表の作成やアラームの設定など、具体的にサポートすることで、タスク管理を改善し、提出物の期限を守る能力を身につけさせることができます。

制服の着心地が気になる

発達障害がある高校生は、特性により制服の着心地が気になってしまうことがあります。その理由は、感覚過敏を持つ生徒にとって、制服の材質やフィット感が日常的なストレスになってしまうからです。感覚過敏を持っていると、制服の肌触りや締め付けが非常に不快に感じてしまい、通常の状態以上に敏感に反応するため、着ること自体が大きな苦痛に感じてしまいます。

襟がきつい、セーターがチクチクする、生地が硬いなどの着心地の悪さも苦痛に感じてしまう点の一つです。

授業に集中できず落ち着かない

発達障害高校生は授業に集中できず落ち着かないといったことが生じることがあります。

この理由は、高校生になって授業のスピードが速くなったり、授業内容や授業の進め方が変わってしまうからだと考えられます。さらに学習内容も複雑になって情報処理が難しくなるため、適切なタイミングで質問することが難しくなってしまいます。

よって、先生の話をさえぎってしまうこともあるため、発達障害を持つ高校生が授業に集中できるようにするためには、情報を段階的に提示し、適切なフィードバックをするなどの個別にサポートをすることが効果的です。

ついていけない授業(科目)がある

中学までの学習内容が高校での応用として扱われる際に、これまでの知識を基に新しい概念を理解する必要があります。そのため、発達障害の生徒は特定の教科の授業についていくことが困難になってしまうことがあります。

なぜなら、発達障害を持つ高校生は情報処理速度や記憶力障害を持っていることが多いため、新しい学習スタイルや高度な内容への適応が難しいからです。例えば、数学では中学で覚えた算数の基本が、より抽象的な概念として展開されることが挙げられます。

発達障害を持つ高校生には、特定の教科についていくために、より具体的で分かりやすい教材の使用や、一対一での補習など個別にサポートをすることが効果的です。

スケジュールを決めて課題に取り組むのが困難

高校生になると自主勉強がより強く求められるため、計画を立てることや時間管理が必要です。しかし、発達障害を持つ高校生はこれらが苦手な傾向があります。

たとえば、中間テストや期末テストのような大きなテストに向けて、学習内容を計画的に進める必要がありますが、何から手をつけていいかわからない、計画を守ることができないなどが生じることがあります。よって、発達障害を持つ高校生には、具体的なスケジュール作成のサポートが必要です。たとえば、教師や保護者が一緒に計画を立て、定期的に進捗を確認することで、生徒がスケジュールを管理しやすくなり、テストの準備などもスムーズに進めることができます。

発達障害のある高校生の対応方法

笑っている学生

会話におけるルールを決める

発達障害がある高校生に対する対応方法として、会話におけるルールを定めることが効果的です。これによって、社会的な交流の中で適切な振る舞いを学び、人間関係を円滑にすることができます。

例えば、話す前に「今話してもいい?」と尋ねたり、発言のタイミングを待つなど、明確な会話ルールを設けたり、ルールを視覚的に書き出すことも効果的です。

このような会話のルールは、生徒自身だけでは対処が難しいため、教師やカウンセラーからもサポートを受ける方法もあります。会話のルールを決めて上手くできるようになると、発達障害があっても、より良い人間関係を築くことができるでしょう。

持ち物をセットにしたりなどルールを決める

発達障害がある高校生が忘れ物や無くしものを減らすための対応方法として、「持ち物を教科ごとにセットしておく」ことや、「視覚的にわかりやすいルールを決める」ことが効果的です。また、持ち物を教科ごとにセットにすることで、準備する時間を短縮したり、忘れ物を防ぐことができるというメリットもあります。その際に視覚的にわかりやすく色分けしたり、チェックリストを用意すると必要な物の管理もしやすくなるでしょう。

これらの対策を習慣化することで、忘れ物や無くしものを減らすことができ、日々の学校生活がスムーズになります。

スケジュールを可視化する

学校行事は予定の変更が多く、見通しを立てづらいため、発達障害がある高校生にはスケジュールの管理が難しいでしょう。この対策として、学校行事のスケジュールを、視覚的にわかりやすくするのが効果的です。

これにより、何をいつまでに準備すればよいのか、当日はどのように行動すればよいのかが明確になります。スケジュールを可視化することで、心理的な安心感を得られ、行事への参加がよりスムーズで楽しいものになります。事前の準備と当日の動きが明確になることで、不安を軽減し、成功体験につながる可能性も高くなります。

アラームや通知機能などを使って行動ごとの時間を設ける

発達障害がある高校生は遅刻しやすい傾向があります。この対処方法として、行動ごとに時間を設定し、アラームや通知機能を使用することが有効です。これにより、スケジュール通りに動くことが容易になり、遅刻のリスクを減少させることができます。

たとえば、朝のルーチンを確立し、「起床」、「朝食」、「歯磨き」、「着替え」などの各行動に対して具体的な時間を割り当て、スマートフォンのアラームやタイマーアプリなどを設定するといいでしょう。

よって、一つ一つの行動を適切なタイミングで行い、時間を気にするようになるため遅刻を減らすことにもつながります。

肌触りの良い下着を着用する

発達障害がある高校生は、感覚過敏によって制服の肌触りによる不快感を感じることがあります。学校と相談する必要もありますが、肌触りのいい下着を着用したり、制服のサイズを一回り大きくすることなどが有効です。これらの対策をすることで、学校生活をより快適に過ごすことができ、授業に集中しやすくなります。また、肌触りの良い下着の着用は、日々の不快感を減らすため、学校でのパフォーマンス向上にも繋がります。

集中しやすい席や机の上に置くものを決める

発達障害がある高校生が授業に集中するための対応方法として、環境を調整することや、ルールを設定することが非常に有効です。

例として、以下が挙げられます。

環境調整

・集中しやすい席に変えてもらう

・机の上には必要なもの以外置かないようにする

ルール設定

・先生が話し終わってから質問をする

・挙手をしてから質問する

・指名されてから話す

発達障害を持つ生徒は外部の刺激に敏感であったり、一つのことに長時間注意を向けることが難しいため、環境や行動の調整が効果的です。

また、ルールを明確にして「やることリスト」を作成し、各課題を終えるごとにリストから削除することで進捗が視覚的に分かりやすくなります。

このような具体的な行動規範を設けることで、対処法が明確になり、安心して授業に臨むことができるでしょう。

発達障害がある高校生が学習塾に通うメリット

勉強している高校生

学習の遅れを取り戻しやすい

発達障害がある高校生が学習塾に通うメリットは、授業の遅れを解消できるという点です。

発達障害を持つ生徒は、特性により教師のペースや授業の進行に追いつくのが難しいことがあります。学習塾の場合は個別指導を受けることが可能となるため、自分の理解度に応じて説明を受けたり、疑問点をじっくり解消することができます。

学習する習慣が身に付きやすい

発達障害がある高校生が学習塾に通うメリットとして、学習する習慣が身につきやすい点が挙げられます。なぜなら、塾に通うことで定められた時間内で学習する習慣が身につくからです。

特に興味があることだけには集中できる一方で、勉強が苦手な生徒には効果的です。定期的に通うことで、「塾にいる間は勉強する」という明確なルールが設けられ、それが日常的な習慣として定着することが期待できます。

また、これにより学習への取り組みが強化され、家庭でも勉強する習慣を身に着けることも期待できます。

ソーシャルスキルトレーニングが身に付きやすい

発達障害がある高校生が学習塾に通うことには多くのメリットがあり、特に発達障害専門の塾では、ソーシャルスキルトレーニング(SST)を行っているところもあります。

ソーシャルスキルトレーニングでは、学習支援だけでなく、日常生活や将来的な社会参加に必要な対人スキルを強化できる環境が提供され、具体的にはロールプレイやシミュレーションを行ったりします。

学校生活や将来の社会生活において自信と能力を向上させるための重要なステップとなるため、より充実した社交生活を送るのに役立つでしょう。

大学受験の対策ができる

発達障害がある高校生を指導した実績のある塾は、発達障害の生徒を対象とした、大学や専門学校の受験をサポートしてくれることが多いです。具体的には、受験勉強や大学選びのサポート、受験時の配慮の頼み方など、発達障害に対応した総合的なサポートを行っている塾もあります。

発達障害の指導実績がある塾に通うことは、大学受験に合格する可能性を大きく高めることが期待でき、適切な学習方法で学べるため、自信にもつながるでしょう。

まとめ

楽しく勉強している学生たち

発達障害が原因で学校や社会生活で生じる困難の程度は、本人の特性と周囲の環境との相性に大きく影響されます。そのため、本人の気持ちを尊重しながら、適切なサポートに結びつけることが重要です。

 学習面で特に困りごとを感じている場合は、発達障害に理解のある塾で、本人の特性に合った学習支援を受けてみるのもいいでしょう。

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この記事を書いた人

ウィズ・ユー編集部

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