ウィズ・ユー編集部 
「うちの子どもは人の話を聞かない、もしかして発達障害なのだろうか」と悩んでいませんか？
人の話を聞かない子どもが発達障害である可能性や、その特徴、効果的な対処法について知りたいと考えている方も多いでしょう。
この記事では、 人の話を聞かない子どもの特徴や原因、話を聞いてもらうためのコツ、さらに発達障害と診断されていないが話を聞くのが苦手な子どもへの対応方法について詳しく解説します。
お子さんの成長をサポートするための参考として、ぜひ最後までお読みください。
人の話を聞かない子どもは発達障害の可能性がある？
発達障害の子どもの特徴
人の話を聞かない子どもの中には、発達障害の可能性がある場合があります。しかし、すべての話を聞くのが苦手な子どもが発達障害というわけではありません。発達障害にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。
発達障害の子どもは、一見すると他の子どもたちと何ら変わらないように見えるかもしれません。しかし、一般的な子どもたちと比較して、人の話を理解するのが困難であったり、集中することが難しいと感じたりすることがあります。
さらに、繰り返し同じ行動をする、特定の事柄に強い関心を持つ、変化を嫌うといった特徴も持つことがあります。しかし、発達障害だからといってどの子どもも話を聞かないわけではなく、その他の要因も考慮する必要があります。
ADHDの子ども
ADHDの子どもは、注意力や集中力に関する困難を抱えていることが多いです。人の話を聞く際にも、話の途中で注意が逸れやすかったり、指示を最後まで聞けずに行動してしまったりする特徴が見られることがあります。また、複数の指示を同時に理解することが難しく、静かに座って話を聞くことが苦手な傾向があります。
これらの特徴は、ADHDに現れやすい症状である不注意や多動性、衝動性と関連しています。ADHDの子どもは、興味のある話題には集中できても、そうでない場合にはすぐに気が散ってしまいやすいです。
しかし、子どもが人の話を聞かないからといって、すぐにADHDと考える必要はないでしょう。他の発達障害や、単なる子ども特有の行動、または何らかのストレス反応である可能性もあります。
ASDの子ども
ASDの子どもも、人の話を聞くことに関して独特の困難を抱えていることがあります。ASDの子どもは、相手の立場を理解できなかったり、言葉以外のコミュニケーションを読み取るのが難しいのが特徴です。特定の音や声に過敏に反応することもあり、一方的に自分の興味のある話をしてしまう傾向も見られます。
また、興味のない会話には関心を示さないことがあります。人の話を聞かないように見えるかもしれませんが、ASDの子どもたちにとっては、自分の興味のある話題以外の会話を理解し、それに反応することが難しいのです。そのため、ASDの子どもにとって、話を聞かないのは無視しているわけではなく、コミュニケーションの困難さから来るものと理解することが重要です。
このように、人の話を聞かない子どもの背景には、さまざまな原因が考えられます。
人の話を聞かない子どもが発達障害であるかどうかを判断するには、複数の視点から判断していくことが大切です。
人の話を聞かない子どもの原因
発達障害
今まで解説してきたとおり、発達障害は、人の話を聞くことが難しい子どもの原因の一つとして考えられます。発達障害がある場合、注意力や集中力の問題、聴覚情報の処理の困難さ、社会的コミュニケーションの苦手さ、感覚過敏による聴覚刺激への反応などの理由で、人の話を聞くことが困難だと感じる可能性があります。
発達障害の中でも、特に人の話を聞かない傾向が見られるのがADHDです。ADHDの子どもたちは、集中力が低く、注意が散漫になりやすいため、人の話を最後まで聞くことが難しいとされています。また、高機能自閉症やアスペルガー症候群の子どもたちは、社会的なコミュニケーションに苦手意識を持つことが多く、会話への関心が低いため、人の話を聞かない傾向にあると言われています。
もちろん、すべての発達障害の子どもが人の話を聞かないわけではありません。しかし、話を聞かないという行動が見られる場合、発達障害の可能性を考えることは重要です。また、発達障害は一部の子どもだけの問題ではなく、一定の割合で子どもに見られる特性であると理解することも大切です。
脳の聞く力が弱い
人の話を聞くことが苦手な子どもの中には、脳の聞く力（聴覚処理能力）が弱い場合があります。聴覚処理能力とは、耳で聞いた情報を脳が適切に解釈し、理解する能力のことを指します。この力が弱いと、周囲の音を適切にとらえることが難しくなり、結果として人の話を理解するのが困難になります。
子どもの場合、この聴覚処理能力はまだ発達途中であるため、大人が普通に聞こえる音でも、子どもにとってはうるさく感じることがあります。また、複数の音が同時に聞こえると、それぞれの音を区別するのが難しくなり、特定の音に集中することができなくなることもあります。これが、子どもが人の話を聞かない原因となることもあるのです。
このような場合、聴覚処理能力を向上させるためのトレーニングや、環境調整によるサポートが効果的です。
視覚の方が優先されている
一部の子どもは、聴覚よりも視覚からの情報処理を得意とする場合があります。このような子どもは、人の話を聞くよりも、目で見て理解することを好む傾向があります。
視覚優位の子どもは、絵や図を使った説明の方が理解しやすく、文字で書かれた指示の方が分かりやすいと感じることがあります。また、視覚的な記憶力が優れている一方で、話を聞くときに、話し手の口元や表情を見ようとする傾向があります。
また、子どもが視覚に頼りがちなのは、言葉を理解し、それを処理する能力がまだ未熟だからとも言われています。言葉を理解するには一定の認知能力が必要で、それがまだ十分に育っていない幼児期の子どもは、視覚情報による理解が先行してしまうのです。
視覚の方が優先されている子どもには、視覚的な補助を活用しながら、徐々に聴覚情報の処理能力を向上させていく方法が効果的です。
集中できていない
集中力の問題も、人の話を聞かない原因の一つとして考えられます。集中できていない状態には、睡眠不足や疲労、ストレスや不安、興味・関心の低さ、環境からの刺激（騒音、視覚的な乱れなど）といった要因が関係していることがあります。
集中力の欠如も、人の話を聞かない原因の一つです。集中力が続かない子どもは、話の途中で気が散ってしまい、結果として話を聞き逃すことが多くなります。これには、睡眠不足やストレス、興味のない話題などが影響している場合があります。集中力を高めるためには、規則正しい生活習慣を守り、興味を引く話題を選ぶことが重要です。また、短い休憩を挟みながら話すことで、集中力を持続させる工夫も効果があります。
集中力の問題がある場合、その背後にある環境的な要因や、食事、睡眠といった生活習慣の見直しを行うことがポイントとなります。
人の話を聞かない発達障害の子どもに話を聞いてもらうコツ
最後まで聞いて欲しいとしっかり伝える
子どもに話を聞いてもらうためには、まず聞く姿勢を作ることが大切です。話す前に「大切な話があるよ」と伝え、アイコンタクトを取って子どもの注意を引きます。「最後まで聞いてね」と具体的に伝え、聞き終わったらほめるなど、ポジティブな強化を行うことが効果的です。
また、内容を簡潔に順序立てて話すことで、子どもが理解しやすくなります。さらに、話す速度を適度に落とし、明確なポーズを挟むことで、子どもに話の内容を消化する時間を与えるのも有効です。
意識をそらなさない環境をつくる
子どもが集中しやすい環境を整えることも重要です。周囲に視覚的や聴覚的な刺激が少ない静かな場所で話すようにしましょう。スマートフォンやテレビなど、視覚や聴覚を刺激する要素を極力減らし、子どもが安心して耳を傾けられる環境を整えることが必要です。
また、子どもが何に興味を持っているのかを理解し、そのトピックを話題に取り入れるのも効果的です。例えば、子どもが動物が好きなら、「今日、公園で見たかわいい犬の話を聞きたい？」と問いかけてみるなど、話を聞くことに興味を持つ機会を作るようにしましょう。
会話をキャッチボールする練習をする
会話は一方的に話すだけではなく、子どもとの会話のキャッチボールが大切です。
子どもが理解しているか確認するために、質問を投げかけたり、子どもに話させたりすることで、相互のコミュニケーションが深まります。例えば、「今の話、どう思う？」と聞いたり、「何か質問ある？」と促すことで、子どもが積極的に話に参加するように誘導します。
また、ロールプレイングゲームを通じて会話の練習をしたり、相手の話を復唱する練習をしたりすることも効果的です。練習を通じて、子どもは会話の楽しさを知り、聞く力を自然に身につけていくことができるでしょう。
伝えたい内容を簡潔にする
発達障害のある子どもは、長い説明や複雑な指示を理解することが難しい場合があります。一度に伝える情報量を限定し、簡単な言葉や短い文章を使うことが大切です。具体的な言葉や短いフレーズを用い、必要最低限の情報だけを伝えることで、子どもが情報を処理しやすくなります。
発達障害の子どもは具体的なイメージを持つことで理解しやすい傾向があります。そのため、抽象的な言葉よりも具体的な言葉を用い、視覚的なイメージや実際の物を使って説明しましょう。
子どもが会話を理解できるようになれば、より効果的なコミュニケーションが可能になります。
ゲームをしながら聞く力を育てる
ゲームを取り入れることで、楽しく聞く力を育てることができます。例えば、指示を聞いて行動するゲームや、音当てクイズなど、子どもが興味を持ちやすい形でトレーニングするのが効果的です。遊びながら学ぶことで、自然と話を聞く習慣が身につきます。また、親子で一緒に楽しむことで、コミュニケーションの質も向上します。
これらのゲームを通じて、子どもは楽しみながら聞く力を磨くことができます。また、ゲームを通じて達成感を味わうことで、聞くことへの前向きな姿勢も育つでしょう。
発達障害と診断されていないが人の話を聞くのが苦手な子どもへの対応方法
発達障害のグレーゾーンとは
発達障害の診断を受けていなくても、人の話を聞くことが苦手な子どもは少なくありません。このような子どもたちは「グレーゾーン」と呼ばれることがあり、適切な対応が必要です。
発達障害のグレーゾーンとは、発達障害の診断基準には該当しないものの、いくつかの特徴的な傾向が見られる状態を指します。人の話を聞くのが苦手な子どもも、理由によっては発達障害のグレーゾーンに該当するかもしれません。
グレーゾーンの子どもたちは、発達障害と診断されるほどの基準は越えていないものの、一般的な子どもと比べると若干の困難を抱えているため、その点について理解し、サポートすることが必要です。
グレーゾーンについても理解することで、子どもが抱える課題に対してより適切な対応をとることが可能となるでしょう。
グレーゾーンの子どもの対応は難しい
グレーゾーンの子どもたちへの対応は難しいことが多いです。グレーゾーンの子どもは次のような理由からグレーゾーンと判断しにくいと言われています。
- 症状が軽度で見逃されやすい
- 環境によって症状の現れ方が異なる
- 年齢とともに症状が変化する
- 適切な支援体制が整っていない
グレーゾーンの子どもたちは、その日の状況や気分により、人の話を聞くのが難しくなることがあります。また、一対一でのコミュニケーションは得意でも、集団の中でのコミュニケーションが苦手という子もいます。そのため、一律の対応ではなく、個々の子どもの特性や状況に応じた対応が必要です。
子ども一人ひとりの特性を理解し、それに応じた支援を行うことで、彼らの生活の質を向上させることができます。まずは、子どもの行動をよく観察し、どのような場面で困難を感じているのかを見極めていきましょう。専門家のアドバイスを受けるのもおすすめです。
子どもの特性を見極める
グレーゾーンの子どもに適切に対応するためには、まず子どもの特性を見極めることが重要です。どのような状況で人の話を聞かないのか、何に対して反応を示すのか、ストレスを感じやすい場面はどんなときかなどの観点から観察してみましょう。
特性を把握することで、子どもに合わせた効果的な対応方法を見つけることができます。
ジェスチャーなど視覚を活用する
人の話を聞くのが苦手な子どもの中には、視覚情報の方が理解しやすい場合があります。話す内容に合わせたジェスチャーを使ったり、絵や図を描いて説明したりすると、子どもの理解が深まり意識を集中させやすくなります。
視覚的な教材を使う際には、子どもの興味や理解度に合わせて素材を選んだり、繰り返し使用することで視覚的な記憶を強化するとよいでしょう。
ルールを決めて守れたらほめる
人の話を聞く力を育てるためには、明確なルールを設定し、それを守れた時にはしっかりとほめることが大切です。例えば、「話を聞くときは相手の目を見る」「話が終わったら質問する」といった具体的なルールを設けます。
子どもがルールを守れたときは、オーバーなくらいほめてあげましょう。小さな成功を積み重ねることで、子どもは徐々に人の話を聞くことの大切さを理解し、スキルを向上させていくことができるでしょう。
このような取り組みを通じて、子どもは自信を持って人の話を聞けるようになっていきます。ただし、ルールは子どもの発達段階や個性に合わせて設定し、無理のない範囲で実践することが大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
発達障害の診断がなくても、人の話を理解し、適切に反応することが難しい子どもたちは多くいます。今回解説したように、子どもが人の話を聞かない原因は多岐にわたります。
いずれにしても、話を聞くのが苦手な子どもたちに対する有効な対応方法は、まず、子どものペースを尊重することです。また、話を聞くことが難しい理由を理解し、それに対応するための具体的な技術やツールを提供することで、彼らのコミュニケーション能力を向上させることが可能です。そして、しっかり話を聞けたときは、よくほめてあげましょう。
この記事を通じて、子どもたちが人の話を聞くのが苦手である理由と、それに対する対応方法について理解を深めていただければ幸いです。
