子どもの発達障害に対する助成金の活用法と申請手続

子どもが太陽を眺めている写真

子どもの成長は親にとって何よりの喜びですが、発達障害を抱える子どもを育てることには特に、多くのお金、労力、時間が必要になり、悩みの尽きない保護者の方々も多いようです。

そんな時に知っておいてほしいのが、助成金や手当の存在です。サポートを上手く活用することで、経済的な負担を軽減することができます。

この記事では、発達障害を抱える子どもたちとその家族が受けられる可能性のある手当を詳しく解説します。
手当の受給には一定の条件があるため、正確な情報を把握し、手続きをスムーズに進めることが大切です。

発達障害を抱える子どもの保護者の方々は、ぜひ最後までご覧ください。

助成金の役割

二人の女の子が椅子に座っている写真

保護者の方々が最も心配するのは、子どもの将来のことでしょう。

教育費や生活費はどれくらいかかるのかなど、何をするにも未来を築くためにはお金が必要になります。
下記からは助成金を申請するために必要なステップを「特別児童扶養手当」を例に詳しく解説します。

申請手続きのステップ

「特別児童扶養手当」は、20歳未満で精神又は身体に障害を有する児童を家庭で養育している保護者に支給されます。

必要な書類

  • 市町村窓口にある認定請求書
  • 障害認定診断書
  • 戸籍謄本
  • 住民票

申請手続きの流れ

  1. 役所を訪問し、「認定請求書」と「障害認定診断書」をもらう
  2. 児童相談所 or かかりつけ医に1でもらった「障害認定診断書」の記入を依頼する
  3. 心理検査と診断書もらうために医療機関or児童相談所を2度訪問
  4. 役所に訪問し、「認定請求書」「障害認定診断書」を役所に持参、その際に戸籍謄本、住民票を交付してもらう
  5. 必要書類を窓口へ申請
  6. 各都道府県で審査
  7. 判定結果をもとに手当証書が作成
  8. 手当証書が届く

障害認定診断書は児童相談所やかかりつけ医に記入を依頼し、心理検査と診断書をもらうために医療機関や児童相談所を2度訪問する必要があります。

既にかかりつけ医がいる人以外は、児童相談所に問い合わせることをおすすめします。なぜなら、医療機関は書類作成に1件3,000円程かかってしまいますが、児童相談所は無料だからです。

※児童相談所によって特別児童扶養手当の診断を受け付けていない場合があるので、お住まい地域の児童相談所に確認が必要です。

申請後支給の通知には3ヶ月程かかります。

受けられる助成金の種類

封筒に入ったお金

先ほどご紹介した特別児童扶養手当以外にもADHDの子どもと家族が受け取れる可能性のある助成金を紹介します。

特に未成年のうちは多くの支援があるので、受けられる時にはしっかり補助制度を活用しましょう。

ここで紹介する制度以外にも受けられる補助制度があるかもしれないので、まずはお近くの役所の窓口で相談してみてください。

国の制度

発達障害向けの手当の多くは、国の制度によるものです。それぞれの手当の内容や受給するための条件を解説します。

特別児童扶養手当

手当の額

  • 1級…月額51,000円
  • 2級…月額34,000円

前述の通り、特別児童扶養手当は障害のある子ども自身にではなく、保護者に支給されます。

1級は障害が重い場合に適用されるため、発達障害のみは2級と判定される可能性が高いです。

障害児福祉手当

手当の額

月額15,220円+行政の支援(国の金額に加算)

精神又は身体に重度の障害を有するため、日常生活において常時の介護を必要とする状態にある在宅の20歳未満の方に支給されます。

各自治体により加算がありますが、条件は自治体により異なるので、お住まいの地域の自治体に確認してください。

在宅重度障害者手当

手当の額

年間6万円~20万円程度

地方自治体独自の制度で在宅の障害者向けの手当です。

所得制限があることが多いようです。

療育手帳をお持ちの方は、各自治体にお問い合わせください。

児童扶養手当

手当の額

全部支給:4万4,140円

一部支給:1万410円〜4万4,130円

児童扶養手当は、子供を養育するひとり親世帯(父子、母子家庭)に対して支給される手当です。

下記のいずれかの条件を満たす必要があります

  • 父母が離婚
  • 父または母が死亡
  • 父または母が生死不明
  • 父または母が一定程度の障がいの状態にある
  • 父または母が1年以上子どもを遺棄している
  • 父または母が裁判所からのDV保護命令を受けている
  • 父または母が1年以上拘禁されている
  • 婚姻によらないで生まれた
  • 棄児などで父母の存在が明らかでない子ども

児童手当

3歳未満:15,000円

3歳~小学生:10,000円

(第3子以降は30,000円)

中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方に支給されます。

原則として、毎年6月、10月、2月に、前月分までの手当を支給します。

例えば、6月の支給日には、2〜5月分の手当が支給されます。

地方自治体の制度

独自に補助を出している市町村もありますので、

市町村の役所の窓口には必ず一度相談をしてみましょう。

所得控除

手当の金額

障害者控除(保健福祉手帳2級・3級)・・・年270,000円

特別障害者控除(保健福祉手帳1級)・・・年400,000円

一定金額の所得控除を受けることができます。

所得税を計算するとき16歳未満の扶養親族がいても所得控除はされませんが、障害者控除は別です。

確定申告や年末調整で忘れず申請しましょう。

障害者扶養共済制度

支給額 一口2万円

障害者扶養共済制度とは、障害を抱える子をもつ保護者が、毎月掛金を支払うことで、保護者が死亡または重度の障害になった場合、子どもが亡くなるまで、毎月1口あたり2万円の年金がもらえる制度です。つまり、障害者扶養共済の掛金は、全額所得控除されるので、所得税や住民税を減らすことができます。

障害者手帳

障害者手帳には療育手帳、精神障害者手帳保健福祉手帳の2種類があります。手帳の取得をすることで得られるメリットは以下のものが挙げられます。

  • 医療費の助成
  • 税金の控除
  • 公共サービスの割引な支援

市町村によりますが、手帳交付までは1~2カ月ほどかかります。手続き期間が長いため取得したい場合は早めに申請することを心掛けましょう。障害者手帳を取得するデメリットは特にありませんので、取得しておいて損はないでしょう。

その他の控除

NHK受信料

全額免除になるケースと半額免除になるケースがあります。

全額免除

世帯のどなたかが、障害者の手帳(身体障害者手帳、療育手帳(または判定書)、精神障害者保健福祉手帳)をお持ちで、世帯全員が市町村民税非課税の場合

半額免除

次のいずれかにあてはまる方が、世帯主でかつ受信契約者の場合

  • 視覚・聴覚障害者(身体障害者手帳をお持ちの方)
  • 重度の障害者
  • 身体障害者手帳:1級または2級
  • 療育手帳(または判定書):「最重度」または「重度」に相当する記載
  • 精神障害者保健福祉手帳:1級

対象は非課税世帯になるのでなかなか条件に当てはまるのは難しいです。

交通系の助成

公共交通機関(タクシー、電車、バス)などが助成対象となる場合があります。※発達障害だけだと対象外になることが多いようです。

住宅改造費助成

発達障害でも防音工事などが対象になる場合があります。お住まいの地域でどのような助成があるか、役所などで確認してください。

バリアフリー改修

身体障害者の方向けで、手すりの取り付けや、段差の解消といった障害者の住環境を改善する住宅リフォームの費用を助成するものです。地方公共団体の窓口で問い合わせが必要です。

手当の支給決定後必要な事と注意点

必要な手続きを踏んでいなかったり条件によっては、手当が支給されないケースもあります。

下記は、児童扶養手当の支給決定後に必要な事と注意点です。

所得制限

扶養する保護者の所得が約630万以上(収入で約830万)あると支給されなくなります

また、子どもに収入があるとは考えにくいですが、例えば子どもが18歳で就職した会社から年間650万の給与が支払われると支給されません。

※扶養する親族の数によって所得制限の額(収入額)は変わります。

児童福祉施設に入所

別居する場合や、子どもが特別支援学校の寄宿舎で生活する場合には「別居監護」の申請をすることで手当の支給を継続できますが、子どもを児童福祉施設に入所させる際は手当が支給されません。

2年に1回更新が必要

2年に1度、医師の診断書の提出が必要です。

更新手続きの案内が送られてきますので、必ず更新するようにしてください。

毎年所得状況届の提出が必要

「所得状況届」とは、受給する保護者の所得が一定以下の事を確認するために必要な書類です。

こちらも案内が送られてくるので提出を忘れずにするようにしましょう。

助成金の活用法

女の子が悩んでいる写真

先ほど解説した助成金の有効的な使い道を4つ紹介します。

学資保険

保険に加入する際は、契約者(保険料を支払う人)、被保険者(学資保険の場合は子ども)、受取人(保険金を受け取る人)を決めます。
学資保険の中には、契約者しか告知義務が必要ないものもあります。その場合は、子どもに発達障害があったとしても加入ができるので、銀行に預けておくよりも効率よく貯金ができるのでオススメです。

教育費のための貯金

子どもの進学などの節目には、制服代や教材費、部活動で使う物や遠征費など、突発的なお金が必要になることもあります。今は子供の教育にお金がかかるのが現状です。そのようなときに、貯金があると心配せずに済みます。

子供の生活費や習い事

普段の食費、衣服代、医療費、習い事など、子育てをしていると、教育費だけではなく、生活費も多くかかります。目の前の子どもの生活費に優先的に回している(もしくは回さざるを得ない)ご家庭も少なくはないようです。

その他

「その他」の使い道としては、発達障害を抱える子どもの生活をサポートするのにおすすめのアイテムを4つ紹介します。

ノイズキャンセリング機能付きのヘッドフォン

発達障害の子どもは音に敏感なことが多く、日常の様々な音に不快感を感じていることがあります。

不快に感じている音がどの程度なのかにもよりますが、ノイズキャンセリング機能のあるヘッドフォンなどを活用することで不快感を軽減できる可能性があります。

視野を狭くする眼鏡

発達障害の特性として目の前のことに集中できず、目につくものに注意がそれてしまうというものがあります。その際に視界を狭くするというのも1つの手段です。眼鏡の左右部分の視界を遮ることで、目の前のことに集中しやすい環境を作ってあげることができます。

ボトルチップス

衝動的な特性を持っている子どもや、力の加減が苦手でそっと物を置くのが苦手、給食の時にお皿をトレーに乗せて運ぶ行為が難しいという子どもには、ボトルチップスがおすすめです。
木のボトルのうえにチップを重ねていくというおもちゃで、崩さないようにチップを置く為にはそっと置く必要があります。
これを繰り返して指先の感覚を楽しく遊びながら意識することができます。

忘れ物防止タグ

不注意から忘れ物や失くしものが多い発達障害のこどもには、忘れ物防止タグもおすすめです。

発達障害の子どもが20歳になったら

女の子が草原に立っている写真

発達障害のみの診断で20歳以降受給できる手当はありません。

身体障害のある人は障害基礎年金が受給できますが、発達障害のみでの受給は難しく、幼少期から自立を目指した準備が必要です。

まとめ

赤ちゃんがご飯を食べている写真

本日は発達障害の子どもとその家族がもらえる助成金について解説しました。

発達障害を抱える子どもを育てることには多くのお金、労力、時間が必要になってきます。

子どもの自立のために、保護者が準備できることはたくさんありますので、本記事を参考に、使える制度は上手く活用して、できるだけ不安を解消しながら子育てができるといいですね。

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この記事を書いた人

ウィズ・ユー編集部

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