ウィズ・ユー編集部 
発達障害児に関わる仕事をしたいけれど、どんな資格が必要か、どのような職種があるのかと考えている方は多いのではないでしょうか？
発達障害児に関わる仕事は、子どもたちの成長と自立を支援する重要な役割を担っています。適切な知識と技能を身につけることで、子どもたちの可能性を最大限に引き出すことが可能です。
そこで、この記事では、発達障害児に関わる仕事の種類や役割、必要な資格について詳しく解説します。発達障害児支援に興味のある方は、ぜひ最後までお読みください。
発達障害の種類と特徴
ASD（自閉スペクトラム症）
ASDは、社会的コミュニケーションの困難さと、興味や行動の偏りを特徴とする発達障害です。ASDの子どもたちは、他者との関わりや感情の理解に苦手さを感じることがあります。また、特定の物事に強い興味を示したり、日常生活のルーティンを変えることに抵抗を感じたりすることがあります。
そのため、アイコンタクトを避けたり、場面に合わせた会話が難しかったりすることがあります。一方で、特定の分野に関する知識が豊富であったり、細部への強いこだわりを持っていたりすることもあります。ASDの特性を理解し、適切な支援を行うことで、子どもたちの潜在能力を引き出すことができるでしょう。
ADHD（注意欠如多動症）
ADHDは、不注意、多動性、衝動性を主な特徴とする発達障害です。ADHDの子どもたちは、集中力の維持が難しかったり、じっとしていることが苦手だったりすることがあります。また、順番を待つことや、衝動的な行動を抑えることに困難を感じることもあります。
このような特性により授業中に集中を保つことが難しかったり、課題の提出を忘れたりすることがあります。また、落ち着きがなく、常に体を動かしている様子が見られることもあります。ADHDの特性を理解し、適切な環境調整や支援を行うことで、子どもたちの学習や生活の質を向上させることが可能です。
LD（学習障害）
LDは、全般的な知的発達に遅れがないにもかかわらず、特定の学習能力に著しい困難を抱える発達障害です。読む、書く、計算するなどの特定の学習領域において、他の領域と比べて顕著な困難さが見られます。
例えば、文字の読み書きに時間がかかったり、文章の意味理解が難しかったりすることがあるのが特徴です。また、数学の問題を解く際に、手順を覚えることや応用することに苦手さを感じることもあります。LDの特性を理解し、個々の子どもに合わせた学習支援を行うことで、学習面での困難さを軽減し、自信を持って学ぶことができるようになります。
発達障害の早期発見と支援の重要性
発達障害の早期発見と適切な支援は、子どもたちの健やかな成長と将来の可能性を広げる上で非常に重要です。発達障害を早期に発見し適切な支援を行うことで、子どもたちの強みを伸ばし、困難さを軽減することができます。
早期発見のためには、保護者や保育・教育関係者が発達障害の特徴を理解し、気づきを持つことが大切です。もし言葉の遅れや社会性の発達に気になる点がある場合、専門家に相談することが重要です。また、定期的な健康診断や発達検査を活用することも、早期発見につながります。
適切な支援を行うことで、子どもたちの自尊心を育み、社会適応能力を向上させることができます。個別の指導計画を作成し、子どもの特性に合わせた学習環境を整えることなども効果的です。また、ソーシャルスキルトレーニングなどを通じて、コミュニケーション能力を向上させることもできます。
早期からの支援を行うことは、二次障害の予防にもつながります。適切な支援がないと、自信の喪失やいじめの対象になるなど、メンタルヘルスの問題が生じる可能性があります。早い段階からの支援でこのようなリスクを軽減し、子どもたちが自分らしく成長できる環境を整えることができるでしょう。
発達障害児に関わる仕事の種類と役割
放課後等デイサービス
放課後等デイサービスは、学校の授業終了後や長期休暇中に、発達障害児に対して生活能力の向上のための訓練や社会との交流促進などの支援を行う施設です。ここでは、障害児支援員や児童指導員が中心となって支援を行います。
具体的な役割としては、学習支援、ソーシャルスキルトレーニング、余暇活動の提供などがあります。宿題のサポートや集団活動を通じたコミュニケーション能力の向上、趣味や特技を伸ばす活動などを行います。これらの支援を通じて、子どもたちの自立と社会参加を促進することが主な目的です。
児童発達支援事業所・センター
児童発達支援事業所・センターは、就学前の発達障害児を対象に、日常生活における基本的な動作の指導や集団生活への適応訓練などを行う施設です。保育士や児童指導員、言語聴覚士などの専門職が連携して支援にあたります。
主な役割は、子どもの発達段階に応じた個別支援計画の作成と実施です。例えば、言語発達を促す活動や、感覚統合療法を用いた運動発達の支援、ソーシャルスキルの獲得を目指した遊びの提供などを行います。また、保護者に対する育児相談や支援方法の指導も重要な役割の一つです。
保育所等訪問支援事業所
保育所等訪問支援事業所は、保育所や幼稚園、認定こども園などにおいて、発達障害を持つ子どもたちの支援を行う専門機関です。これらの事業所では、発達障害児が適切な保育環境で過ごし、健やかに成長できるように、保育士や教員と連携してサポートを行います。また、発達障害児の特性やニーズに応じた個別の支援計画を立て、保護者や施設のスタッフに対しても助言を提供します。
主な業務は、子どもの特性に合わせた環境調整や、保育士・教師への助言、個別の支援方法の提案などです。クラス内での座席配置の工夫や、視覚的支援ツールの活用方法の提案、他の子どもたちとの関わり方のサポートなどを行います。これにより、発達障害児が集団生活にスムーズに適応できるよう支援します。
障がい児入所施設
障がい児入所施設は、家庭での養育が困難な発達障害児に対して生活の場を提供し、日常生活の指導や自立支援を行う施設です。児童指導員や保育士、心理士などが連携して支援を行います。
主な役割は、子どもたちの日常生活全般のサポートと、個々の発達段階に応じた自立支援プログラムの実施です。基本的な生活習慣の確立や、社会性の獲得を目指した活動、学習支援などを行います。また、家族との関係調整や、将来の自立に向けた準備支援も重要な業務です。
小中学校の特別支援学級
特別支援学級は、通常の学級での学習が困難な発達障害児に対して、よりきめ細かな教育を行う場です。特別支援教育の専門知識を持つ教員が指導にあたります。
主な仕事は、個々の児童生徒の特性に応じた教育課程の編成と実施です。学習面での個別指導や、ソーシャルスキルトレーニング、感覚過敏への対応などを行います。また、通常学級との交流及び共同学習を通じて、社会性の向上や多様性の理解促進を図ることも特別支援学級の大切な仕事です。
相談支援事業所
相談支援事業所は、発達障害児やその家族に対して、福祉サービスの利用計画の作成や、日常生活に関する相談支援を行う機関です。相談支援専門員が中心となって支援を行います。
相談支援事業所の役割は、発達障害児とその家族のニーズを把握し、適切なサービスにつなげることです。そのため、利用可能な福祉サービスの情報提供や、個別支援計画の作成、関係機関との連携調整などを行います。また、家族の不安や悩みに寄り添い、長期的な視点での支援方針を一緒に考えることも行っています。
発達障害児に関わる仕事に必要となる資格
児童発達支援管理責任者
児童発達支援管理責任者は、発達障害児の支援施設などで重要な役割を担う専門職です。この資格を持つことで、発達に遅れが見られる児童の発達支援計画を策定し、その計画に基づいて適切な支援を提供することが求められます。療育プログラムの作成や実施、保護者への指導、他のスタッフとの連携、そして児童の発達状況の評価と記録など、多岐にわたる業務をこなします。
この資格を取得するためには、まず一定の実務経験が必要です。具体的には、福祉や医療、教育などの分野での5年以上の実務経験が求められます。また、これに加えて指定の研修を修了することが必要です。研修では、発達障害の特性や支援方法に関する専門知識を深めるためのカリキュラムが組まれており、実践的なスキルを身につけることができます。
児童指導員
児童指導員は、児童福祉施設や障害児施設などで、子どもたちの生活指導や援助を行う専門職です。この資格を取得するには、大学で社会福祉学、心理学、教育学などを専攻していることや、高等学校卒業後2年以上児童福祉事業に従事した経験が必要です。
児童指導員の資格を取得することで、発達障害児に対する専門的な理解とスキルを身につけることができます。児童指導員は発達障害児の行動や心理に対する適切なアプローチを学び、日常生活の中でのサポート方法を実践します。さらに、保護者や他の専門職との連携を通じて、子どもたちの環境を最適化するための協力体制を築くことも重要です。
保育士
保育士は、保育所や児童福祉施設などで、子どもたちの保育や育成に携わる専門職です。保育士の資格を取得するためには、専門の教育課程を修了し、国家試験に合格する必要があります。
発達障害児に関わる仕事では、主に児童発達支援や放課後等デイサービスなどで活躍します。主な仕事は、子どもたちの発達段階に応じた保育計画の立案と実施、日常生活の支援などです。例えば、遊びを通じた発達支援や、基本的な生活習慣の獲得支援などを行います。また、保護者への育児相談や、他の専門職との連携も重要な役割です。保育士は、子どもの発達全般を支える専門職として、発達障害児支援の現場で重要な存在です。
社会福祉士
社会福祉士は、社会福祉に関する専門的知識と技術を有する国家資格です。この資格を取得するには、指定の養成施設で学ぶか、実務経験を積んだ上で国家試験に合格する必要があります。
社会福祉士は、福祉・医療・教育など多岐にわたる分野で活動できる専門職であり、発達障害児とその家族が直面するさまざまな課題に対して総合的な支援を提供します。福祉サービスの調整、生活支援、相談業務などを行います。特に、発達障害児が適切な教育や医療サービスを受けられるようにするための連携調整は、社会福祉士の重要な役割の一つです。
発達障害児に関わる仕事を目指す上で、社会福祉士の資格は非常に有用です。この資格を持つことで、発達障害児とその家族が直面するさまざまな問題に対して、効果的かつ総合的な支援を提供することが可能になります。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は、リハビリテーション医療の専門職で、それぞれ国家資格です。これらの資格を持つ専門家は、医療機関や教育機関、福祉施設などで活躍し、発達障害児とその家族を支える重要な役割を果たしています。
理学療法士は、理学療法士（PT）は、運動機能の改善を目指してリハビリテーションを行う専門家です。発達障害児に対しては、日常生活で必要な基本的な動作や運動機能の向上をサポートします。
作業療法士（OT）は、日常生活動作（ADL）の改善を目指して支援を行う専門家です。食事や着替え、トイレなどの日常生活で必要な動作の習得をサポートします。
言語聴覚士（ST）は、コミュニケーション能力の改善を目指して支援を行う専門家です。言語発達の遅れや発音の問題、聴覚の障害などに対する訓練を行います。
心理士
心理士は、心理学の専門知識を活かして心理的支援を行う専門職です。公認心理師（国家資格）や臨床心理士（民間資格）などがあります。発達障害児支援の分野では、主に医療機関や児童発達支援センター、教育機関などで活躍します。
心理士になるためには、一般的に心理学の大学院修士課程を修了し、国家資格を取得する必要があります。日本では、臨床心理士や公認心理師といった資格があり、それぞれに必要な教育と経験が定められています。
心理士の役割は、心理検査や行動観察を通じた発達障害の評価・診断補助、心理療法の実施、家族支援などです。例えば、子どもの認知特性や行動特性を詳細に分析し、適切な支援方法を提案します。また、子どもや家族のカウンセリングを行い、心理的な側面からサポートします。
発達障害児と関わる仕事に役立つ認定資格
児童発達支援士
児童発達支援士は、一般社団法人日本児童発達支援協会が認定する資格です。発達障害児の支援に特化した専門的な知識と技能を有する人材の育成を目的としています。
児童発達支援士になるためには、一定の実務経験と専門的な研修を受けることが必要です。そのため、この資格を持つことで、発達障害児に対してより効果的な支援を提供することが可能となります。
児童発達支援士の役割は、発達障害児の特性を正確に把握し、個々の子どもに適した支援計画を立案・実施することです。例えば、子どもの強みを活かした学習支援や、社会性の獲得を促す活動の設計などを行います。また、家族支援や他の専門職との連携にも重要な役割を果たします。
この資格は、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの現場で特に重視されており、より専門的な支援を提供する上で大きな強みとなります。
発達障害児支援士
発達障害児支援士は、日本発達障害支援協議会が認定する資格です。自閉症を中心とした発達障害児の支援に関する専門的な知識と技能を有する人材を育成することが目的です。発達障害児支援士は、医療機関や教育機関、福祉施設などでの活動が期待されており、保護者や教師と連携して子供たちの生活の質向上を目指します。
さらに、発達障害児支援士は、家族や他の支援者との連携を強化する役割も担っています。家族が子供の発達や行動について理解し、適切な対応を取れるよう支援することが求められます。これにより、家庭内でのストレスを軽減し、子供たちが安心して成長できる環境を整えることができます。
発達障害児支援士の資格を持つことで、発達障害児への理解が深まりより効果的な支援を提供することが可能となります。その結果、子供たち自身が持つ可能性を最大限に引き出し、社会全体の理解と支援を促進する重要な役割を果たすことができるでしょう。
子ども発達障がい支援アドバイザー
子ども発達障がい支援アドバイザーは、発達凸凹アカデミーが認定する資格です。発達障害児とその家族を総合的に支援できる人材の育成を目的としています。
この資格は、発達障害の特性を理解し、適切な支援方法を提供するための知識を身につけることができるため、特に教育現場や福祉施設、医療機関などで働く人々にとって非常に有用です。
子ども発達障がい支援アドバイザーの主な役割は、発達障害を持つ子どもたちの日常生活や学習環境をより良いものにするための支援策を提案し、実施することです。子どもの特性に応じた個別の支援計画を作成し、家族や教師、他の専門職と協力してその計画を実施していきます。また、子どもやその家族が直面する問題やストレスを軽減するためのカウンセリングやアドバイスも行います。
まとめ
発達障害児支援の分野では、放課後等デイサービス、児童発達支援事業所、特別支援学級など、様々な現場で専門家が活躍しています。これらの仕事に就くためには、児童発達支援管理責任者や保育士、社会福祉士などの資格が必要となることが多く、さらに専門性を高めるための認定資格も存在します。
発達障害児に関わる仕事は、専門的な知識と技能、そして何より子どもたちへの深い理解と愛情が求められます。しかし、その分やりがいも大きく、子どもたちの成長に直接関わることができる素晴らしい仕事です。
この記事で紹介した情報を参考に、自分に合った職種や必要な資格を見極め、キャリアプランを立ててみてください。発達障害児支援の現場では、あなたの力を必要としている子どもたちが待っています。一人でも多くの子どもたちの未来を支える存在になれることを願っています。
