イヤイヤ期がひどいのは発達障害が原因?イヤイヤが止まらない子どもへの5つの接し方

泣いている男の子

子どもが成長する過程で「イヤイヤ期」は避けて通れないステップの一つです。しかし、中には特にイヤイヤ期がひどいと感じる子どもがいます。これは単に性格なのか、それとも何か特別な理由があるのかと悩む方もいらっしゃるでしょう。特に親として気になるのが、イヤイヤ期がひどくなるのは発達障害のせいなのかという疑問です。

この記事では、イヤイヤ期がひどくなる原因や発達障害の影響について詳しく解説します。さらに、具体的な対処法や子どもとの接し方についても紹介します。お子さんのイヤイヤ期にお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。

イヤイヤ期がひどくなるのは発達障害のせい?

泣いている子供をなだめる母

イヤイヤ期とは

イヤイヤ期とは、2歳頃から始まる子どもの自己主張の強い時期のことです。自我の芽生えに伴い、親や周囲の大人の指示に反発する時期を指します。この時期、子どもは「イヤ」「ダメ」といった言葉を多用し、反抗することが多くなります。

親にとってはストレスが多い時期でもあり、対応に悩む方も少なくありません。とはいえ、イヤイヤ期は子どもの自立心や自我の形成に重要な役割を果たします。子どもの成長に合わせた適切な対応が求められますが、子どもの成長過程の一部であることを理解しておくことが大切です。

発達障害とは

発達障害とは、脳の機能に関わる生まれつきの特性で、コミュニケーションや社会性、学習、注意力などに困難を抱える状態のことです。おもな種類には、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)などがあります。

発達障害は個人差が大きく、症状の現れ方や程度は人それぞれです。発達障害の子どもは、通常の発達過程とは異なる反応や行動を示すことが多く、学習や日常生活に支障をきたすことがあります。早期の診断と適切なケアが重要であり、個々のニーズに合わせた対応が求められます。

とはいえ、発達障害は決して珍しいものではなく、しかし、適切なサポートと治療によって、その子どもの長所を伸ばし、充実した生活を送ることが可能です。

発達障害とイヤイヤ期の関係

発達障害とイヤイヤ期には、直接的な因果関係はありません。しかし、発達障害のある子どもの場合、一般的なイヤイヤ期と比較して、より強い自己主張や反抗を示すことがあります。これは、発達障害の特性が通常のイヤイヤ期の症状を増幅させる可能性があるためです。

例えば、ASDの子どもは変化や予定外の出来事に強い不安を感じやすく、それがイヤイヤの反応につながることがあります。また、ADHDの子どもは衝動性が高く、感情のコントロールが難しいため、イヤイヤがより激しくなることがあります。

ただし、イヤイヤ期がひどいからといって、必ずしもすべての発達障害のある子どもに当てはまるわけではありません。それぞれの発達の違いや特性を理解することが重要です。

イヤイヤ期と発達障害の見分け方

イヤイヤ期と発達障害を見分けるのは専門家でも難しい場合がありますが、いくつかのポイントに注目すると、違いがわかりやすくなります。まず、イヤイヤ期は一時的な現象であり、年齢とともに落ち着いていきます。一方、発達障害は一生続く可能性があり、長期的な支援が必要です。

また、イヤイヤ期の子どもは、状況によって柔軟に対応できることが多いですが、発達障害のある子どもは、こだわりが強く状況に応じた対応が難しいことがあります。さらに、イヤイヤ以外の面でも、コミュニケーションの困難さなどが見られることがあります。

ただし、これらはあくまで目安であり、判断が難しい場合は専門家に相談することをおすすめします。

イヤイヤ期がひどくなる原因

泣いている男の子

発達障害

発達障害がある子どもは、一般的なイヤイヤ期と比較して自己主張が強く、反抗的な行動が激しくなる傾向があるのが特徴です。

例えば、ASDの子どもは、変化や予想外の出来事に対して強い不安を感じやすく、それがイヤイヤ反応を引き起こす原因となることがあります。また、ADHDの子どもは衝動性が高く感情のコントロールが難しいため、イヤイヤにつながることもあります。

発達障害がある場合、イヤイヤ期の対応には専門家のアドバイスを取り入れながら、子どもの特性に合わせていくことが必要です。

ストレス

子どもが経験するストレスも、イヤイヤ期がひどくなる要因の一つです。家族の変化(例えば、引っ越しや新しい兄弟の誕生)や、保育園・幼稚園での環境変化などが子どもにとって大きなストレスとなる可能性があります。

また、親のストレスも子どものイヤイヤ反応を強める要因になることがあります。親が疲れていたり、イライラしていたりすると、それが子どもに伝わり、さらなるイヤイヤ反応を引き起こす悪循環に陥ることがあるので注意が必要です。

保護者が子どもの気持ちに寄り添い、安心感を与えることで、ストレスを軽減し、イヤイヤ期を乗り越えやすくすることができます。

気質

気質も、イヤイヤ期の表れ方に大きく影響します。気質とは、その子どもの生まれ持った性格や行動傾向の基となるものです。例えば、もともと慎重で新しい環境になじみにくい気質の子どもは、変化に対して強いイヤイヤ反応を示すことがあります。

一方、活発で刺激を求める気質の子どもは、退屈を感じやすく、制限されることに対して強く反発する傾向があるかもしれません。また、感受性の強い子どもは、周囲の雰囲気や他人の感情に敏感に反応し、それがイヤイヤ反応につながることもあります。

気質はその子どもの個性であり、良し悪しではありません。親が子どもの気質を理解し、それに合わせた対応をすることで、イヤイヤ期をスムーズに乗り越えられる可能性が高まります。

イヤイヤ期がひどい発達障害の子どもの特徴

疲れている子供二人

強いこだわりがある

発達障害の子どもの中には強いこだわりを持つ子が多くいます。例えば、同じ服を着たがる、決まった食器でないと食事をしない、いつもと違うルートを通ろうとするとパニックになるなどの行動として現れることがあります。

このイヤイヤは、予測不可能な状況に対する不安感から来るものです。こだわりがある子ども達に対しては、無理にこだわりをなくそうとするのではなく、子どもの気持ちを理解し、一緒に解決策を見つけていくことが大切です。

衝動的に行動する

発達障害の中でも特にADHDの子どもは、衝動的な行動が目立ちます。考えるよりも先に行動してしまうことがあり、イヤイヤ期ではより顕著になり、激しい感情の起伏や予測不可能な行動として表れることがあります。

例えば、買い物中に急に走り出したり、危険な場所に飛び出したりするなどの行動が見られることがあります。このような行動は、イヤイヤ期がひどくなる要因となり、周囲の大人を困らせることが多いです。

衝動的な行動に対しては、即座に制止するだけでなく、適切な表現方法を教えたり、落ち着ける環境を用意したりするなど、子どもの特性に合わせた対応が必要です。

何に対してもイヤと言う

発達障害の子どもは、何に対しても「イヤ」と反応することが多いです。言葉でうまく伝えられない感情や要求を「イヤ」という一言で表現することで、自分の存在を主張しようとしているのです。

そのため、食事、着替え、外出、入浴など、日常生活のあらゆる場面で「イヤ」が連発されることもあるでしょう。大人は、子どもの「イヤ」の裏にある本当の気持ちや理由を理解しようとすることが重要です。

コミュニケーションがとりにくい

発達障害のある子どもは、感情の表現の仕方や言葉の理解力に困難を抱えていることが多く、イヤイヤ期にはこの特徴がより強く出る場合があります。

発達障害の子どもは感情の表現の仕方がわからない、言葉を理解できないなどといった理由で、自分の気持ちや要求を適切に伝えにくいものです。

その結果、ストレスが溜まり、激しいイヤイヤ反応として表れることがあります。

イヤイヤ期がひどい発達障害の子どもへの接し方

母に泣きつく男の子

子どもの気持ちに寄り添う

発達障害の子どもに対しては、まずその気持ちに寄り添うことが大切です。子どもが何かを嫌がるとき、その背後には不安や困惑が隠れていることが多いです。

例えば、突然泣き出したり怒ったりする場合、その行動の引き金となった理由を探りましょう。子どもの気持ちを言葉で代弁してあげることで、子ども自身も自分の感情を理解しやすくなります。

「〇〇が嫌だったんだね」「そうなんだね、大変だったね」といった声かけを通じて、子どもの気持ちを認めることが大切です。気持ちに寄り添うことで、子どもは理解されていると感じ、徐々に落ち着きを取り戻せるようになります。

子どもができるところまでやらせる

発達障害のある子どもは、できることとできないことの差が大きい場合があります。イヤイヤ期の対応では、子どもの能力を適切に把握し、できるところまでやらせることが重要です。

まずは、子どもが自信を持ってできる作業から始め、段階的に難しいことにチャレンジさせます。例えば、着替えが苦手な子どもの場合、最初は靴下を脱ぐだけから始め、できたらしっかりほめてあげましょう。そして少しずつ、ズボンを脱ぐ、シャツを脱ぐというようにステップを踏んでいきます。

子どもが達成できる小さな目標を設定し、それを達成する過程でほめてあげることが必要です。これにより、子どもは自信を持ち、イヤイヤ期の行動も次第に落ち着いていきます。

落ち着いて見守る

発達障害の子どもがイヤイヤ期に入ると、親もついあせってしまうことがありますが、落ち着いて見守ることが大切です。子どもがパニックになったり、激しい感情を表出したりしても、大人が冷静さを保つことが重要です。

子どもが泣き叫んでいてもすぐに制止しようとせず、安全な環境で見守ります。この間、「大丈夫だよ」「ママ(パパ)はここにいるよ」などと、穏やかに声をかけてあげましょう。子どもの感情が落ち着いてきたら、ゆっくりと近づき、必要に応じてスキンシップを取ります。深呼吸をして、ゆったりとした態度で接することで、子どもも安心感を得やすくなります。

楽しいことを提案する

イヤイヤ期の子どもの気分を切り替えるには、楽しいことを提案することが効果的です。好きな遊びや興味のある活動を一緒に行うことで、ポジティブな感情を引き出し、イヤイヤ期のネガティブな反応を減少させることができます。

例えば、子どもが好きな遊びや活動を提案します。「ブロック遊びをしよう」「お気に入りの絵本を読もう」など、子どもの興味に合わせた提案をしてみましょう。

ただし、親が楽しいと感じることが子どもにとっても楽しいとは限りません。子どもの意見を尊重し、一緒に楽しめる内容を見つけることが大切です。それが親と子どもの信頼関係を深め、イヤイヤ期をスムーズに過ごすための一歩となるでしょう。

スキンシップをとる

発達障害のある子どもにとって、適切なスキンシップは安心感を与え、情緒の安定につながります。抱きしめる、手をつなぐ、背中を優しくなでるなど、触れ合うことで子どもは安心感を得られます。

スキンシップは、言葉では表現しきれない「大切にされている」「安全」という感覚を子どもに伝えたいときに効果的です。スキンシップによって子どもの不安が軽減され、イヤイヤ反応が和らぐことがあります。

ただし、中には触れられることが苦手な子どももいるため、まずは反応を見ながら、適度なスキンシップを心がけましょう。

こんな対応はNG!イヤイヤ期がひどくなる行動

バツの旗をあげる母

頭ごなしに否定する

イヤイヤ期の子どもに対して頭ごなしに否定することは、状況を悪化させる原因となります。子どもは自分の気持ちを理解してもらえないと感じ、反抗的な態度を強めることが多いです。

例えば、子どもが大声を出している時に「うるさい!」と叱ったり、おもちゃを投げた時に「そんなことしないで!」と強く否定したりするのは効果的ではありません。代わりに、「大きな声が出ちゃったね。どうしたの?」「おもちゃを投げたくなる気持ちはわかるけど、危ないからやめようね」といった形で、子どもの気持ちを認めつつ、適切な行動を示していくのが有効です。

頭ごなしに否定するのは、イヤイヤ期がひどくなるだけでなく、子どもの自己肯定感にも影響を与えるので注意が必要です。

子どもと距離を置く

イヤイヤ期の子どもに対して、「面倒くさい」「うんざりする」といった理由で距離を置くことは、問題をさらに悪化させる可能性があります。特に発達障害のある子どもは、親や周囲の大人との安定した関係性を必要としています。

イヤイヤ期の対応が難しく、イライラしてしまうことはありますが、子どもと距離を置くことは避けるべきです。子どもは大人からの愛情や関心を求めています。距離を置くことで、子どもは不安を感じ、さらに反抗的な行動を示すことがあります。

例えば、子どもがパニックを起こしている時に「勝手にしなさい」と放置したり、「お母さん(お父さん)はもう知らない」と言って部屋を出て行ったりすることはやめましょう。このような対応は、子どもに見捨てられ感や不安感を与え、さらなる問題行動を引き起こす可能性があります。

代わりに、子どもの近くにいて見守る姿勢を保ちつつ、必要に応じてサポートするのが効果的です。「お母さん(お父さん)はここにいるよ」「落ち着いたら一緒に話そうね」といった声かけをしながら、子どもに安心感を与えることが大切です。

無理矢理言うことをきかせる

イヤイヤ期の子どもに対して、力ずくで言うことを聞かせようとするのは逆効果です。特に発達障害のある子どもは、強制されることで不安やパニックを引き起こしやすい傾向があります。

「これをしなさい!」と強い口調で命令すると、子どもは従うどころか、さらにイヤイヤと言う可能性が高まります。さらに子どもの自尊心を傷つけ、特定の行動に対する恐怖心や嫌悪感を植え付けてしまう恐れもあるので注意しましょう。

子どものペースに合わせて、穏やかに説明し、納得して行動できるように導くことが大切です。

あいまいな指示をする

あいまいな指示は、子どもを混乱させ、イヤイヤ期の行動を助長する原因となります。子どもは具体的で明確な指示を必要としています。

「ちゃんとしなさい」「早くしなさい」といった抽象的な指示は、子どもに混乱や不安を与える可能性があります。また、「後で片付けてね」のような時間が明確でない指示も、子どもにとっては理解しづらいものです。

「おもちゃを箱にしまってね」といった具体的な指示を出すことで、子どもは安心して行動できます。

まとめ

母と父と歩く子供

イヤイヤ期の子どもへの対応は難しいものです。特に子どもの感情や意志を無視したり、強制的に抑え込むような対応はしないように心がけましょう。

子どもの感情を尊重し、共感的な対応を意識することが大切です。また、イヤイヤ期の子どもには、コミュニケーションが重要であるということを覚えておきましょう。

子どものイヤイヤ期を適切に理解し、子どもの成長を支えるための対応をすることで、イヤイヤ期も乗り越えられるものです。本記事がイヤイヤ期を乗り越える助けとなることを願っています。

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ウィズ・ユー編集部

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