放課後等デイサービスで働いているけど、給料がなかなか上がらない。そのようなお悩みはありませんか?放課後等デイサービスの給料は、地域や職種によって差があり、給料が上がる方法もさまざまです。
この記事では、放課後等デイサービスの給料に関心がある方へ向けて、給料の現状や上げるための具体的な方法について解説します。資格取得やキャリアアップのポイントも紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
放課後等デイサービスとは
放課後等デイサービスは、おもに6歳から18歳までの障害を持つ子どもたちが、学校の授業が終わった後や休日に利用できる福祉サービスです。放課後や長期休暇中に子どもたちの居場所を提供し、生活能力の向上のための訓練を行います。
そのため、子どもたちが安全で楽しい環境で過ごすことができるように設計されており、学習支援、社会性の発達、生活スキルの向上をサポートしています。
放課後等デイサービスの仕事内容
放課後等デイサービスの仕事内容は多岐にわたります。
おもな作業を4つに分類すると次のとおりです。
- 子どもたちの送迎
- 学習や日常生活のサポート
- 保護者との連携・支援
- 施設内の事務作業
まず、子どもたちの送迎業務があります。学校からサービス提供場所への送迎や、サービス終了後の自宅への送迎を行います。次に、子どもたちの学習支援があります。宿題の手伝いや、個々の学習レベルに合わせた教材を用いての学習指導を行います。
また、社会性の向上を目指した活動も重要です。例えば、グループ活動を通じてコミュニケーション能力を高めたり、社会のルールを学んだりする機会を提供します。さらに、日常生活のスキルを身につけるための訓練も行われます。これには、食事の準備や掃除、買い物の練習などが含まれます。
保護者との連携も欠かせません。定期的に保護者との面談を行い、子どもたちの成長や課題について情報を共有します。また、保護者からの相談に乗り、家庭での支援方法についてアドバイスを行うこともあります。
最後に、施設内の環境整備や書類作成などの事務作業もスタッフの仕事の一部です。これには、子どもたちの活動記録をつけたり、支援計画の見直しを行ったりする作業が含まれます。
このように、放課後等デイサービスの仕事内容は多岐にわたり、子どもたちの多様なニーズに応えるために幅広いスキルと知識が求められます。
放課後等デイサービスの給料
放課後等デイサービスの平均年収
放課後等デイサービスの給料は、職種や経験、地域によって異なります。給与体系は月給制や時給制があり、施設によっても違いがあります。
厚生労働省の令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果から算出した常勤スタッフの平均年収は、313万円です。
国税庁によると、給与所得者の平均年収は461万円のため、国内全体と比較すると放課後等デイサービスの年収は比較的低めの水準にあると言われています。
地域別の平均給料
ここからは地域ごとの平均月給を職種別に紹介します。給与額は障害福祉の転職サービス「LITALICOキャリア」の情報をもとにまとめています。
北海道・東北
北海道・東北地方では、放課後等デイサービスの職員の月給は18万円から29.5万円程度です。これは、都市部と比べて物価や生活費が低いため、給料もやや低めに設定されていることが影響しています。
児童発達支援管理責任者 | 約23.8万円~約29.5万円 |
保育士 | 約18.0万円~約24.7万円 |
機能訓練担当職員 | 約19.5万円~約26.2万円 |
甲信越・北陸
甲信越・北陸地方では、平均月給は18.8万円から32.3万円程度となっています。この地域では、地域特性や需要によって給料に若干の差があります。
児童発達支援管理責任者 | 約23.2万円~約32.3万円 |
保育士 | 約18.8万円~約26.8万円 |
機能訓練担当職員 | 約19.6万円~約27.9万円 |
関東
関東地方の平均月給は23.7万円から36万円程度です。特に東京や神奈川などの都市部では、需要が高く給料も高めに設定される傾向があります。
児童発達支援管理責任者 | 約28.5万円~約36.0万円 |
保育士 | 約23.7万円~約29.8万円 |
機能訓練担当職員 | 約26.7万円~約33.8万円 |
東海
東海地方では、20.5万円から33.7万円程度です。名古屋市などの大都市では、他の地域と比較してやや高めの給料が支給されることがあります。
児童発達支援管理責任者 | 約26.7万円~約33.7万円 |
保育士 | 約20.5万円~約26.8万円 |
機能訓練担当職員 | 約22.1万円~約29.2万円 |
関西
関西地方の平均月給は21.3万円から33.9万円程度です。大阪や京都などの都市部では、需要に応じて給料も高めに設定される傾向があります。
児童発達支援管理責任者 | 約26.2万円~約33.9万円 |
保育士 | 約21.3万円~約28.2万円 |
機能訓練担当職員 | 約23.6万円~約31.8万円 |
中国
中国地方では、18.2万円から29.2万円程度です。この地域では、地方特有の生活費の違いが給料にも影響を与えています。
児童発達支援管理責任者 | 約23.3万円~約27.8万円 |
保育士 | 約18.2万円~約22.4万円 |
機能訓練担当職員 | 約20.3万円~約29.2万円 |
四国
四国地方の平均月給は19.4万円から31.1万円程度です。比較的物価が低いことが給料の低さに反映されています。
児童発達支援管理責任者 | 約23.9万円~約31.1万円 |
保育士 | 約19.4万円~約24.8万円 |
機能訓練担当職員 | 約23.1万円~約27.4万円 |
九州・沖縄
九州・沖縄地方では、放課後等デイサービスの職員の平均月給は20万円から30.8万円程度です。沖縄では、さらに物価が低いため、給料も若干低めに設定されています。
児童発達支援管理責任者 | 約25.2万円~約30.8万円 |
保育士 | 約20.0万円~約25.9万円 |
機能訓練担当職員 | 約21.2万円~約27.3万円 |
職種別平均給料
放課後等デイサービスの給料は、職種によって大きく異なります。
厚生労働省の令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果によると、職種別の放課後等デイサービスの平均年収は以下の表のとおりです。
職種 | 平均年収(常勤) |
管理者 | 3,784,260円 |
児童発達支援管理責任者 | 3,569,844円 |
児童指導員 | 2,632,956円 |
保育士 | 2,656,428円 |
機能訓練担当職員 | 3,053,820円 |
管理者や施設長などの上級職は、平均年収が400万円前後となっています。これに対して、一般の指導員の平均年収は250万〜350万円程度です。さらに、パートタイムで働くスタッフの場合、時給で支払われることが一般的で、時給は約1,000円〜1,500円の範囲が多いです。
職種別の給料の違いは、おもに仕事内容や責任の重さ、専門知識や経験の有無が影響します。管理者や施設長は、施設全体の運営やスタッフの管理、保護者との連絡調整など、多岐にわたる業務をこなすことが必要です。そのため、高い責任が伴い、給料も高めに設定されています。
一方、一般の指導員や支援員は、子どもたちへの直接的なサポートが主な業務となります。これには学習支援や生活スキルの向上を目的とした活動が含まれますが、管理者ほどの広範な業務や責任は求められません。そのため、給料は管理者に比べて低めに設定される傾向があります。
また、パートタイムスタッフの場合、フルタイムでの勤務が難しいため、短時間勤務となることが多いです。そのため、給料も時給ベースで計算され、他の職種に比べて低いことが一般的です。ただし、勤務時間や業務内容によっては、パートタイムでも高めの時給が設定される場合もあります。
保育士と比較するとどちらが高い?
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、一般の保育士の平均月給は26.6万円です。令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果の放課後等デイサービスで働く保育士の月給は22.1万円のため、やや低い傾向にあるといえるでしょう。
ただし、これは平均値であり、個々の施設や経験年数、資格の有無によって大きく異なる場合があります。また、放課後等デイサービスでは、特別支援学校教諭免許や社会福祉士などの資格を持っている場合、より高い給与が期待できる場合もあります。
放課後等デイサービスの給料が安い理由
施設で得られる売上に限度がある
放課後等デイサービスは、利用者数や営業時間に制限があるため、施設で得られる売上にも自ずと限度があります。具体的には以下のような要因が考えられます。
まず、放課後等デイサービスは、1日の利用定員が法令で定められており、施設によって異なるものの、多くの場合は10名程度に制限されています。そのため、一定以上の利用者を受け入れることができず、売上を大きく伸ばすことが難しい状況にあるのが実情です。
また、時間帯がおもに放課後の時間帯に限定されるため、1日に営業する時間が短く、結果として売上が制限されます。さらに、学校の長期休暇中以外は、平日の午後数時間のみの営業となることが多くなります。
さらに、放課後等デイサービスは地域密着型のサービスであるため、利用者の数にも限りがあります。地域の需要に応じた適切な規模で運営されることが求められるため、無理に利用者を増やすことも厳しくなります。そのため、新たな収入源の確保や大規模な収益増加を図ることが難しく、結果としてスタッフの給与に反映される資金も限られてしまう可能性も高いといえるでしょう。
介護報酬の影響を受ける
放課後等デイサービスは、障害児通所支援事業の一つとして位置づけられており、その報酬は介護給付費等の公的給付によって賄われています。この介護報酬システムが、給与水準に大きな影響を与えています。
介護報酬は、国の定める基準に基づいて決められており、サービスの種類や提供時間、利用者の状態などによって細かく設定されています。しかし、この報酬単価は必ずしも高くなく、施設の運営コストを考慮すると、職員の給与に大きく割り当てることが難しい状況にあります。
介護報酬の改定は数年ごとに行われ、増減が繰り返されるため、事業所側も安定した収入を確保するのが難しい状況です。例えば、報酬が減額されると、事業所の収益が減少し、従業員の給料にも影響が及びます。逆に報酬が増額されても、その恩恵が従業員の給料に反映されるまでには時間がかかることが多いです。
さらに、介護報酬は地域区分によって異なり、都市部と地方では単価に差があります。これが地域による給与の格差を生む一因ともなっています。
介護報酬の低さとその変動性が、放課後等デイサービスの給料が安い大きな要因となっています。これを改善するためには、介護報酬の見直しや、事業所の収益向上策が求められますが、現状ではその実現は簡単ではありません。
放課後等デイサービスで給料を上げるには
資格を取る
専門的な資格を取得することは、給料アップの有効な手段の一つです。放課後等デイサービスで特に評価される資格には以下のようなものがあります。
- 保育士資格
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
これらの資格を持っていると、より専門的な支援が可能となるため、給与の上昇につながる可能性が高くなります。また、複数の資格を持つことで、さらなる給与アップが期待できるでしょう。
長く勤務する
勤務期間に比例して、福利厚生や年次昇給などの恩恵を受けやすくなります。多くの企業や施設では、勤務年数に応じて昇給制度やボーナス制度が設けられていることが多いです。そのため、勤続年数が長くなるほど、給料が増える傾向があります。
また、長く勤めることで施設の運営や子どもたちの支援に関する深い知識と経験を積むことができ、それが評価されて昇給や昇格につながることもあるでしょう。
さらに、同じ施設で長く勤務することは、キャリアの安定性を示す証拠にもなります。転職が多い場合、雇用主はその理由やリスクを懸念することがあります。長く一つの職場で働くことは、安定して仕事を任せられる職員としての信頼度も高まり、給料の向上も期待できるでしょう。
公務員になる
公立の放課後等デイサービスの職員として公務員になることで、比較的安定した収入と福利厚生を得ることができます。公務員の場合、民間の施設よりも給与水準が高いことが多く、定期的な昇給や各種手当も充実しています。
公務員としての経験は、将来的に他の福祉関連の高位職や管理職へのステップアップにもつながります。例えば、福祉施設の管理者や地域福祉のプランナーとしてのキャリアパスも考えられます。これにより、より高い給与水準を実現することができるでしょう。
ただし、公務員の採用試験は競争率が高いことが多いため、十分な準備が必要です。また、公務員試験に合格する必要があるため、事前に採用要件をよく確認しておくことが大切です。
キャリアアップを図る
放課後等デイサービス内でのキャリアアップを図ることも、給与アップの方法の一つです。例えば、以下のようなステップアップが考えられます。
- 一般職員から主任への昇進
- サービス管理責任者への就任
- 施設長や管理者への昇格
これらの役職に就くことで、責任は増しますが、それに応じて給与も上昇することが多いです。キャリアアップを目指すには、日々の業務で実績を積み重ねるとともに、必要な研修や資格取得に積極的に取り組むことが重要です。
別の施設に転職する
現在の施設よりも好条件の施設に転職することで、給与アップを図ることも可能です。転職の際には、以下の点に注目すると良いでしょう。
- 給与体系(基本給、各種手当、賞与など)
- 勤務条件(勤務時間、休日など)
- 施設の規模や経営状況
- キャリアアップの機会
ただし、転職を考える際は、給与だけでなく、仕事のやりがいや職場の雰囲気なども総合的に判断することが大切です。また、転職市場の動向や自身のスキル、経験なども考慮に入れて慎重に決断していきましょう。
まとめ
放課後等デイサービスは、障害のある子どもたちの成長と自立を支援する重要な役割を担っています。放課後等デイサービスの給与は、一般的に他の業種と比べてやや低めですが、その理由には施設の売上限度や介護報酬の影響などがあります。
しかし、給与アップの方法はいくつかあります。今回ご紹介した方法などを試しながら、自分に合ったキャリアプランを考えていくことが大切です。
放課後等デイサービスでの仕事は、子どもたちの成長に直接関わる喜びがある一方で、給与面での課題もあります。しかし、自己研鑽とキャリアプランニングによって、やりがいと適切な報酬の両立を図ることができます。この仕事に興味がある方は、本記事で紹介した情報を参考に、自身のキャリアパスを考えてみてはいかがでしょうか。