発達障害を認めたくない…親が診断を受け入れられない5つの心理と乗り越え方

頭を抱え込む男性

「もしかしてうちの子、発達障害かも…」そう感じても、心のどこかで「そんなはずはない」と打ち消したくなる気持ち、とてもよくわかります。

学校から専門機関への相談を勧められたけれど、診断がつくことで子どもに「障害」というレッテルが貼られ、将来の可能性が閉ざされてしまうのではないかという不安。

周囲には「気にしすぎ」と言われ、自分を責め、誰にも本音を話せない孤独感を抱えている親御さんは少なくありません。

この記事では、発達障害を認めたくないと感じる親の心理を5つの視点から紐解き、その気持ちを無理なく乗り越えていくためのステップを具体的にお伝えします。

子どもの「育てにくさ」や「困りごと」を解決する糸口を、一緒に見つけていきましょう。

発達障害を認めたくない気持ちは自然な反応

机に顔を伏せる女性とそれを見ている男性

認めたくないという感情の裏にある親の本音

「発達障害を認めたくない」と感じるのは、親として子どもを大切に思っているからこそ生まれる自然な感情です。

この気持ちの裏には、「子どもを守りたい」「幸せになってほしい」という強い愛情が隠れています。

診断がつくことで、子どもが周囲から特別な目で見られたり、差別を受けたりするのではないかという心配が、認めることへの抵抗感を生んでいるのです。

また、「自分の育て方が間違っていたのでは」という不安や、「障害」という言葉が持つ重さに圧倒されてしまう親御さんも多いでしょう。

こうした葛藤は、障害受容のプロセスにおいて多くの親が経験する段階であり、決して珍しいことではありません。

同じように悩み、苦しみ、そして少しずつ前を向いていった親御さんはたくさんいます。

まずは「認めたくない」と感じる自分自身を責めないでほしいのです。

診断がつくと子供の将来が閉ざされるという誤解

「診断を受けたら、普通の学校に通えなくなるのでは」「就職できなくなるのでは」という不安を抱える親御さんは非常に多いですが、これは大きな誤解です。

発達障害の診断を受けても、普通学級に在籍し続けることは十分に可能であり、多くの子どもたちが実際にそうしています。

診断は子どもを特別支援学級に強制的に移すためのものではなく、必要な配慮やサポートを受けるための「パスポート」のような役割を果たします。

進学についても、発達障害があることを理由に入学を拒否されることは法律で禁じられています。

就職に関しても、診断があるからといって不利になることはなく、むしろ自分の特性を理解したうえで適した職場を選ぶことで、長く安定して働けるケースが増えています。

「診断を受けると生命保険に入れない」という噂もありますが、すべての保険会社がそうではなく、加入できる保険も多く存在します。

診断は将来を閉ざすものではなく、むしろ子どもの可能性を広げるための第一歩と捉えてみてください。

なぜ子どもの発達障害を認められないのか?5つの理由

胸に手を当てている女性

理由1:「自分の育て方が悪かったのか」という罪悪感

子どもに発達障害の可能性があると知ったとき、多くの親御さんが最初に感じるのは「自分のせいではないか」という罪悪感です。

「妊娠中に何か悪いことをしたのでは」「もっと厳しくしつければよかったのでは」と、過去の自分を責めてしまうのは、親として自然な反応といえます。

しかし、発達障害は生まれつきの脳の特性であり、育て方や妊娠中の行動が原因で生じるものではありません

医学的にも、発達障害は先天的な脳機能の違いによるものとされており、親の責任ではないことが明らかになっています。

診断を受け入れることは「親としての失敗」を認めることではなく、子どもをより深く理解するきっかけになるのです。

罪悪感を手放すことで、子どもへの接し方にも余裕が生まれ、親子関係がより良い方向に向かうことが多いのです。

理由2:「障害」という言葉への抵抗感

「障害」という言葉には、どうしてもネガティブなイメージがつきまといます。

「障害者」というラベルが子どもに貼られることへの強い抵抗感は、多くの親御さんが共有している思いでしょう。

しかし、発達障害における「障害」は、本人の能力が劣っているという意味ではありません。

脳の情報処理の仕方が多数派と異なるために、社会生活で困難が生じやすい状態を指しているのです。

言い換えれば、周囲の環境や関わり方次第で、その「障害」は大きく軽減できる可能性があるということです。

近年では「発達の凸凹」「ニューロダイバーシティ(脳の多様性)」といった表現も広がり、発達障害を個性の一つとして捉える考え方も浸透してきています。

言葉のイメージに囚われず、その意味するところを正しく理解することが、受け入れへの第一歩になります。

理由3:夫婦間や家族間での認識のずれ

子どもの発達について心配している親御さんの中には、パートナーや祖父母との認識のずれに苦しんでいる方が少なくありません。

「元気がいいだけ」「考えすぎじゃない?」と言われ、学校からの指摘と家族の反応の板挟みになり、孤独感を深めてしまうケースは非常に多いのです。

特に、子どもと過ごす時間が短い家族ほど、日常の細かい困りごとに気づきにくい傾向があります。

また、祖父母世代は発達障害という概念自体が広まっていなかった時代を過ごしているため、理解を得るのに時間がかかることもあるでしょう。

一人で抱え込まず、専門家の客観的な意見を共有することで、家族の理解を得られるきっかけになることもあります。

理由4:普通であってほしいという期待と願望

親として、子どもには「普通に」友達を作り、学校生活を楽しみ、社会に出て自立してほしいと願うのは当然のことです。

しかし、この「普通であってほしい」という期待が、発達障害を認めることへの大きな壁になっていることがあります。

診断を受けることは、その「普通」への期待を手放すことのように感じられ、それが辛いのは無理もありません。

ただ、ここで考えてほしいのは、「普通」とは一体何なのかということです。

すべての子どもには個性があり、得意なことと苦手なことがあるのは当たり前なのです。

発達障害を認めることは、子どもの個性を否定することではなく、その子に合った「幸せの形」を一緒に探していく出発点になります。

「普通」にこだわるよりも、「この子らしさ」を大切にする視点に切り替えることで、親子ともに楽になれることが多いのです。

理由5:診断によって未来の可能性が閉ざされる不安

「診断を受けたら、子どもの将来の選択肢が狭まってしまうのではないか」という不安は、多くの親御さんが抱えています。

進学や就職、結婚など、人生のさまざまな場面で不利になるのではないかという心配は、子どもの幸せを願うからこその当然の感情です。

しかし、実際には診断を受けることで得られるメリットの方が大きいケースがほとんどです。

学校では合理的配慮を受ける権利が法律で保障されており、テストの時間延長や別室受験などのサポートを受けられるようになります。

就職においても、自分の特性を理解したうえで働くことで、ミスマッチを防ぎ、長く活躍できる可能性が高まります。

診断は可能性を閉ざすものではなく、むしろ子どもが自分らしく生きるための道を開く鍵となるものです。

認めたくないまま放置するとどうなる?起こりうるリスク

泣いている男の子を励ますお母さん

自己肯定感の低下と「二次障害(不登校・うつ)」の危険性

発達障害を認めず、適切な支援を受けないまま過ごすと、子どもの心に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

最も心配されるのは、「二次障害」と呼ばれる、うつ病や不安障害、不登校などの二次的な問題の発生です。

二次障害とは、発達障害そのものの特性ではなく、周囲の無理解や不適切な対応によって後から生じる精神的な問題を指します。

発達障害のある子どもは、「みんなと同じようにできない」場面を日常的に経験しています。

周囲から「努力が足りない」「やる気がない」と誤解され続けることで、「自分はダメな人間だ」という思い込みが強化されていくのです。

こうした否定的な経験の積み重ねが自己肯定感を著しく低下させ、やがて学校に行けなくなったり、心身に不調をきたしたりする原因になります。

適切な支援のタイミングを逃し、学校生活での孤立が深まる

発達障害への対応は、早ければ早いほど効果が高いと言われています。

支援を受けるタイミングが遅れるほど、子どもが学校生活で孤立するリスクは高まっていくのです。

発達障害のある子どもは、コミュニケーションの取り方や感情のコントロールが苦手な場合があり、友達関係でつまずきやすい傾向があります。

周囲の子どもたちが「あの子は変わっている」と距離を置き始めると、仲間はずれやいじめに発展することも珍しくありません。

こうした状況が続くと、子どもは「どうせ自分は誰とも仲良くなれない」と諦めてしまい、人との関わりを避けるようになってしまいます。

支援は「必要になってから」ではなく、「今できるうちに」始めることが大切です。

親子関係の悪化し叱責が増える

発達障害の特性を理解しないまま子どもと向き合うと、「なぜできないの」「何度言ったら分かるの」という叱責が増えてしまうことがあります。

例えば、ADHD(注意欠如・多動症)の子どもは、叱られても同じミスを繰り返してしまうことがありますが、これは「わざと」や「怠けている」わけではありません。

脳の特性上、注意を持続させたり、衝動を抑えたりすることが難しいのです。

子どもは「頑張っているのに認めてもらえない」と感じ、親御さんは「何をしても響かない」と疲弊していきます。

この悪循環が続くと、親子の信頼関係にひびが入り、家庭が子どもにとって安心できる場所ではなくなってしまいます。

発達障害を理解することで、「叱り方」から「支え方」へと関わり方を変えることができるのです。

発達障害を認めることはゴールではなくスタート

ハートを握る母と子供の手

診断は子どもにレッテルを貼るためのものではない

発達障害の診断を受けることに抵抗がある親御さんの多くは、「診断=レッテル」という誤解を持っています。

しかし、診断の本当の目的は、子どもを分類したりラベル付けしたりすることではありません

診断は、子どもが抱えている困りごとの「原因」を明らかにし、その子に合った支援を見つけるための手がかりです。

例えば、体調が悪いときに病院で検査を受けるのと同じように、子どもの特性を正しく把握することで、適切な対処法が見えてきます。

診断名は子どもの本質を表すものではなく、支援を受けるための「道具」に過ぎません。

大切なのは診断名そのものではなく、診断によって得られた情報をどのように子どものために活かすかということです。

「認める」ことで初めて見える、子どもへの適切な関わり方

発達障害を認めることで、これまで「問題行動」に見えていたことの意味が変わってきます

特性を理解することで、「なぜそうなるのか」が分かり、「どう対応すればいいか」が見えてくるのです。

例えば、多動傾向のある子どもには長時間じっとしていることを求めるよりも、適度に体を動かす機会を設ける方が効果的です。

感覚過敏のある子どもには、刺激の少ない環境を整えてあげることで、落ち着いて過ごせるようになります。

認めることは、子どもを変えようとすることから、子どもに合わせて環境を整えることへの転換点になります。

早期支援が子どもの可能性を広げる理由

発達障害への支援は、早く始めるほど効果が高いことが多くの研究で明らかになっています。

子どもの脳は発達途上にあり、適切な働きかけによって柔軟に変化する力を持っているからです。

早期に療育(発達を促すための専門的なトレーニング)を受けることで、苦手なことへの対処法を身につけたり、得意なことを伸ばしたりすることができます。

また、小さいうちから自分の特性を理解し、うまく付き合う方法を学ぶことで、思春期以降の困難を軽減できる可能性も高まります。

「もう少し様子を見よう」と先延ばしにすることで、貴重な成長の機会を逃してしまうこともあるのです。

支援が早すぎて困ることはありませんが、遅すぎて後悔することはあります。

支援を受けることで親自身も楽になれる

発達障害の支援は、子どものためだけでなく、実は親御さん自身の負担を軽くするためにも大きな意味があります。

一人で子どもの困りごとに向き合い続けることは、想像以上に心身を消耗させます。

専門家や支援機関とつながることで、「どうすればいいのかわからない」という不安から解放され、具体的な対処法を教えてもらえるようになります。

また、同じ悩みを持つ親御さんとの出会いは、「自分だけじゃない」という安心感をもたらしてくれるでしょう。

支援を受けることは、弱さを認めることではなく、子どもと自分自身を守るための賢明な選択です。

親が穏やかな気持ちでいられることは、子どもの安定にも直結しています。

親が無理なく前へ進むための4つのステップ

STEP

ステップ1:まずは専門家に相談してみる

最初の一歩として、「診断を受ける」のではなく「相談してみる」という気持ちで専門機関を訪れてみることをおすすめします。

相談したからといって、すぐに診断が下されるわけではありません。

地域の発達相談窓口や児童発達支援センターでは、子どもの様子を聞いたうえで、今後どうすればいいかを一緒に考えてくれます。

「うちの子に障害があるかどうか」を確認するためではなく、「今の困りごとをどう解決すればいいか」を相談する場として活用してみてください。

専門家と話すことで、漠然とした不安が具体的な課題として整理され、見通しが立ちやすくなります。

一人で悩み続けるよりも、第三者の視点を借りることで、新しい気づきが得られることも多いのです。

ステップ2:子どもの「困りごと」を具体的に書き出してみる

相談に行く前に、子どもの「困りごと」を具体的に書き出しておくと、より実りのある相談ができます。

「落ち着きがない」という漠然とした表現ではなく、「授業中に10分以上座っていられない」「食事中に何度も席を立つ」といった具体的な場面をメモしておきましょう。

いつ、どこで、どのような状況で困りごとが起きるのかを整理することで、その行動の原因やパターンが見えてくることがあります。

また、困っていることだけでなく、子どもの「得意なこと」や「好きなこと」も一緒に書き出しておくと、支援を考える際のヒントになります。

このメモは専門家への説明に役立つだけでなく、親御さん自身が子どもを客観的に見つめ直すきっかけにもなるのです。

ステップ3:夫婦・家族で率直に話し合う時間を持つ

子どもの発達について、家族全員が同じ方向を向いていることは非常に重要です。

パートナーや祖父母との認識がずれたままでは、子どもへの対応に一貫性がなくなり、子ども自身も混乱してしまいます。

まずは、自分が感じている心配事や、専門家から聞いた話を率直に共有してみましょう。

その際、相手を責めたり、理解を強制したりするのではなく、「一緒に考えてほしい」という姿勢で伝えることが大切です。

もし直接話し合うことが難しければ、専門家を交えた場を設けたり、発達障害に関する分かりやすい資料を共有したりする方法もあります。

家族の理解を得るには時間がかかることもありますが、焦らず少しずつ進めていくことが結果的に近道になります。

ステップ4:発達検査を受けて客観的な情報を得る

家族で話し合い、気持ちの準備ができたら、発達検査を受けることを検討してみてください

発達検査とは、子どもの知的能力や発達の状態を専門的な方法で測定するもので、WISC(ウィスク)などがよく使われます。

検査を受けることで、「何が得意で何が苦手なのか」「どのような支援が効果的なのか」といった客観的な情報が得られます。

この結果は学校に伝えることで、授業中の配慮や支援の根拠として活用できます。

検査は「障害があるかないか」を判定するためだけのものではなく、子どもの特性を詳しく知るための「設計図」のような役割を果たします。

客観的なデータがあることで、感情的になりがちな議論も建設的に進められるようになるのです。

発達障害と向き合う親を支える相談先

携帯を見ながら考えている女性

児童発達支援センターや発達相談窓口に相談する

地域には、発達障害に関する相談を無料で受け付けている公的な相談窓口がいくつかあります。

  • 児童発達支援センター:専門スタッフによる相談、療育の紹介など総合的な支援が受けられる
  • 保健センター:乳幼児健診の際に気になることを相談できる身近な窓口
  • 発達障害者支援センター:都道府県・政令市に設置された発達障害専門の相談機関
  • 教育相談センター:学校での困りごとについて教育の専門家に相談できる

これらの窓口では、診断を受ける前の段階でも相談に乗ってもらえます。

まずは電話で「子どもの発達について相談したい」と伝えるだけで大丈夫です。

専門家と話すことで、次に何をすべきかの道筋が見えてくるでしょう。

ペアレント・トレーニングで「子供への接し方」を学ぶ

ペアレント・トレーニングとは、発達障害のある子どもへの効果的な接し方を親が学ぶプログラムです。

多くの場合、グループ形式で数回のセッションを通じて、子どもの行動の理解の仕方や、褒め方・叱り方のコツを実践的に学びます。

「問題行動を減らす」という視点ではなく、「望ましい行動を増やす」という前向きなアプローチが特徴です。

例えば、「片付けなさい」と叱るのではなく、「一つおもちゃを箱に入れられたね」と具体的に褒めることで、子どもの行動が変わっていくことを体験できます。

児童発達支援センターや医療機関、NPO法人などで実施されていることが多いので、お住まいの地域で探してみてください。

子どもの特性に合った関わり方を身につけることで、日々のストレスが大きく軽減されます。

親の会やオンラインコミュニティで孤独を解消する

発達障害のある子どもを育てる中で感じる孤独感は、同じ立場の親御さんとつながることで大きく和らぎます

地域には発達障害の子どもを持つ親の会があり、定期的な交流会や情報交換の場を設けていることが多いです。

また、SNSやオンラインコミュニティでは、時間や場所を問わず、同じ悩みを持つ人とつながることができます。

「うちだけじゃなかったんだ」「この対応で良かったんだ」という安心感は、何にも代えがたい支えになります。

周囲に相談できる人がいない場合でも、オンライン上には必ず共感してくれる仲間がいます。

一人で抱え込まず、誰かとつながることを意識してみてください。

まとめ

お家でお母さんと楽しそうに本を読む女の子

「発達障害を認めたくない」という気持ちは、子どもを愛しているからこそ生まれる自然な感情です。

しかし、認めないまま時間が過ぎることで、二次障害や親子関係の悪化といったリスクが高まることも事実です。

発達障害を認めることは「失敗」ではなく、子どもに合った関わり方を見つけるための「スタートライン」に立つことです。

まずは専門家への相談から始め、一人で抱え込まず、支援機関や同じ立場の親御さんとつながりながら、子どもと一緒に前へ進んでいきましょう。

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この記事を書いた人

ウィズ・ユー編集部

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