我慢ができない子どもは発達障害?「待てる子」に育てる効果的な対応方法を解説

順番を待つことができず、ルールを守れず、自分の要求が通らないと癇癪を起こす。こんな子育ての悩みを抱えるご家庭も少なくないでしょう。

しかし、我慢ができないのは、何か原因があり、発達障害が影響を与えていることもあります。単純に叱ることで変えられるものではなく、子どもに対して厳しく叱るのは逆効果です。

そこで、今回は我慢ができない理由や対処方法をご紹介します。

我慢ができない子どもは発達障害が原因?待てない理由とは?

我慢ができないからと言って必ずしも発達障害が原因とは限りません。

我慢ができない理由を発達障害とその他の理由に分けて解説します。

発達障害の子どもが我慢できない理由

発達障害はその特性から我慢が難しいことがあります。

まず、発達障害の子どもがなぜ我慢ができないのか、主な原因を4つ紹介します。

強いこだわりがある

発達障害のある子どもの中には、特定のものや事柄に強いこだわりを持つ場合があります。たとえば、特定の服にこだわり、同じ服しか着ないことがあったり、特定の順番を徹底的に守ろうとすることがあります。また、急に状況が変わると不安になり、我慢ができず癇癪を起こすこともあります。

空気が読めない・コミュニケーションに難がある

発達障害グレーゾーンの子どもは、暗黙のルールや他人の気持ちを読み取ることが苦手です。そのため、使いたいおもちゃがあっても友達が終わるまで待つ、図書館や病院で騒がず静かにするといった社会のルールや自分の行動が他人に与える影響を考えることが難しい場合があります。

衝動性が強い

発達障害グレーゾーンの子どもは、自己制御することが難しいため、やりたいと思ったらすぐに行動に移してしまう傾向があります。特に注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプでは、目の前の即時報酬に強く反応する傾向があります(報酬遅延の障害)。つまり、大きな将来の成果よりも、目の前の小さな報酬に引き寄せられてしまうのです。

これは衝動性が高く、「今すぐにやりたい!」という欲求が我慢する能力を上回ってしまうためです。脳の特性は本人にもコントロールが難しいため、「だめ!」や「待ちなさい!」といった制止の言葉はあまり効果的ではありません。むしろ、子どもに自信を与えて自発的な行動を促すことが重要です。

見通しを持つことが苦手

発達障害の子どもは、見通しを持つことが苦手です。これは、脳の「ワーキングメモリ」と呼ばれる機能と関係しています。発達障害の子どもは、ワーキングメモリが弱い傾向があります。そのため、お菓子を食べると夕食ができなくなることや、宿題を終わらせないと習い事に遅れてしまうことなど、未来をイメージすることが難しい場合があります。その結果、我慢が必要な理由が理解できず、行動が制御できないことがあります。

その他の原因

子どもが我慢できない理由は、発達障害だけではありません。

成長過程、しつけの問題、愛情不足の問題、わがままを許している問題などが挙げられます。

これらの要因には深刻な問題が潜んでいる可能性がありますので、子どもが我慢できない特性を持つ親御さんは、必ず確認するよう心がけてください。

成長過程

1〜3歳の子どもは、まだ発達途中であり、基本的に我慢することは難しい時期です。自分から少し我慢できるようになるのは3歳を過ぎてからであり、5歳になってもまだ難しい場面が多いのが一般的です。3歳までの我慢の実力はほぼゼロと考えて、工夫や褒めることなどを通じて、楽しく時間をかけて練習していくことが大切です。

今の時期は、我慢させるのではなく、うまく気分転換する方法や、親がイライラしそうな場所に近づかないようにするなどの対策をすることが基本です。

愛情不足

愛情不足のために、子どもが親の注意を引こうとしてイタズラやわがままをすることがあります。愛情不足の子どもは、親の顔色を伺ったり、爪を噛んだりする自傷行為をすることもあります。また、おねしょをすることや、無表情になることもあります。

これらのようなサインが見られる場合、愛情不足が問題になっている可能性があります。そのような場合には、スキンシップやコミュニケーションを増やすなどの対策が必要です。

しつけの問題

子どもが我慢できない原因や理由の一つに、しつけの問題があります。

しつけは、社会的に望ましい行動を身につけさせるために行われるものです。しかし、幼少期に我慢するという習慣を身に付けることができなかった可能性があります。

親御さんは、我慢できる子どもに育てたいと願ってさまざまな方法を試みているでしょう。しかし、効果が得られなかったかもしれません。

しかし、諦めるのではなく、どんな年齢であっても我慢強い子どもに育てるためのしつけを続けることが重要です。

子どもを甘やかしている

中学生や高校生になっても、まだまだ我慢できない子どもは、親がわがままを許してしまっている可能性も考えられます。

愛情不足による我慢できないという症状以外にも、親が子どものわがままを容認している場合があります。子どものわがままとは、ほしいものがすぐに手に入ったり、やりたいことがすぐに許されることを指します。

例えば、子どもが何かをほしいと言ったらすぐに買ってしまったり、やりたいことを言ったらすぐに許可してしまうと、子どもはわがままを許されると勘違いする可能性があります。

わがままを許すのが一定の範囲内であれば問題ありませんが、広範囲にわたって許してしまうと、子どもが勘違いするおそれがありますので、注意が必要です。

我慢できない子どもの「忍耐力」を養う接し方5選

これまで我慢できない子どもの特徴を説明してきましたが、そのような状況に遭遇した場合、どのように接すれば良いでしょうか?具体的な方法は以下の通りです。

感情的に怒らない

子どもが我慢できない場合、感情的になって怒るのではなく、叱るように心がけてください。

怒りは子どもからの反発を招くだけでなく、時には不当な怒りを伝えてしまう恐れもあります。そのため、「何が我慢できないのか?」や「なぜその行動が問題なのか?」を明確にし、冷静に叱ることが重要です。

感情的にならずに、なぜその行動が望ましくないのかを説明し、その後どのように改善すれば良いのかを一緒に話し合うことが効果的です。

事前に我慢しなければいけない理由や時間を説明しておく

最初に、子どもが我慢しなければならない理由を事前に説明することが重要です。

ポイントは、子どもの気持ちに共感しながらも親の考えを伝えることと、未来の楽しみを提供することです。

例えば、

「スーパーは広いからワクワクするよね」(共感)

「でも、他の人にぶつかったりすると危ないから、歩こうね」(説明)

「お買い物が終わったら、帰りにアイスを食べようね」(楽しみ)

このように、しっかりと予告してあげましょう。

子どもの気持ちを理解することで、親の指示を素直に聞いてくれる可能性が高まります。

また、どれぐらい我慢すればいいのかを具体的に時間で伝えることも重要です。

やりたいことを我慢しなければならないストレスは、大人でも辛いものです。時間が長く感じられることもありますよね。

具体的な時間が分かっていれば、見通しを立てやすくなりますし、「その間に○○して待とう」と時間を有効に使うこともできます。

母親も、「まーだー?」と連呼されるイライラを防ぐことができますよ!

「5分待ってね」「10分待ってね」と時間で伝えるのも良いですし、「宿題が終わったらね」「お買い物が終わったらね」と行動で伝えるのもおすすめです。

我慢することを教える際は、子どもが「それなら余裕で待てるよ!」と思える程度の時間からスタートしましょう。

我慢する時間が短ければ短いほど、我慢の先にある楽しみが大きければ大きいほど、我慢することへのハードルは下がります。

しっかり褒める・認める

我慢できているときには定期的に褒め、認めることが重要です。

子どもの問題行動の背後には、時には「お母さんに注目してほしい」という気持ちもあります。

そのため、我慢できない子どもには、まずは良い点を見つけて褒めてあげましょう。

たとえば、

・列に並んだらすぐに「ちゃんと並べたね」

・病院の待合室で椅子に座ったら「ちゃんと座れたね」

・スーパーに入ったら「ちゃんとお母さんの隣を歩けてるね」

このように、小さな我慢でも見逃さずに褒めてください。

子どもが褒められると、「認めてもらえた!」という安心感と自信が生まれます。

その結果、自発的に行動するようになり、良い行動が定着していきます。

指示は具体的にひとつずつ

発達障害は指示の理解や実行に困難を抱えることがあります。

そのため、はっきりと抽象的な表現ではなく、具体的に何を求めているのか、どんな行動をしてほしいのかを明確に伝えます。

曖昧な表現や含みのある言い方ではなく、具体的な指示を与えましょう。

一度に多くのことを伝えず、1つの指示や内容に集中しましょう。

理解しやすくするためには、数字や図解を使って具体的に伝えることも効果的です。

小さな目標からスタート

我慢が難しく何度も叱られてしまうと、モチベーションを維持することが難しくなります。

そんなときは、目標を小さなステップに分けて段階的に進めるようにしましょう。

細かくステップを区切ることで、子どもがすでにできることから始めることができ、失敗を避けながら自信をつけることができます。また、どこでつまずいているのかが明確になるため、教えるポイントが明確で教えやすくなります。

最初から難易度の高い目標を設定すると、子どもや保護者はストレスを感じる可能性があります。できることから着実に進めることができ、失敗やストレスを軽減することができます。また、小さな達成を積み重ねることで、自信や自己肯定感が高まり、モチベーションも向上します。

発達障害について

発達障害は前頭前野の機能不全が原因であると考えられています。通常、前頭前野は4〜5歳までに成熟すると言われていますが、発達障害の子どもには成長に偏りが見られることがあります。

感情の爆発や泣きわめきなどの自分をコントロールできない症状は、この成長の偏りが原因で起こることがあります。

この章では発達障害がどのようなものかご紹介します。発達障害には様々な特性があり、その特徴や症状を正しく理解することが重要です。

自閉症スペクトラム障害(ASD)

自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: ASD)は、対人関係が苦手であり、強いこだわりを持つ発達障害の一つです。自閉スペクトラム症の人々には、対人関係を調整する難しさや強いこだわりが共通の特徴として見られます。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

ADHD(注意欠如多動症)は、注意力が続かず行動が不安定な特性を持つ発達障害です。特性には不注意や多動性、衝動性が含まれ、主に3つのタイプに分かれます。幼児期には診断が難しく、就学期以降に多く診断されます。

グレーゾーンとは?

「グレーゾーン」とは、発達障害の特性がいくつか見られるものの、診断基準をすべて満たしていないため、確定診断が難しい状態を指します。

発達障害の子どもが我慢ができなくなる状況とは?

本章では、発達障がいの子どもが我慢できなくなるような状況をご紹介します。

このような状況に直面しないよう、保護者が配慮するようにしましょう。

不安がある・困っているとき

発達障がいの子どもは、自分の感情を分析したり表現したりするのが苦手です。そのため、不安や困っているときにそれをうまく伝えることができません。もやもやした感情をうまく処理できず、感情が爆発することがあります。

予定通りに物事が進まないとき・思い通りにいかないとき

ASDの子どもは予定どおりにいかないことや思いどおりにならないことに強いストレスを感じる傾向があります。形式どおりのルーティンを好み、新しいことや予期せぬ変化に対処するのが難しいため、パニックになることがあります。また、自分のこだわりやルールに沿わない状況に対して強い反発を覚え、それが感情の爆発を引き起こす原因となることもあります。

体が疲れているとき

ADHDの子どもは体が疲れやすい特性があります。多動の特性に加えて、頭も活発に回転させているため、肉体的な疲れが重なるとストレスが増します。しかし、その疲れをうまく表現できず、大人に理解してもらえないことがストレスの一因となります。

我慢をすることの大切さとは?

我慢することは、状況に応じて自己をコントロールする能力を意味します。つまり、誘惑に負けずに未来の成功を見据えて行動することができるということです。

例えば、好きなテレビ番組やゲームを我慢して勉強することや、飲み会をキャンセルして仕事に取り組むことが、テストで高得点を取ったり、仕事で成果を上げることにつながることがあります。

このように、「我慢できること」は、人生において重要な能力であり、未来を見据えて行動するための鍵となります。

自己主張の強さとの見極めも大切

自己主張とわがままには、重要な違いがあります。自己主張は、「自分はこうしたい」という欲求を表現することであり、人間が持つ本能の一つです。一方、わがままは甘えが含まれ、目的が自分の方を向かせたり構ってもらったりすることです。

自己主張は、物事に対する自分の理想を主張する行為であり、成長する子どもにとって大切なスキルです。しかし、わがままは自分の理想がかなわないときに生じる苛立ちからくる甘えであり、目的が欲しいものではなく、言うことを聞いてもらいたいという気持ちです。

親が子どもの自己主張とわがままの違いを理解し、自己主張を尊重しつつ、わがままを許容しないことが重要です。自己主張は子どもの成長にとって必要な能力であり、それを抑圧せずに向き合うことが大切です。一方で、わがままには毅然とした態度で対処する必要があります。自己主張とわがままを区別し、適切に対処することで、子どもの健全な成長を促すことができます。

幼児期の「我慢する」「待つ」力は後の学力にも繋がる

1960年代後半から1970年代前半に行われたスタンフォード大学のマシュマロ実験では、4歳の子ども186人がマシュマロを我慢する能力と将来の社会的成功との関連性を調査しました。

実験では、子どもたちはマシュマロを我慢して2個目を得るかどうかが観察されました。その16年後に行われた調査では、我慢できた子供たちは、我慢できなかった子供たちよりも優れた能力を示し、テスト点数や脳の活動にも差が見られました。

この実験の通り、「我慢する」「待つ力」は将来を見据えた自制力です。

自制力は想像力を必要とし、将来の利益を先に見据えることが重要です。

子供たちに未来を想像させることが、適切な選択を促す重要な役割を果たします。

まとめ

いかがでしたか?

本記事を参考に、子どもの「我慢する力」をしっかり育ててあげましょう。

我慢することができないのは、原因があり、発達障害が影響を与えている可能性もあります。

叱るだけで変えられるものではなく、発達障害の子どもに対しては厳しく叱ると逆効果になってしまいます。

まずはなぜ我慢出来ないのか原因を特定し、保護者が適切な対処をすることで徐々に我慢できる子どもへと育てていきましょう。

ご利用のお問い合わせはコチラ
ウィズ・ユーで働いてみませんか

この記事を書いた人

ウィズ・ユー編集部

ウィズ・ユー編集部