発達障害ではないけれど集団行動が苦手な子どもの特徴と対応方法

しゃがみ込む男の子

「うちの子どもは集団行動が苦手で心配」

「発達障害ではないけれど、友だちと上手に関われない」

このようなお悩みはありませんか。

集団行動が苦手な子どもには、適切な理解とサポートが必要です。その特徴や原因を知り、効果的な対応方法を学ぶことで、子どもの成長をサポートできます。

この記事では、発達障害ではないけれど集団行動が苦手な子どもの特徴や対応方法、サインの見分け方などを詳しく解説します。お子さんの行動の理解やサポートをするための参考として、ぜひ最後までお読みください。

発達障害ではないけれど集団行動が苦手な子どもの特徴

くまの人形を抱く女のこ

就学前の集団行動が苦手な子どもの特徴

就学前の子どもたちは、まだ社会性を身につける途中にあります。集団行動が苦手な就学前の子どもは、以下のような特徴を示すことがあります。

声掛けに反応しない

集団行動が苦手な子どもの中には、声掛けに反応しにくい傾向があるのが特徴です。これは、周囲の音や刺激に集中しすぎて、大人の声が聞こえていない場合があります。そのため、家庭や保育園での集団活動中に、指示に従わず、自分の世界に没頭してしまうことが多いです。

また、コミュニケーションが苦手なために反応できない場合があります。特に集団行動が苦手な子どもにとっては、自分に向けられた声掛けを理解するのに時間がかかったり、どのように返答すべきか分からなかったりする場合もあります。

声をかけても振り向かない、名前を呼んでも反応がない場合、ゆっくりと近づいて、優しく触れながら声をかけるなどしてみましょう。

行事に参加しない

集団行動が苦手な子どもは、保育園や幼稚園の行事に参加したがらないことがあります。新しい環境や大勢の人が集まる場所に不安を感じたり、どのように行動すればよいかわからずに戸惑ったりすることが原因かもしれません。 

行事は子どもたちにとって新しい経験や友達を作るチャンスであり、通常は楽しみにするものですが、集団行動が苦手な子どもにとっては、イベントが大きなストレス源となることがあります。行事への不参加は、単なる「嫌だ」という気持ちだけでなく、背後にある不安や恐れが原因である場合が多いです。

運動会や発表会などの大きな行事だけでなく、日々の活動でも参加を渋ることがあります。無理に参加させるのではなく、少しずつ慣れていけるよう配慮することが大切です。

他の子どもを叩いたりおもちゃを奪う

友だちとのコミュニケーションが上手くとれない子どもは、時として攻撃的な行動をとることがあります。他の子を叩いたり、おもちゃを奪ったりする行為は、自分の気持ちをうまく表現できないためのサインの可能性があります。 

まず、このような行動が見られた場合は、冷静に対処することが重要です。叱るのではなく、なぜそのような行動を取ったのかを理解しようとする姿勢を持ちましょう。子どもに対して「どうして叩いたの?」や「どうしておもちゃを奪ったの?」と問いかけることで、その背後にある感情や理由を探ることができます。

友だちの輪に入れない

集団行動が苦手な子どもは、同年代の子どもたちの輪に入ることに困難を感じることがあります。どのようにして仲間に加わればよいかわからず、一人で遊んでいることが多くなります。 このような子どもは、友だちとの関わり方がわからないだけでなく、集団での遊びのルールを理解するのに時間がかかることもあります。

また、自信がない子どもは、「自分が話すことで他の子どもたちに迷惑をかけるのではないか」といった不安から、話しかけること自体を避けてしまいます。他人に興味がない場合、自分から積極的に友だちを作ろうとせず、その結果、孤立しがちです。

このような場合は大人が橋渡し役となり、子どもが少しでも友だちの輪に入れるようサポートすることが大切です。

就学後の集団行動が苦手な子どもの特徴

小学校に入学すると、より複雑な集団活動が求められるようになります。集団行動が苦手な子どもは、新しい環境でさまざまな困難に直面することがあります。

グループ内で孤立する

クラス内でのグループ活動が増える中、集団行動が苦手な子どもは孤立しがちです。自分から積極的に関わることが難しく、グループの中で役割を見つけられないことがあります。さらに、自分自身に自信がない子どもは、自ら積極的にグループに入っていくことが難しく、結果的に孤立しがちです。 

また、休み時間などにも一人で過ごすことが多く、クラスメイトとの交流が少なくなりがちです。教師や保護者が気づき、適切なサポートを行うことが大切です。

友だちと協力できない

集団行動が苦手な子どもは、友だちと協力して作業を進めることに難しさを感じることがあります。コミュニケーションに問題がある場合は、自分の意図を伝えることが難しく、友だちとうまく協力しあえません。その結果、言葉の使い方やタイミングがうまく取れず、自分の考えを主張しすぎたり、逆に意見を言えなかったりと、バランスを取るのが難しい場合があります。

集団行動に慣れていない子どもは、他人との役割分担や共同作業が必要なグループ活動が苦手な場合が多いです。このため、友だちと何かを一緒にやる際に、スムーズに協力することが難しくなります。家庭や学校で協力することの大切さを理解し、実践できるような指導が必要となるでしょう。

先生の指示に従わない

教室内での活動や授業中、先生の指示に従うことが難しい子どももいます。これは必ずしも反抗的な態度ではなく、指示の意味を理解するのに時間がかかっていたり、何をすべきかわからずに戸惑っていたりする可能性があります。

また、自分のペースで物事を進めたい気持ちが強く、集団のリズムに合わせるのが難しいこともあるでしょう。感情のコントロールが苦手な子どもは、ストレスや不安を感じると指示に従う余裕がなくなることがあります。特に新しい環境やプレッシャーのかかる場面では、このような感情が強く現れることがあり、先生の指示に従わない行動につながるケースがあります。

子どもが集団行動が苦手と感じる理由

しゃがみ込む女の子

コミュニケーションをとるのが苦手

多くの子どもが集団行動を苦手に感じる理由のひとつは、コミュニケーション能力の不足です。自分の考えや感情を言葉でうまく伝えられず、他人との意思疎通に苦労することがあります。その結果、友だちと一緒に遊ぶ際に誤解が生じたり、トラブルに発展することが多くなります。

言葉でのやりとりだけでなく、表情やジェスチャー、声のトーンなどの言葉以外のコミュニケーションを解釈するのも難しいことがあります。このため、集団の中でうまく立ち振る舞えず、不安や戸惑いを感じてしまうのです。

感情のコントロールが苦手

集団行動の中では、自分の感情をコントロールすることが求められます。しかし、幼い子どもたちは、自分の感情を理解して表現する能力が発達途中であり、喜怒哀楽をうまく扱うことができないことがあるでしょう。

感情のコントロールが苦手な子どもは、ちょっとしたことで泣いたり怒ったりしてしまい、周囲との関係を築くのに苦労することがあります。このような経験が積み重なると、集団行動自体を避けるようになってしまう可能性もあります。

集団行動に慣れていない

家庭でのみ過ごすことが多かったり、少人数での活動にしか慣れていない子どもは、集団での活動に戸惑いを感じることがあります。集団でのルールやマナー、暗黙の了解事項などを学ぶ機会が少なかった場合、集団行動に参加することに不安を覚えるかもしれません。

また、兄弟姉妹が少ない場合や、同年代の子どもとの交流経験が少ない場合も、集団行動に慣れるまでに時間がかかることがあります。友だちを家に招いて一緒に遊ぶ機会を増やし、少しずつ集団行動に慣れる練習をすることが効果的です。

自分自身に自信がない

自己肯定感の低さも、集団行動を苦手とする原因となりえます。自分の能力や価値を低く見積もっている子どもは、集団の中で自分の役割を見出すことが難しく、参加することに消極的になりがちです。

「間違えたらどうしよう」「笑われるかもしれない」といった不安が先立ち、積極的に行動できないことがあります。このような子どもには、小さな成功体験を積み重ね、自信を持てるようサポートすることが重要です。

他人に興味がない

中には、他者との関わりそのものに興味を持てない子どももいます。自分の世界に没頭し、周囲の人々や出来事に関心を示さないタイプの子どもは、集団行動の必要性や意義を理解するのに時間がかかることがあります。そのため、周囲の人々と関わることよりも、自分の興味のある活動に集中することが多いです。

このような傾向は、必ずしも問題であるとは限りませんが、社会生活を送る上では一定の集団適応力が必要となります。子どもの興味や関心を持つテーマで友だちと一緒に活動する機会を増やし、他人と一緒に過ごす楽しさを体験させることが効果的です。

集団行動が苦手な子どもからのサイン

お母さんに励まされる男の子

身体の不調を訴える

集団行動への不安や苦手意識が強い子どもは、しばしば身体の不調を訴えることがあります。特に、集団活動が予定されている日の朝に、「お腹が痛い」「頭が痛い」などと言い出すことがあります。

これは、必ずしも嘘をついているわけではなく、心理的なストレスが身体症状として現れている可能性があるので注意が必要です。実際に、不安や緊張から胃腸の調子が悪くなったり、頭痛を感じたりすることは珍しくありません。

このようなサインが繰り返し見られる場合は、子どもの心の中にある不安や心配事について、じっくりと話を聞いてみることが大切です。

学校に行きたがらない

集団行動が苦手な子どもの中には、学校に行くこと自体を嫌がるケースもあります。「学校に行きたくない」「具合が悪い」といった訴えが増え、登校を渋るようになることがあります。

これは、学校生活における集団活動でのストレスや不安が蓄積された結果が考えられるでしょう。クラスメイトとの関係、授業中の発表、グループワークなど、さまざまな場面で感じる困難が要因となっている可能性があります。

このようなサインが見られた場合、単に叱ったり無理に登校させたりするのではなく、子どもの気持ちに寄り添いながら、具体的にどんなことが辛いのかを聞き出すことが重要です。場合によっては、学校の先生と連携して対応を考える必要もあるでしょう。

症状によっては発達障害の可能性も考える

発達障害のカードを包み込む親子の手

集団行動が苦手な子どもの中には、発達障害の可能性がある場合もあります。ただし、集団行動が苦手というだけで即座に発達障害と判断するのは適切ではありません。発達障害の特性が要因で集団行動が難しくなっているかどうかの判断は、専門の医療機関の診察が必要です。

また、発達障害と確認された場合、家庭や学校での対応も非常に重要です。家庭では、子どもの特性を理解し、無理に集団行動を強制するのではなく、個々のペースに合わせたサポートが必要です。学校では、特別支援教育を受けることや、小規模クラスでの学習が推奨される場合もあります。子どもが安心して学び、成長できる環境を整えるために積極的に活用しましょう。

発達障害ではないけれど集団行動が苦手な子どもへの対応方法

泣いている男の子を励ましているお母さん

どこまで指示を理解できるのかを確認する

集団行動が苦手な子どもの中には、指示の理解に時間がかかったり、複雑な指示を把握するのが難しかったりする場合があります。そのため、子どもがどこまで指示を理解できているかを確認することが重要です。

具体的には、指示を与えた後に「今、何をするの?」とたずねたり、子どもに指示を復唱してもらったりするなどの方法があります。理解が不十分な場合は、より簡単な言葉で説明し直したり、視覚的な手がかり(図や写真など)を用いたりすると効果的です。

この過程を通じて、子どもの理解度に合わせた指示の出し方を学ぶことができます。また、子ども自身も自分の理解度を確認できるので、わからないときは質問する習慣を身につけることができるでしょう。

あせらずに子どものペースに合わせる

集団行動が苦手な子どもには、あせらずにゆっくりと対応することが大切です。急がせることで子どもはプレッシャーを感じ、逆に不安やストレスが増してしまうことがあります。周囲の子どもと同じペースを求めるのではなく、その子どものペースを尊重し、少しずつ成長をうながしていくことが効果的です。

例えば、集団活動に参加する時間を少しずつに延ばしていくなど、段階的なアプローチが有効です。子どもの反応を見ながら適宜休憩を入れたり、リラックスできる環境を整えていきましょう。

また、活動の内容も、子どもが得意なことや興味のあることから始めると、より積極的に参加できる可能性が高まります。子どものペースを尊重しつつ、少しずつチャレンジの幅を広げていくことが重要です。

叱らずできたときはほめる

子どもが集団行動で成功した際には、その努力と成果を積極的に認めてほめることが重要です。小さな成功体験を積み重ねることで、子どもの自信と意欲を高めることができます。

例えば、短時間でも集団活動に参加できたら「よく頑張ったね」と声をかけたり、友だちと協力して作業ができたら「上手に協力できたね」と具体的にほめてあげましょう。このような肯定的なフィードバックは、子どもの自己肯定感を高め、さらなる成長につながります。

ただし、ほめ方にも注意が必要です。あまりほめすぎるのも逆効果になる可能性があるため、子どもの努力や成果に見合ったちょうどよいほめ方を心がけましょう。

少しずつ集団行動に慣れさせる

集団行動が苦手な子どもにとって、突然大勢の中に入れられることは大きなストレスになります。そのため、少しずつ段階的に集団行動に慣れさせていくことが効果的です。

まずは、少人数のグループ活動から始めるのがよいでしょう。親しい友達と一緒に遊ぶ時間を設けたり、家族での共同作業を増やすなど、段階的に集団の人数や時間を増やしていきましょう。活動時間も最初は短めに設定し、子どもの様子を見ながら延ばしていきます。

また、子どもが安心して参加できる環境を整えることも大切です。子どもが慣れ親しんだ場所での活動を取り入れたり、事前にどのような活動を行うかを説明しておくと、子どもの不安を軽減できます。

無理強いせず少しずつ進めていくことで、子どもは徐々に集団行動に慣れ、自信をつけていくことができるでしょう。子どものペースを尊重しながら、継続的にサポートしていくことが重要です。

まとめ

青いランドセルを背負う女の子と男の子

集団行動が苦手な子どもたちには、さまざまな特徴や理由があります。声掛けに反応しない、行事に参加しない、友だちと協力できないなど、日常生活や学校生活での困難を抱えています。これらの背景には、コミュニケーションの苦手さや感情コントロールの難しさ、集団行動への不慣れさなどがあります。

集団行動が苦手な原因が発達障害にある可能性も考慮しつつ、子どものペースに合わせたサポートが重要です。できたときにはしっかりほめることで、子どもたちが自信を持って成長できるように手助けしましょう。

子どもの成長には時間がかかります。あせらずに子どもの個性を尊重しながら、長期的な視点でサポートを続けていくことが、集団行動が苦手な子どもたちの健やかな成長につながります。

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この記事を書いた人

ウィズ・ユー編集部

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