
「今通っている児童発達支援と、小学校に上がったら利用する放課後等デイサービスって何が違うの?」そんな疑問を抱えながら、子どもの小学校入学を前に不安を感じている方は多いのではないでしょうか。
慣れ親しんだ療育の場所を離れ、新しい環境に移ることへの心配、手続きの複雑さ、そして「今と同じような手厚いサポートが受けられるのか」という漠然とした不安もあるかもしれません。
この記事では、児童発達支援と放課後等デイサービスの対象年齢・サービス内容・費用・送迎の有無といった具体的な違いを、比較表を交えながら徹底解説します。
さらに、受給者証の切り替え手続きの流れや、失敗しない施設選びのポイントまで、就学前に知っておきたい情報をすべてお伝えします。
児童発達支援と放課後等デイサービスの違い

1. 対象年齢の違い:未就学児か就学児か
両サービスの最も大きな違いは「対象年齢」です。
児童発達支援は0歳から6歳までの未就学児、放課後等デイサービスは6歳から18歳までの就学児が対象で、小学校入学のタイミングで利用サービスが切り替わります。
どちらも「発達に特性のある子どもを支援する」点は共通しており、切れ目のない支援を受け続けられる仕組みになっています。
2. 支援の目的:「日常生活の基盤」か「社会性と自立」か
児童発達支援は、着替えや食事などの身辺自立スキルや集団生活への適応が中心です。
一方、放課後等デイサービスは、友達との関わり方を学ぶソーシャルスキルトレーニング(SST)や宿題サポートなど、社会性の向上や将来の自立に向けたスキル習得がより重視されます。
3. 利用時間の違い:幼稚園・保育園併用型と放課後利用型
児童発達支援は幼稚園や保育園と併用するケースが多く、午前中や午後の短い時間帯の利用が一般的です。
放課後等デイサービスは放課後の14時〜18時頃が中心で、長期休暇中は終日利用できる施設も多く、共働き家庭の支えになります。
4. 送迎サービスの有無と範囲の傾向
放課後等デイサービスでは送迎サービスを実施している施設が多い傾向にあります。
児童発達支援は保護者との情報交換を重視する施設が多く、実施率は低めです。
送迎の有無や対応範囲は施設ごとに異なるため、利用前に確認しましょう。
5. 管轄と法律上の位置づけ
両サービスとも「児童福祉法」に基づく障害児通所支援サービスで、利用には「通所受給者証」が必要です。
法律上の位置づけが同じため、料金の仕組みや受給者証の取得方法は共通しており、移行もスムーズに行える仕組みが整っています。
児童発達支援とは?未就学児を対象とした発達支援サービス

対象年齢:0歳~6歳(小学校入学前)
児童発達支援の対象年齢は、0歳から6歳(小学校入学前)までの未就学児です。
発達に遅れや特性がある子ども、障害のある子どもが、日常生活に必要な基本的なスキルを身につけるための支援を受けることができます。
利用にあたっては、医師の診断書や障害者手帳がなくても、市区町村から「通所受給者証」が交付されれば利用可能です。
「うちの子は障害があるかどうかまだわからない」という段階でも、発達が気になる場合は相談してみる価値があります。
児童発達支援の役割と目的
児童発達支援の役割は、子どもの発達を促し、日常生活や集団生活に適応するための力を育てることです。
具体的には、以下のような支援が行われます。
- 身辺自立の支援:着替え、食事、トイレなど、生活に必要な基本動作の練習
- 運動機能の発達支援:体を動かす遊びを通じて、粗大運動(走る・跳ぶなど)や微細運動(手先を使う動作)を促進
- コミュニケーション能力の向上:言葉の発達を促したり、他者との関わり方を学んだりする活動
- 社会性の基礎づくり:順番を待つ、ルールを守るなど、集団生活に必要なスキルの習得
これらの支援を通じて、子どもが幼稚園や保育園、そして将来の小学校生活にスムーズに適応できるよう準備を進めます。
「今できないこと」を責めるのではなく、「少しずつできることを増やしていく」という視点が、児童発達支援の基本的な考え方です。
児童発達支援センターと児童発達支援事業所の違い
児童発達支援を提供する施設には、「児童発達支援センター」と「児童発達支援事業所」の2種類があります。
児童発達支援センターは、地域の障害児支援の中核的な役割を担う施設です。
子どもへの直接的な支援だけでなく、保育所や幼稚園への巡回支援、保護者や地域の関係機関への相談支援なども行っています。
専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など)が多く配置されている傾向があり、より専門的な支援を受けられるのが特徴です。
一方、児童発達支援事業所は、子どもへの直接的な療育支援に特化した施設です。
センターに比べて小規模な施設が多く、地域に密着したアットホームな雰囲気のところも多いです。
どちらが良いかは子どもや家庭の状況によって異なるため、複数の施設を見学して比較検討することをおすすめします。
医療型と福祉型の違い
児童発達支援センターは、さらに「医療型」と「福祉型」に分かれています。
福祉型は、発達支援や療育を中心としたサービスを提供する施設で、多くの児童発達支援センターがこのタイプに該当します。
医療型は、福祉型のサービスに加えて、医療的ケア(リハビリテーションや治療など)も一体的に提供できる施設です。
主に、肢体不自由(手足や体幹に障害がある状態)のある子どもを対象としており、医師や看護師、理学療法士などの医療専門職が常駐しています。
子どもの状態に合わせて、どちらのタイプの施設が適しているかを、相談支援専門員や主治医と相談しながら決めていくと良いでしょう。
放課後等デイサービスとは?就学児を支える「障害児の学童」

対象年齢:6歳~18歳(小学生~高校生まで)
放課後等デイサービスの対象年齢は、6歳(小学1年生)から18歳(高校3年生)までの就学児です。
小学校、中学校、高等学校に通っている子どもが、放課後や長期休暇中に利用することができます。
対象となるのは、発達に特性のある子どもや障害のある子どもで、児童発達支援と同様に「通所受給者証」を取得することで利用が可能になります。
小学校入学から高校卒業まで、最長で12年間という長い期間を通じて継続的な支援を受けられるのが、放課後等デイサービスの大きな特徴です。
放課後等デイサービスの役割と目的
放課後等デイサービスは、単なる「預かりの場」ではありません。
子どもの社会性を育て、将来の自立に向けたスキルを身につけるための支援の場として位置づけられています。
主な役割と提供されるサービスには、以下のようなものがあります。
- 生活能力向上のための訓練:身の回りのことを自分でできるようになるための支援
- ソーシャルスキルトレーニング(SST):友達との関わり方、コミュニケーションの取り方を学ぶプログラム
- 学習支援:宿題のサポートや、学習習慣を身につけるための支援
- 創作活動・運動プログラム:工作、音楽、スポーツなどを通じた発達促進
- 地域交流の機会:外出活動やイベント参加を通じて、社会経験を積む機会の提供
施設によってプログラムの内容や特色は大きく異なります。
学習支援に力を入れている施設、運動療育を専門とする施設、アートや音楽を取り入れた活動が盛んな施設など、さまざまなタイプがあるため、子どもの興味や課題に合った施設を選ぶことが大切です。
学童保育との違い
「放課後等デイサービス」と「学童保育(放課後児童クラブ)」は、どちらも放課後の子どもを預かるサービスですが、目的や内容が大きく異なります。
学童保育は主に共働き家庭の子どもを対象とした「預かり」が目的で、宿題をしたり友達と遊んだりして過ごす集団活動が中心です。
一方、放課後等デイサービスは発達に特性のある子どもへの「療育・支援」が目的で、専門スタッフが個別支援計画に基づいたサポートを行います。
なお、両サービスを併用することも可能で、週の何日かは学童保育、残りは放課後等デイサービスという利用の仕方をしている家庭もあります。
20歳まで利用できる場合もある特例措置
放課後等デイサービスの対象年齢は原則として18歳までですが、特例として20歳まで利用を継続できるケースがあります。
これは、18歳の時点でまだ高等学校に在籍している場合や、引き続き支援が必要と認められた場合に適用される措置です。
たとえば、高校を3年で卒業せず、4年制の定時制高校や通信制高校に通っている場合などが該当します。
また、18歳を超えても支援の継続が必要と判断された場合には、市区町村の審査を経て20歳まで利用が認められることがあります。
この特例を利用したい場合は、18歳になる前に市区町村の担当窓口に相談しておくことをおすすめします。
利用料金は違う?受給者証と自己負担額の仕組み

世帯所得による上限額とは
児童発達支援と放課後等デイサービスの利用料金は、どちらも同じ仕組みで計算されます。
利用者の自己負担は原則としてサービス費用の1割ですが、世帯の所得に応じて月額の上限額が設定されています。
- 生活保護世帯・非課税世帯:0円
- 課税世帯(所得割28万円未満):4,600円
- 上記以外:37,200円
たとえば、月額上限額が4,600円の世帯の場合、月に何回利用しても自己負担額は最大4,600円までとなります。
週に数回通っても、この上限を超えることはないため、安心して必要な支援を受けることができます。
所得区分は毎年の市町村民税の課税状況によって判定されるため、世帯の収入状況が変わった場合は、翌年度から上限額が変更になる可能性があります。
おやつ代や教材費は実費?
受給者証に基づく利用料金とは別に、実費として負担が必要な費用もあります。
おやつ代(1回50円〜200円程度)、教材費、給食費(1食300円〜600円程度)などは実費負担となります。
これらの費用は施設によって設定が異なるため、契約前に必ず確認しておきましょう。
また、実費負担が発生する場合は、事前に説明があるのが通常です。
「思っていたより費用がかかった」ということがないよう、見学時に具体的な金額を聞いておくことをおすすめします。
障害者手帳は必要?受給者証の取得方法と更新手続き
児童発達支援や放課後等デイサービスを利用するためには、「通所受給者証」の取得が必要ですが、障害者手帳は必須ではありません。
受給者証は、市区町村の福祉担当窓口に申請することで取得できます。
申請には、医師の診断書や意見書、発達検査の結果、本人確認書類などが求められます。
受給者証には有効期限があり、通常は1年ごとの更新が必要です。
児童発達支援から放課後等デイサービスへの移行時には切り替え手続きが必要なため、小学校入学の前年度(年長の秋〜冬頃)に市区町村の窓口で相談しておくとスムーズです。
幼児教育・保育の無償化対象になるケースとならないケース
2019年10月から始まった「幼児教育・保育の無償化」により、満3歳になって初めての4月1日から小学校入学までの3年間、児童発達支援の利用料が無償になっています。
これは、児童発達支援を利用している子どもの保護者にとって、大きな負担軽減となる制度です。
ただし、無償化の対象となるのは「利用料」の部分のみです。
放課後等デイサービスは「幼児教育・保育の無償化」の対象ではありません。
就学後は、世帯所得に応じた月額上限額の範囲内で自己負担が発生します。
失敗しない施設選びのチェックポイント

見学時に必ず確認したい「スタッフの資格」と「雰囲気」
施設選びで最も大切なのは、実際に見学して自分の目で確かめることです。
スタッフについては、専門資格の有無、配置人数、子どもへの接し方を確認しましょう。
施設の雰囲気では、子どもたちが楽しそうに過ごしているか、清潔で安全に配慮されているかをチェックします。
複数の施設を比較することで、子どもに合う・合わないがより明確に見えてきます。
個別支援計画書が「テンプレート」になっていないか
施設では利用者一人ひとりに「個別支援計画」が作成されます。
個別支援計画がしっかりと「その子のため」に作られているかどうかを確認することが重要です。
「個別支援計画はどのように作成していますか?」「目標はどのくらいの頻度で見直しますか?」といった質問をしてみると、施設の支援の質が見えてきます。
保護者へのフィードバックや面談の充実度
子どもがどのように過ごしているか、どんな成長が見られるかを知ることは、保護者にとってとても重要です。
保護者へのフィードバックが充実しているかどうかも、施設選びの大切なポイントになります。
施設と保護者が密に連携することで、家庭でも施設での支援内容を活かした関わりができるようになります。
「施設にお任せ」ではなく、「一緒に子どもを育てていく」という姿勢の施設を選ぶことが、子どもの成長を最大限に引き出す鍵になります。
利用開始までの流れ|申請方法と必要な手続き

通所受給者証の申請方法(両サービス共通)
利用開始には、まず「通所受給者証」を取得する必要があります。
- 市区町村の福祉担当課に相談
- 必要書類(診断書、発達検査結果など)を準備
- 申請書を提出
- 聞き取り調査・審査
- 受給者証の交付
受給者証には、利用できるサービスの種類や月に利用できる日数の上限が記載されています。
相談支援事業所と個別支援計画の作成
受給者証の申請と並行して、「相談支援事業所」に相談することも重要です。
相談支援専門員が子どものニーズを聞き取り、サービス等利用計画を作成してくれます。
利用は無料なので、「どの施設を選べばいいかわからない」といった悩みがある場合は積極的に相談してみてください。
見学・体験から契約までのステップ
受給者証を取得したら、施設の見学・体験に進みます。
- 候補となる施設をピックアップ
- 見学の予約(2〜3カ所は見学するのがおすすめ)
- 施設訪問・体験利用
- 施設決定・契約
- 利用開始
契約時には重要事項説明書の内容をしっかり確認し、不明点は質問するようにしましょう。
利用料金の目安と負担上限額
利用料金の自己負担は原則サービス費用の1割で、世帯所得に応じた月額上限額が設定されています。
- 生活保護世帯・非課税世帯:0円
- 課税世帯(所得割28万円未満):4,600円
- 課税世帯(所得割28万円以上):37,200円
多くの家庭では月額4,600円の上限額が適用されるため、経済的な心配をしすぎず、子どもに必要な支援を受けさせてあげてください。
まとめ

児童発達支援と放課後等デイサービスは、対象年齢や支援の目的は異なりますが、どちらも子どもの成長を支える大切なサービスです。
小学校入学という節目は、子どもにとっても保護者にとっても大きな変化ですが、早めに情報を集め、複数の施設を見学して比較することで、安心して移行の準備を進められます。
わからないことがあれば、市区町村の窓口や相談支援事業所に遠慮なく相談してみてください。
子どもの「できること」が少しずつ増えていく喜びを、これからも一緒に見守っていきましょう。




